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【J2リーグ】プレスをいなす【第19節 いわきFC対ロアッソ熊本】

こんばんは、大分遅くなってしまいましたがロアッソ熊本のレビューを書いていきたいと思います。

今回はお互いJ2では初対戦ということで、どんな試合になるか未知数なところがありました。
少なくとも熊本は前節のキツイ敗けを払拭すべく勝ちを狙いにいく試合です。
対するいわきは3試合敗けなしと上り調子で、そのままの状態を維持してホームゲームに臨みます。

そんな両チームのスタメンとシステム、得点者は以下の通りです。

得点者
15分 粟飯原尚平(熊本)
22分 大西遼太郎(熊本)
57分 大本祐槻(熊本)
62分 平川怜(熊本)

◼️前半
今節では熊本の左ウイングのレギュラー、松岡が怪我のため欠場して東山が初スタメンを飾りました。
新戦力が台頭するのは良いことですが、前線の選手に怪我が続いているのが不安。
また連携面はショートパスを繋いでいく上で重要なファクターとなります。
前線のタレントが入れ替わるなかでパス回しによる前進が行えるかどうか、個人的には注目していました。

対するいわきFCは、戦前ではハイプレス→ショートカウンター、ミドルカウンターが得意なチーム、という勝手なイメージを持っていました。
実際、いわきFCは守備時は4-4-2でセットし、ボールサイドに圧縮してプレスをかけてくる形を取ってきました。
2トップは並行に並び、アンカーの上村を消しに掛かってきます。

ここまではアンカーを採用するチームを相手にした時の定石ではありますが、熊本はプランBがあります。
特に左CBの大西から展開する時が顕著で、大西は積極的に運ぶドリブルでアンカーの上村と同じ高さまで上がっていきます。
もちろんサイドハーフとFWがプレスに来るのですが、そこで左ウイングの東山、右サイドハーフの大本へロングボールを入れていきます。
元々ボールサイドに圧縮してボールを取りきる動きをするため、逆サイドがフリーになりやすい上に、ふたりともいわきのSBの外でボールをもらう動きをするため、比較的安全にボールをキープすることができます。

その上でキープした際に右ウイングの島村がオーバーロードさせる動きを見せることで、SBがどちらをマークするか?選択肢を突きつけることになります。
SBがボールホルダーに食いつけば島村を使う、島村をマークしにいったらそのまま前進する、という形です。

これに更に2列目、3列目からの(特に平川)オーバーラップでポケットを攻略する動きまで見せることで最終ラインを切り刻む形を作り出していきました。
15分の先制点のシーンはオーバーラップした黒木をいわきDFがマークしきれず、そこから中央へクロス→粟飯原が押し込む形でした。
まさに狙いがピタリとハマった先制点でした。

この後の22分の追加点のシーンはCKのマークがズレていたことに起因します。
いわきFCはゾーンで守っていたのですが、大西が入ってくる動きを追いきれず、失点しています。
これは正直ラッキーなゴールだったと思いますし、いわきFCからすれば要らない失点ですが大西の移籍後初ゴールも記録出来ましたし、これはよかったかなと。

この後も熊本が攻め立てますが、いわきが水際で防ぐ展開が続き、後半を迎えることとなります。

◼️後半
後半はいわきがハーフタイムに2枚替えするとともに、開始からハイプレスを強めて来ました。

FWも引き続きアンカーの上村を消す動きは継続しつつも、前半よりも左右CBへのプレスを強めてきます。
またサイドハーフも積極的にプレスに出てきます。
ですがここでも熊本はショートパスでの前進をしてきます。

例えば左CBの大西から展開する場合、左ハーフレーンに位置している竹本が大外レーンに移動してパスコースを作ります。
また竹本が相手のセントラルMFにマークされているときは無理せず江﨑→黒木を経由してショートパスを繋いでサイドを変え、低い位置に下りてきた大本を使って前進を試みます。

この動きをすることでプレスを強めてきたいわき相手にもショートパス、ミドルパスを繋いで前進することが出来ていました。

57分の追加点は右サイドで展開→前進をした結果、粟飯原が落とし→大本が拾いペナルティエリアに切り込み、左足でゴールを陥れました。
62分のゴールも左サイドからの前進を粟飯原がペナルティエリア中央へ落とし→平川が右足を振り抜きゴール、という最高の結果をもたらしました。

いわきも交代枠を使いフレッシュな選手を入れてプレスと攻勢を強めていきますが、ビルドアップが上手くいきません。
元々最終ラインから丁寧にビルドアップするというより、カウンタープレス→相手の守備が整う前にゴール前まで行ききる、というのが強いのかな、と感じました。
そのせいか、自分達から主体的に繋いでいく、というより密集を作り出していく、往年のドルトムントを彷彿とさせるチームでしたが、いかんせん決定力の高いFWとプレーメーカーが不足しているのかな、という感じがしました。

こぼれ球を拾ってドリブル、というパターンもありましたがこれも偶発的な側面が強く、単発で終わってしまいます。
ロングボールを蹴って2ndボールを拾う、というやり方も見せてはいましたが、まずオープンな状態でロングボールを蹴れる場面がなかった、というのもあります。
FWにロングボールを入れた時に2ndボールを拾える位置にポジショニング出来ていなかったですし、アビスパ福岡のように考え抜かれたロングボールによる前進ならまだしも、これでは辛いな、というのが感想です。

何はともあれ、得点を取った後は危ないシーンもあったものの全体的には熊本のペースで試合をクローズ出来ました。

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