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【メンバー】弁護士として働きながらNYCで働く鈴木さんにインタビューしました!鈴木さんの立場からみた「事業承継」とは?

今回は、弁護士として働きながらNYCでの投資業務を行っている鈴木さんにインタビューしました!
見るからにまじめそうな鈴木さんですが、「偶然」「たまたま」の出来事を経験につなげられてきた一面やユーモアにあふれる一面も!

「事業承継」の多様な側面に関わってこられており、NYCの厚みを増してくれる存在です。是非ご一読ください!

鈴木さん

鈴木さんは弁護士さんなんですよね?ご経歴を教えてください。
大学卒業後は2年間ロースクールに通っていました。
卒業後司法試験に合格し、その後の司法修習は中塚さんの出身地でもある広島で行いました。

司法修習の場所は第7希望くらいまで出せるのですが、第1希望が通らなかった場合は一気に下位の希望地になるため、希望地は慎重に選びました。
これまで東京にしか住んだことがなく、福岡、大阪、名古屋などは人気で競争率が高いため、広島、仙台などを検討し、せっかく日本人に生まれたのだから1年くらい広島に住んでみようと思い、広島を第1希望にしたところ、すんなり通りました。

希望が通ったのはよかったのですが、難点は東京からのアクセスが思った以上に悪かったことです。当時の彼女と会うために月1で東京に行っていたのですが、これも結構大変でした。結局、その彼女とは司法修習中に別れてしまったのですが。。(そういえば最近偶然、電車の乗り降りでその人とすれ違い、お互い少しびっくりしたことがありましたね。)
よく考えると、仙台は東京から新幹線で1時間半なので、仙台の方がよっぽどアクセスが良かったですね。

広島でははじめての一人暮らしで、中四国の人たちのお人柄や、地域の文化、瀬戸内の魚介類のおいしさに触れられた、味わい深い1年でした。

趣味のチェロをしている写真

広島がはじめての地方での暮らしだったんですね。NYCでは珍しい東京出身者ですね。
司法修習後の就職は?

大規模な企業法務事務所に就職しました。ロースクールの弁護士教員も大手事務所の方が多く、新卒のときは大手事務所での勤務のほうがややイメージしやすかったです。また、新卒でせっかくチャンスをもらえるのであれば、競争が激しい環境でチャレンジしたい、という気持ちもありました。
当時は、企業法務で積んだ経験を、将来的にはソーシャルベンチャーやスタートアップの応援に活かせたらいいなぁと考えていました。

就職後は、コーポレート関係の業務に配属され、M&Aや組織再編の案件に関与することが多かったです。新人のうちは法務DDでの大量の契約書チェック等、下働き的な仕事も少なくはありませんでしたが、それ以外にベンチャーキャピタルによる投資案件やスタートアップの支援案件に関われる機会も多かったです。
スタートアップとの関わりは、これから新しい事業をしようとしている方々に対して、事業をどうしたら適法に組み立てられるかという観点でのアドバイスを行って新事業が実現したり、資金調達時の法務支援によって調達が達成される等、支援したクライアントを通じて現実の世の中が変わっていく、という実感をより肌身に感じられる点が魅力でした。

1年目、2年目はなかなか重要な業務に携わることは難しいですが、新聞に大々的に掲載されるような案件にも携われることは、大手法律事務所で働く魅力だと思います。

自分自身がやりがいに感じたことは、はたから見れば大きな仕事ではないのですが、企業の法務担当者から「こういうことをやりたいのですが、法律上はどうですか?」という事業上、会社経営上の質問に対して、社内の関係者にもしっかりと説明ができるレベルの回答をすることでしたね。
目の前の困っている人の役に立ちたいという想いは根底にありますし、自分が的確な回答をすることで相手のやりたいことが進んだ、という感覚が手触り感をもって得られました。また、法的問題点の整理や、それに基づくリーガルリサーチを行い、論理的に考えた上できちんと説明するというプロセスは、法律家としての自分の力が試されます。

大手法律事務所在籍中には中小企業庁にも出向されているんですよね。
中小企業庁 事業環境部 財務課には弁護士出向者枠があるようなのですが、ちょうど前任の任期が切れるタイミングで後任を探していたようです。事務所のパートナーから、出向者として応募してみないかと声をかけてもらったのが最初のきっかけでした。他にも何人か候補者がいたようです。
自分としては、弁護士としての経験がまだまだ少ない中での出向の話は迷いましたが、直属のパートナーからの「最後は”やっちゃおう”と思えるかだよ」という言葉に後押しされ、応募を決めました。

出向に行ったことで自分のキャリアは変わったと思います。
まず、社会人としての基礎である「組織の一員として働く」ということを学ぶことができました。具体的には、国の政策決定のプロセスに携わり、大組織の意思決定のあり方や、その中での各人の置かれた立場に応じた動き方、考え方について、多くのことを実感を持って感じられました。

財務課はまさに「事業承継」に関する政策を担当する部署でした。
ここで「事業承継」のテーマに関心を持ち、弁護士としてもその面で強みを持つ弁護士になりたいと考えるようになりました。

2025年には70歳以上の経営者が245万人になる、そしてその半分の127万社が後継者不在と言われており、60万社以上の企業が黒字倒産するリスクがあります。
財務課への出向をきっかけに、問題自体の深刻さも認識しましたし、この問題の重要性、対応する政策の必要性を政治や世論にどう訴えていくか、という施策の実現に向けた舞台裏を垣間見ることができました。
弁護士という仕事は目の前のクライアントや事案に向き合いますが、行政の仕事は世の中全体を見て、社会問題をどうしたら解決できるか、に向き合います。
まったく別の視座で世の中を見ることができたことは大きな学びになりました。

出向から戻ったあとも、中小機構という組織のアドバイザーとして現在まで関わっており、社会全体にも関心を持って働いていきたいと思っています。

出向が中小企業や事業承継に興味を持たれるきっかけだったんですね。
はい。もともとベンチャー企業や同族企業など、株主数が限られたいわゆる"閉鎖的な"会社に関心を持っていたこともあり、出向期間を終えて大手法律事務所に戻った後、もう少し、事業承継に悩んでいるような中小企業向けの支援に特化したいと思い、新進の弁護士が代表を務める、弁護士数数名の法律事務所への転職を考えました。

大手法律事務所でも中小企業に関わる機会はありますが、アソシエイトという立場でより高い評価を得るためには、全般的に幅広い案件に関わる必要があるように感じていました。
個人事業主として柔軟に強みを尖らせたいという想いもあり、数か月間検討しましたが、転職した方がいいなと考え、転職しました。

この事務所では、クライアントは中小企業が中心で、分野としては事業承継案件に加えて倒産・事業再生の案件が多く、勉強になりましたし、ここでの経験が今の自分の血肉になっていると感じます。
もっとも、組織と個人のあり方に対する感覚の違いがあり、入所から約3年間で、さらに別の事務所に移ることにしました。移籍先の事務所は、財務課の前任出向者が独立してはじめた事務所です。

現在はどのような働き方をされていますか?
今年2023年の1月からは週2で新しい勤務先である法律事務所、週2でNYC、週1で中小機構に出勤し、それぞれの仕事をしています。
同時に複数の観点・複数の組織に所属することで自分が架け橋となって繋がりができるきっかけをつくれる可能性があり、自分の特性を活かせる環境なのではないかと思っています。

新しく参画した法律事務所では、引き続きM&A・事業承継案件を扱うとともに、スタートアップ支援にも力を入れています。また、事業承継の中でも親族内での事業継承に関わる機会が多く、再生・M&Aが中心だった以前の事務所とはまた毛色の違う案件を扱っています。
NYCはM&Aの買い手側、中小機構では社会全体や政策を考える立場から、多面的に「事業承継」や「M&A」を見ることができていますね。

NYCとの出会いは?
もともと、出向していたときに中塚さんと食事をご一緒したことがありました。出向先の中小企業庁は経済産業省の外局なのですが、本省である経産省にソフトバンクさんから出向してきていた方と、財務課の職員が、お互い知人を誘って何人かで食事に行こうということになったようで、私にも声をかけてくれました。そこに、(たしかソフトバンク時代のつながりで)中塚さんが来ていました。中塚さんが当時在籍していた会社が、私が所属していた大手法律事務所のクライアントであったという共通の話題もあり、初対面ながら楽しくお話したことを覚えていますね。

その後、最初の出会いから4年ほど期間が空き、NYCが創業したあとに、創業メンバーの4人と、私、それと財務課出向の後任弁護士を含めた6人で飲みに行ったり、NYCが主催する若手会にも呼んでもらったりして、その後、「うち、どうですか?」と声をかけてもらいました。

法律事務所ではなく、ビジネスの主体である会社のメンバーとして働くことにはもともと興味がありました。ただ、フルタイムでジョインすると弁護士業の経験を積めなくなってしまいます。キャリアの中で2年間の官庁出向もしており、そこまでの決断は難しかったのですが、ちょうどその頃、今の法律事務所へ移る話も進めていたタイミングであり、働き方を再設定できるチャンスではありました。そこで、フルタイムでなくても良いかという相談をさせていただきました。
ダメ元でのお願いでしたがOKをいただき、週2での業務を開始しました。

法律事務所ではなく、事業会社での仕事に興味を持っていたのは、当事者として社会を変える事業に関わることへの関心や、「法律」の知見を活かしてやりたい事業を実現させたい、何かを止めるのではなく進める道具として「法律」を使いたい、という想いがあったからです。
もちろん、NYCでは「事業承継」に携われることも大きな魅力でした。

実際にNYCで働いてみて良かったことはありますか?
NYCでは多様性を重んじていると思います。

例えばストレングスファインダーを使っての相互理解なども真摯に多様性を大切にしようとしている姿勢を感じますし、それぞれのメンバーが持っている知見や特性を活かすことが事業上の強みにもなると思います。それは、普段の事業活動の中でも感じますね。
具体的には現在、事業会社出身の阿部さんが投資先のバリューアップに関して大きな役割を担っていたり、銀行出身の堀口さんがローンの契約書周りの業務をリードしたり、といったことでしょうか。
新規投資の検討やハンズオン支援業務の中でも、バックグラウンドや人柄が違うメンバーでそれぞれ視点が違い、議論の中でも多様性が感じられます。

実は、直前に在籍していた法律事務所で働いてきた中でも、理想的なチームのあり方について考えた経験がありました。
メンバーとして働いていて、チームがどこを目指しているかがはっきりと伝わってこなかったり、パートナー陣が期待する能力・業務量と若手メンバーの経験不足のギャップを、自分の稼働を増やして補おうとしたものの耐えきれなくなった経験もありました。
組織全体の仕組みのずれを改善することは、自分一人の努力では難しいなと思ったこともあり、メンバーの力を最大限発揮できるようチームワークを磨いていく、という姿勢、環境には魅力を感じています。

働き方としても長時間労働をよしとしているわけではないところも魅力ですね。
大手法律事務所で働いていたころから、自分の10年・20年先の働き方や、家族との時間をどうするか?何が自分にとって幸せなのか、幸せを最大化するための時間の使い方は?というようなテーマも考えていました。私自身は、仕事に最大限コミットするよりも、日々の暮らしや家族とのふれあいを楽しめる方が幸せが得られると思っているので、NYCでは自分の考える理想的な働き方に近づけるのではないかと考えています。

NYCでは今どのような役割ですか?
法律の知見を活かした仕事では、投資検討・実行やバリューアップの際の法的観点からの確認、検討等があります。例えば、先日、意向表明書の文言のチェックをする中で、私のコメントがひな形の変更に結びついたこともありました。投資後の組織再編や、バリューアップに向けた顧客との契約変更に関してディスカッションをすることもあります。
投資実行、エグゼキューションに関連する業務は、弁護士としてまさに関与してきた分野であり、専門性を発揮できる業務だと思っています。

仕事以外の面では、キャラクター的には今まだ若干浮いている感はあります。ただ、多様性の枠を広げるという意味合いでは、ちょっと浮いている、こんな人もいるんだな、くらいの立ち位置のままでいいかもしれませんね。

NYCでこれからやりたいことはどんなことですか?
興味があるのは、中小企業の法務機能の立ち上げです。
必要に応じて適切なタイミングで外部の弁護士に相談、依頼ができる体制を整えることは、中小企業の社内機能として重要だと考えています。
法務機能の立ち上げにどのタイミングでどういう関わり方をしうるのかは、今後模索して中長期的に取り組んで行きたいですね。

またM&Aに関与する者としては、ビジネスの流動性を高めたい、活性化に貢献したいと思っています。
ビジネスの流動性というと誤解が生まれるかもしれませんが、ビジネスと人の結びつきが強くなりすぎると、人がビジネスに縛られすぎてしまいます。
流動性を高めることで最適な経営資源が最適な経営者のもとににある状態を目指し、それによって、経済的なチャレンジの数、試行回数を最大化することが、日本経済の発展のためにも大事だと思います。

これまで倒産や事業再生に関わってきましたが、苦境に陥った経営者は歯を食いしばって経営し続けるか、会社をつぶしてしまうか、というような選択肢しかないと思っていたりします。
実際にはたたむにしても傷がなるべく小さくなるようなやり方もありますし、債務を整理しつつ事業の中身が承継ができれば、新たな経営者のもとで事業が発展、成長していく可能性もあります。
流動性を高め、新しいビジネスの担い手に事業を渡すことが、資源効率の最大化にもつながるように思います。

地域金融機関の間でも、M&Aにおける多様な課題は、仲介会社だけで解決できるものではないという認識が広がっているという話を耳にすることもあります。
NYCでは投資会社として、事業承継に悩む企業様に買い手の立場で関与し、取引先・従業員などステークホルダーみんながよかったと思える「良いM&A」を増やしていきたいです。それによってM&Aのすそ野がもっともっと広がり、世の中のチャレンジの数が増えたら、日本はもっと楽しい国になるんじゃないかと思っています。

ありがとうございました。

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