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それはずっとそこにあった。

ちょっと前のこと、やたらイライラしてた日のこと。
キッチンカウンターの上がごちゃごちゃしてることが、わたしのイライラセンサーにヒットしたんですね。

うちの場合、キッチンカウンターの角が玄関からリビングへの、いうなれば河口のような場所にあって、本物の河口もそうであるように、色々なものが溜まる場所でもあります。
例えば外でもらったお菓子とか、出かける前にさした目薬とか、テレビを見るのにつけていた眼鏡とか、ちょっとだけ必要かどうか考えたい郵便物とか。

だいたいは気になったらささっと片づけて、どうしたらいいかわからないものはそれぞれの部屋に放り込んで、カウンターがつやっとするまで拭いて終わりなのですが、その日は違いました。

いつもよりちょっとだけ低い声で
「これ!どうすんの??」
と散らかった物たちをつまんで持ち主に突きつけたのです。
こういう時わたしは別に怒鳴ったりしないし、睨んだりもしないのだけど、何かを察知した家人たちは、ひったくるようにそれらを手にすると、ささ~っとその場からいなくなります。まるで波打ち際の小さな蟹みたいに。

で、まぁわたしを刺激していたカウンターの上のアレコレがなくなったんですが、そこで「あれ?」っと思ったんです。なんかね、スッキリ片付く予定だったカウンターの上が、そうはなっていなかったのです。

なんと、そこにあったのは、
手のひらサイズの

鏡餅

でした。
ええ、もちろん年末に買ったやつです。
鏡餅のかたちのパックの中に小餅が2つくらい入ってて、
お正月にはセットになっている組み立て式の紙の台座に乗せて、ピンポン玉より小さいおもちゃの橙を両面テープでぺたりと貼り付けるやつ。
鏡開きの日に台座と橙を捨てて、お餅はそのうちフライパンで焼いて醤油とみりんと砂糖とバターで味付けして食べようと思っていた鏡餅がね、かれこれ半年ぐらいカウンターの上に乗っていたのです。

いや、知っていました。だってわたしが置いたんだし、いつ食べようかな~って何度も考えたし。カウンターを片付けたときは、この鏡餅だけはそのまま放置してそれ以外のものを片付けて、なんなら鏡餅を持ち上げてカウンターをふきふきして、また鏡餅を元の場所に置いて
「あ~キレイになった。わたしがんばったわ~。」
とか自画自賛していたわけですよ。

これね、たぶんですけど、もし誰かに
「鏡餅は片づけへんの?」
とか指摘されたら、キレたりムクレたりしていた気がします。
「は??あえて、ですけど!」
とか言って。
わたしみたいな我の強い人間に指摘するって、けっこう命がけです。
そこらへん、うちの家人は賢明です。

***

自己認識って、やってもやっても、
この「鏡餅」みたいなものがあるんですよね。
わかってるのに、そこだけ見ないようにしてる。
見てるけど、知らんふりしてる。
今回みたいに自分で気づけたのは、すごくラッキーで
だいたいは気づかないまま、ただその場所が煤けて淀んでしまうのです。

うん。時々はひとの手を借りて、大掃除したほうがいいんだろうな。
反省と共に、鏡餅をしかるべき場所に放り込みました。

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