【ショートショート】夕焼け
コンクリート製の階段を勢いよく上って行く。階段の踊り場に出ると、私は後ろをちらりと見た。誰も来ていない。先生にも見られていない。私は溜息をつくと、また一歩屋上へ向かって歩き始めた。心臓の音がいつもよりよく聞こえる。階段を急いで駆けあがったことも手伝っていつもより鼓動が早い。それだけじゃない。私は今、きっと緊張している。さっきから溜息だか、深呼吸だか、息を大きく吐き出しては吸うことの繰り返しだ。そうしないと身体が思うように動かないのだ。まだこれからなのに。
ここの学校は屋