変わったお客さん達の話



私は学生時代、喫茶店でアルバイトをしていた。フランチャイズの個人経営で、とてもアットホームな職場だったのでなんだかんだ6年も働いていた。その喫茶店は、街の中心部から少し外れた場所にあり、近くに大きな病院もあるため、お客さんのほとんどが年寄りだった。
6年も働いていたので、数多くのお客さんを見てきたが、中でも印象に残ってる人たちをピックアップしていく。

①杖を突いて大変そうに来店したはずなのに、杖を忘れて帰るお客さん

これは2、3回あった。全部別の人。来店時に傘立てに杖を刺して、帰りに間違って他の人の傘を突いて帰ろうとした人もいた。

②テーブルにコーヒー代を事前に出して置くのに、それを席に置いたまま忘れてレジでお金を払ってしまうおじいちゃん

これはある常連のおじいちゃんが5、6回やったので、もう慣れた。

③入れ歯テーブル直置きおばあちゃん

コロナが流行り感染を危惧する90歳のおばあちゃん。来店し席につき、私の顔を見るや否や「コロナ怖いねぇ」と言いながら入れ歯を外しテーブルに直接置いた。開いた口が塞がらなかった。

④マスターに毎回説教されるのにも関わらず、めげずに来店する自称音楽家のおじさん

頭の中に天才的な曲がいくつもあるらしいが、なんせ楽器が一つも弾けないので世に出ることはないだろう…

⑤アイスコーヒーを5秒で一気飲みして帰るお兄さん

いつも急いでいる彼は、来店するとすぐにカウンターにお金を置く。すぐにアイスコーヒーを提供し、彼はニコッと笑って一気に飲み干す。そしてすぐ帰られる。マラソンの給水かっ!

⑥オナラをする92歳のおばあちゃん

小さな体からは想像できない音を立てる。後ろの席にいたお客さんが激怒して帰ったこともあった。しかしなんせ注意したところで耳が遠いため伝わらないので諦めた。

⑦瓶ビールを冷凍庫に入れてしまい、気づいたら爆発していて見たこともない物体を作り出してしまったアルバイトのお兄さん

私のことです。すみませんでした。

⑧隣のラーメン屋と間違えて来店し、笑顔で「醤油!」と叫ぶおじさん

これも年に一度くらい起こるイベントでした。

⑨2、3分に一度「ウィ〜」と叫ぶおじさん

変なおじさんだけど悪い人ではなかった。

⑩いつもズボンが下がっていて、尻の割れ目が見えてしまうおばさん

ラッキースケベを期待した皆さんごめんなさい。これが恐らく1番キツかったです。あんまり思い出したくない。いつも不機嫌なんですが、何故か私の顔を見るとニカッと笑うため、私が接客させられていた。

変なお客さんは多かったが、それもそれで楽しい思い出だ。変わった常連客が同時に複数いると、オールスターだ!!とよくみんなではしゃいでた。マスター夫妻はとても優しく、本当にお世話になった。基本仕事は暇なので、マスターと競馬の予想をしたり、かなり自由に仕事をさせてもらっていた。近くを通る時は必ず寄って挨拶をする。一つ言い忘れたが、マスターもオナラをする。私の周りにはどうしてこうもオナラをする人が集まるんだろうか…。

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