ホームレス大学生と内定

この間、内定先のことを知り合いに話している時に大いなる自己矛盾に気づいた
もう今年4月から働き始めるというのに、なんとも大変なことに気づいてしまった

「私的論理」という言葉をご存知だろうか
当事者からしたら筋の通った考え、意見であることを言うが、この主観的な論理は他の人からしたらロジックに欠陥があることがしばしばだ

まさに、就活中というのは自分の考えと向き合うことが多くなるため、いくらいろんな社会人や就活生と話したとて、圧倒的に自分自身との対話時間の方が多くなる。結果、私的論理の強化が行われるわけだ

いろんな方面から「なんでその会社にしたの?」「なんでその仕事にしたの?」という質問がいつ何時来ても返せるように、自身の中で内定先を決定するに至るまでの論理を完璧に積み重ねていたはずだった

しかしそれは、日常的な会話の中での不意打ちからくる質問によって砕かれてしまったのだった


平日のお昼前、知り合いAさんのお家で例の如くゴロゴロしているとこんな質問をしてきた

「ぬーすか君はもう引越し先は決めたの?」

「いや、まだです。まあ社会人なったらシェアハウス住むつもりですので、まだ準備とかは大丈夫かなーと」

「ふーーん、そうなんだ。
せっかくお給料いいところ勤めるんだからちゃんとした場所住めばいいのにね」

「まあ、ぼく衣食住にあまりこだわりないので、寝れて服置く場所あってキッチンがあればそれでいいんです。なので、家にあまりお金をかけるつもりなくて」

「まあ、ホームレスやってたもんね。。じゃあ一体何にお金かけるつもりなの? なんでわざわざお金もらえるとこ選んだの?」

「それは、コンサルという職につくことで自身の自己成長につなげ、周囲の優秀な社員に囲まれることであーだこーだ、、、」

久しぶりに就活用の返答をした
これほど流暢に半年前と全く同じ返しが出てくるほど頭に染み付いているとは、、、げに恐ろしき就活脳

「あら、そーなんだ。
まあ早めに決めといた方がいいよー」

「はーい、、」


なんか、変だな、、
確かに、、なんでおれは衣食住にコストがかからないのにわざわざ高級取りな仕事を選んだのだろうか
別に頭がとってもいいわけでもないし、その会社でしかできない何かをしたい訳でもない、なんなら自己成長☆はもううんざりだ、将来は原始生活に戻り、主にマンモスなどを狩って暮らしたい

なんでおれはコンサルを選んだんだ?
久しぶりに心の奥底に佇む純粋ぬーすかさんに聞いてみた、彼は嘘がつけないからな

「どうして、激務と噂のコンサル業を選んだんですか?」

それは、受かった会社の中でそこが一番条件がよかっただけにすぎない」
「自己成長だの優秀な社員だのは後付けにすぎない」


「へ?」
「あれ?そ、、そうでしたっけ?」

お前、、そんなことも覚えていないのか、、」
「さらにいうと、もともと就活は周囲に、”おれはホームレスでもこれだけの内定先を獲得するだけのポテンシャルを持つすごいやつなんだぞ”、といびりたいがためにやってたぞ、お前」

「うう、、嘘だ!ぼくがそんなくだらない理由で半年間も就活していた訳があるか!いろんな社会人さんと話して、地球環境のこととか日本の未来のこととか考えて、たくさん人生曲線を書いて、全国の就活生と出会いと別れを繰り返しながら成長していく中で、コンサルを選んだはずなんだ!」
「そ、、、そんなしょうもない理由で選んだはずが、、あるわけ、、」

「あるんだよ」
「お前はおれで、おれはお前なんだから。知ってるだろ、おれが嘘をつけないってことを」

「しょ、、しょんな、、、」


就活初期に封じ込め、必死に自己演出していたがために忘れていた、肝心なことを思い出した


う、、ううう、、

おぎゃあああああああああ!!!
就職したくねぇええええぇええぇぇえ!!
私的論理に騙されたあああああ!

クソ!クソ!
クソゥ
くそぉ、、、

ひと暴れしたぼくは、泣き疲れた赤ん坊のようにスヤスヤと、寝息も立てずに眠りに落ち、天使の寝顔を見せるのだった

と、まあ一時は慌てふためいてしまいましたが、就活中の自分もあくまでも自分の中にある一つの面。たとえ、意識がホップステップを飛ばしてジャンプしてしまっている状態だとしても。
それに、別にいやいや選んだ会社ではないので、一応はその内定先で納得する形で落ち着きました。が、いまだにモヤモヤしております。果たしてこの選択で良いのであろうか、、


「私的論理」
自分では筋が通っていると思ってはいても、他の人から見たら、捻れた考えになってしまっているかもしれません
何か大切な決断をする前には自分の考え方をいろんな人に見てもらうチェックしてもらうことの大切さを今一度認識した出来事でした


それから、ホームレスになると、どうも考えが皮肉的になってしまうようです

あ、いや、それは元からか


現場からは以上です




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