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空前の「ゲズントハイト」ブーム到来。

今週は語学学校の最終週というのもあって、難易度とスピードの上がった授業についていくだけで精一杯だったのだけれど(けれど予習を強化して、なんとかついていっている)、そんなクラスの中で急に流行っている言葉がある。
それが「ゲズントハイト」だ。


「 ゲズントハイト 」はドイツ語では” Gesundheit ”と書く。
これは授業中だけでなく、ドイツで暮らしているとよく使われる言葉だ。

使うタイミングは、身の回りの人がくしゃみをしたとき。
この言葉はくしゃみをした人に対してかける挨拶なのだ。


くしゃみをすると掛ける欧米の言葉といえば、「Bless youブレスユー」が有名だと思う。これは「神のご加護がありますように」という意味だ。
ドイツもキリスト教圏なので、「ゲズントハイト」もドイツ語で「Bless you」と言っているのだと思っていたのだけれど、” Gesundheit ”を直訳すると「健康!」となる。

実は神様的な要素が全然ない言葉で、日本語の「お大事に」の方がむしろニュアンスとして近い言葉だったりする。


もともと英語圏の人や英語話者の多いクラスというのもあって、くしゃみをした人になにか言葉を掛けるという習慣を持つ人が多い。
そういう意味で気になって調べた人がいたのか、先週ひとりの生徒がくしゃみをした人に「ゲズントハイト!」と言ったことをきっかけに、「なにその言葉?」となって、一気にクラスで知名度が急上昇したのだ。


ドイツは今日本よりひと足早く秋に向かっている。
先週まで30度を超える日もあったのに、今週は日中も25度に届かない日が続いている。
そんな気温の不安定さと朝は15度、昼は30度みたいに1日の温度変化が激しく、ドイツに来たばかりでドイツの気候に慣れていない人が多いこのクラスは、少しずつ風邪や体調を崩す人が増えている。


結果、授業中にくしゃみをする人も増えて「ゲズントハイト」を言うチャンス、つまり「  ” ゲズントハイト ” チャンス 」が増えているわけだ。
誰かがくしゃみをすると、3,4人がつぶさに「ゲズントハイト!」と声を掛ける。
くしゃみをした人は言ってくれた人たちに「Danke!」とお礼を言う。


今日はこんなやり取りが授業中に4,5回あり、今日だけで約20ゲズントハイトがクラスの中で交わされたわけだ。


言語学習ではその国の文化を知ることは大切だし、本当に「健康に気をつけてね」という気持ちから言っている人もいるだろうから、それ自体は悪いことではない。

でも、授業中誰かがくしゃみをすると、誰かがすごい勢いで" Gesundheit! "と言うのが少し気になる。
別に1人しか言ってはいけないものではないから、そんなに急いで言う必要はない。

けれど授業の問題に答えるときすら我先にで言おうとする、向学心が強い人がこのクラスに結構いるせいか(もしくはふざけているのか)、こういうところでも「我先に!」と言おうとして、ここでも早押しクイズさながらのバトルを見せているのだ。


クシュンッ!

   " Gesundheit! "
     " Gesundheit! "
     " Gesundheit! "


クシュンッ!

      " Gesundheit! "
            " Gesundheit! "
        " Gesundheit! "


みたいな感じで、先生の説明を聞きながらも、くしゃみをする人がいれば瞬時に誰かが" Gesundheit! "を繰り出す、という感じになっている。



私もそのバトルに参加することもあるのだけれど、どちらかというと聞いてニヤニヤしてしまうことが多い。
なぜかというと、皆の言う「ゲズントハイト!」の勢いが、以前の年末年始によく見かけていた某お餅のCM「(正解は) ◯◯◯製菓!」のそれに近いからだ。
冗談抜きでクイズで回答するときのスピード感なのがわかってもらえるだろうか。


語学学校が一旦明日で終わる。
正直いろいろな理由で大変だったし、疲れたので終わってほっとする部分が多いのだけれど、この空前の「 ゲズントハイトブーム 」が終わってしまうのだけが、少し残念だ。


ちなみに町中で、そんな勢いよく " Gesundheit! " を言う人を見たことがない。たぶんそんなことをしたら、むしろ驚かれてしまいそうな気がする。

もし言う機会があったら、スピード重視ではなく「お大事に」の心を添えた言葉にすることをおすすめする。



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