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群馬帝国戦記

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群馬帝国 戦記まとめました。
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群馬帝国戦記第四話

群馬帝国戦記第四話

「とりあえず、ここの長に会うとするか。」

太一が部下の曽根中に言った。

山賊のように群馬県に侵入した太一たち。しかし県知事に就任するのだから、このまま息を潜めているわけにもいかない。どうにか県民たちとの接触を図りたいところだ。

太一たちは現在、榛名山頂付近の小屋にいた。ここが彼らの拠点である。
いつ襲われるかも分からない彼らが、派遣先の群馬県で負傷したとなれば、政府の責任も免れない。小屋の手

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群馬帝国戦記第三話

群馬帝国戦記第三話

廃藩置県発令から5日後、太一は諸事情により他の知事より遅く現地入りした。その諸事情とは群馬の立地だ。今現在群馬に行った経験があり、かつ県外に帰ってきた人間はいない。未曾有の土地で、どこにどれだけ原住民の監視があるかはわからない。人目を掻い潜るルートを探るのに時間がかかったのだ。

そんな問題を解決したのは群馬三山に数えられる榛名山だった。皆は榛名神社をご存知だろうか。五穀豊穣など様々なご利益のある

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群馬帝国戦記 第二話 

群馬帝国戦記 第二話 

本山太一は驚いた。
同僚は皆群馬帝国のことを「無法地帯」と呼ぶ。それを冗談だと切り捨てた太一の眼前には、まさにその無法地帯が広がっていた。

本山太一は廃藩置県によって政府から派遣された群馬県知事である。太一は薩摩生まれの薩摩育ち。群馬とはなんらご縁のない人生を送ってきた。そんな太一がなぜ群馬県知事になったのだろうか。

ー1871年廃藩置県発令3日前ー 

「なんで、なんで私が群馬なんですか!」

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長編小説 群馬帝国戦記 第一話

長編小説 群馬帝国戦記 第一話

「時は満ちた。いざ日本国に復讐を!」

群馬帝国王が放った一言に、民は歓喜する。日本国土総てを統一し、群馬の名を世界に轟かせる、そんな民の夢が遂に叶うのだ。

上野の国(現群馬県)は、古来より南北西の山々、東の利根川によって県外との交流が閉ざされていた。故にどの時代においても、上野が国の支配に置かれることはなく、政府の介入なしで独自の文化を築くことができたのだ。

勿論国はその立地から、何度も上野

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