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『公民的な資質能力』ってなんだろう?

「公民的な資質・能力」という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことがある方、「公民的な資質・能力とは何ですか?」と聞かれたら、何と回答しますか?今回は、この公民的な資質・能力の解釈について、私なりの考えをまとめてみようと思います。

1.学習指導要領における「公民的な資質・能力」

 平成29年告示『小学校学習指導要領解説 社会編』の「1.教科の目標」には、次のような記述がみられます。

社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通 して,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成すること を目指す。(太字筆者)

平成29年告示『小学校学習指導要領解説 社会編』「1.教科の目標」

 社会科教育を通して、公民としての資質・能力を育むことが求められており、その力は、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要なものとされています。では、公民的な資質・能力とは、具体的にどのような力を指すのでしょうか。先述した学習指導要領の解説部分では、公民的な資質・能力を次のように定義づけています。

公民としての資質・能力とは,選挙権を有する18歳に求められる「広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な資質・能力」であると考えられる。

同上

 平和で民主的な社会の形成に、主体的に関わるために必要な能力こそ、公民的な資質・能力であり、18歳以上の誰もが有権者となった今、社会科教育を通して育まれるべき資質・能力であるとされています。ただ、非常に抽象的な言葉で表現されているため、その解釈は研究者や教員によって様々であり、その違いによって、理想とする社会科教育の在り方、授業のねらいや目標も大きく変わってくるのではないでしょうか。

2.筆者の考える「公民的な資質・能力」

 ここまで学習指導要領における、公民的な資質・能力の位置付けを概観してきました。次に、筆者の公民的な資質・能力に関する解釈について述べたいと思います。

現状、私は「よりよい社会を目指し、多様な人々と協働しながら、社会に存在する諸課題を発見・解決しようとする能力」と解釈するに至っています。

 平和で民主的な社会の形成は、一人では決して実現できません。共に生きる多くの人々と支え合い、助け合いながら、社会に存在する課題を発見し、解決していくことで、平和で民主的な社会は形作られていくのだと思います。この能力は、社会科教育に限らず、学校における教育活動全般を通して、育まれるべき資質・能力であると考えます。

3.公民的な資質・能力を育む社会科教育の創造

 公民的な資質・能力は、決して社会科教育のみで育まれるものではありません。むしろ、児童生徒同士のトラブルなど、教師の意図しない場面で育まれるケースもあるのではないでしょうか。では、”社会科教育において”、公民的な資質・能力を意図的に育むためには、どのような授業を構想するべきなのでしょうか。これは、現在私が大学院で研究しているメインテーマでもあり、教職に就いてからも永遠に問い続けることになると思われます。

 現在の社会は、急速にグローバル化が進み、予測困難な時代ともいわれています。世界的には、戦争や紛争が絶えず、環境問題も深刻化しています。そのような状況下において、平和で民主的な社会を形成するために必要となる公民的な資質・能力を育むことは、教育の喫緊の課題と言えるでしょう。
まずは、教育に携わる人間が公民的な資質・能力とは何なのかを問い続け、自分なりの解釈を構築することが重要だと考えます。そして、公民的な資質・能力を育む社会科教育を創造していくことが大切ではないでしょうか。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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