「フリーズする脳」〜今週気になった本

ポチるのがこわい本ってありませんか。

私は最近Kindleのセールを漁っていたときに、この『フリーズする脳 思考が止まる、言葉が詰まる』というタイトルを見て…

「これ私のことだな…ドキッ」と。いつもだったらスルーしていたと思います。

セールでお安かったのと、ページ数が少なくサラッと読める本を求めていたタイミングだったので、えいやと文字どおりポチってしまいました。

なんでこういう本がこわいかというと、タイトルのような症状が仮に自分に当てはまったとして、「そういう人が増えているので気をつけましょう」と警鐘を鳴らすだけだったとしたら…「じゃあ自分はどうしたら…」と途方に暮れそうで。

でも実際読んでみると、そのような症状を改善する方法を具体例とともに教えてくれています。そしてそれ以上に、人間の脳の仕組みと、そこから見えてくる「人間にとって大切な本質」についても触れられていて、自分的に気付きがありました。

私がハイライトしたポイントをかいつまんで紹介します。


よく言われるように、脳は楽をしたがる。なので脳を使わなくてもよい環境にいれば、使わないようになり、力が衰えていく(ボケていく)。

この本では、脳のなかでも「前頭葉」のはたらきについて扱っています。

「理解する」「考えをまとめる」「相手の思考や感情を読む」「感情を抑える」、またそれらを総合して「自分の行動を決める」「それを意志的・計画的に行う」というのが、いわゆる高次脳機能の働きであり、その中枢を担っているのは「前頭葉」と呼ばれる領域です。

この領域を若く保っておくためには、「思考系を使って解決しなければならない問題や、興味があること、新鮮に感じること」を複数持っておくことだといいます。

ではそのために大切なのは?というと、ひとつは「目標を持つ」ことだそうです。「やる気を失い、反射的・受け身的な生活」になっていると、脳も衰えていきやすいのだと。

目標が脳の若さと関係しているとは考えもしなかったですが、言われてみればそうかもしれません。とくに目標も持たず日々を惰性でなんとなく過ごしてしまうということは脳もあまり使わなくて良い方向にいってしまう。漠然と目標を持つべきだ、という話よりも、脳の面から見ても目標を持つと良いというのは納得感があります。


また、「環境から逃げるとボケる」という話がありました。ここでは「感情系」と「思考系」の対比が出てくるのですが、感情系の刺激が大きくなったとき(なにかで心が乱される、極度の緊張場面など)、その暴走を止めるのは思考系(前頭葉のはたらき)です。

思考系が強ければ感情の方をうまくコントロールできるし、思考系がそれなりに強くてもあまりに感情系の刺激が大きいと対処しきれずに冷静さを失ってしまうことがある。

そしてその感情が心地よい方へ逃げていこうとする。逃げてしまったほうが一時的には脳のほうも楽になります。ただそうして逃げてしまうとやっぱりどんどん脳を使わなくなり、感情系の刺激がさほどでもない場合でもうまく思考を働かせられなくなってフリーズしてしまうことがあるということです。そしてまたそこから逃げて…と悪循環が始まります。


もう一つ出てきたキーワードに「基本回転数」というものがありました。「頭の回転の速さ」みたいなものだそうですが、これは環境によって作られるといいます。かんたんに言えば、忙しい環境に身を置いていると、基本回転数は上がっていく。しかし、例えば転職や独立などでよりイージーな環境に変化すると、自分の意思には関係なく脳も環境に合わせていってしまうので、回転数がいつの間にか落ちていってしまうということです。


以上いくつか気になったポイントを抜粋してみました。

自分を振り返ってみると「これ苦手だな〜」とか思って避けてしまっていることがあって、それは自分でも良くないと思いつつも「まあ仕方ない」と片付けてしまったりしていました。

でも実はその行動の積み重ねが、脳にも良くないことなのだとわかって、自分を少し奮い立たさねばならないのだなと、思いました。

死ぬほど追い詰められてやる必要ってどこにもないと思うのですが、ほどほどに頑張ったほうがよい場面ってあると思います。脳の機能を機械に代替させてしまえば良いというような発想も無きにしもあらずかもですが、そここそ人間らしさの部分でもあります。そう考えると、脳はいつまでも健康なほうがやっぱりいい。だとするならば、自分にとって無理のない範囲で、目標を立てる、ちょっと頑張って苦手を克服する、そういう一見当たり前だけどややもすると避けがちなことにも、「脳のためにも」と意味付けができるのかもしれません。


・・・


というわけで、ここから今週の気になった本を紹介します。気になった本は、タイトルを見て読みたいなー(読むかわからないけど)、もし自分が本屋をやるなら本棚に置きたいなーと思ったものを選んでいます。

気になった本

良き社会のための経済学

Kindleセールで半額。とはいえかなりボリュームありそうなのでKindleで読むのは辛そうかもなあ。


若い読者のための考古学史

こちらも同じくセールで半額。考古学ってあまり知らない分野の一つです。この機会に学んでみたいかも。


ESG投資 新しい資本主義のかたち

こちらも半額。ESG投資、日経新聞がすごくプッシュしてるワード。めちゃくちゃ大事な動きで、日本でもぜひ広がるべきだと思いながら、まだ少し半信半疑な部分も。金融がどこまで変わっていくことができるのか、まずは基礎的なところを学習してみたい。


ゲーム理論入門

半額。「ゲーム理論」よく出てくるキーワードだけど、よく知らないままきてしまったので。


KGBの男-冷戦史上最大の二重スパイ (単行本)

全然詳しくないけど、スパイってドキドキする。国を背負って、すべてを偽りで包み込んで生きる人たち、生半可には絶対できない。Netflixで実在のスパイを描いたドラマ「エリ・コーエン」もおすすめです。


リベラルとは何か-17世紀の自由主義から現代日本まで (中公新書)

新刊です。実は政治への関心が強くなったのはこの一年かもしれなくて。恥ずかしいことに、まだまだ基本的なところの理解が弱いのでこれはぜひ読んでみたい。


今読んでる本

普段読まない系ですが、こちらもKindleセールで半額だったので読み始めてみました。なんとなく、文体がちょっと読みづらいですが、前半の方で「自己肯定感を育むべき論」を否定していて、新鮮な気持ちで読んでいます。


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