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四不像は今も生きている。

北京五輪が絶賛開催中です。今日は北京にちなんで四不像シフゾウという不思議な動物のお話をしたいと思います。

四不像シフゾウとは?

四不像シフゾウ(スープーシャン)とは、封神演義に登場する瑞獣ずいじゅうで、主人公姜子牙きょうしが(太公望)の乗り物です。麒麟の頭、獬豸カイチの尾、龍の体をしているが、そのどれでもない、まさに「有り難い」神のお使いです。

麒麟・獬豸カイチ・龍と、瑞獣がふんだんにちりばめられたSSR具合に厨二心がくすぐられます。(; ・`д・´)💦

ちなみに獬豸カイチは日本の狛犬やシーサーのルーツとされており、神羊とか、一角獣とか、顔は龍に似ているとか、麒麟の小さい方とかいろいろ言われており……瑞獣界にも渋滞が起きております。

四不像ですから、四つのどれでもない(not any of four)ということですが、ん?三つ……かな(@_@)?
四不像は中国では「よくわからないモノ」という意味もあるそうです。

現在のシフゾウ

蹄似牛非牛 頭似馬非馬 角似鹿非鹿 身似驢非驢
「蹄は牛のようで牛ではない。」
「頭は馬のようで馬ではない。」
「角は鹿のようで鹿ではない」
「身体はロバのようでロバではない。」

未詳

牛・鹿・馬(一説にはラクダ)・ロバ、この四種のどれでもないということと
、そして伝説の瑞獣になぞらえて名付けられたのが、このシフゾウです。

……そうは言っても分類上は大型のシカの仲間です(偶蹄目シカ科)。

シフゾウ
wikipediaより

おーっ、なんか不思議
(´っ・ω・)っ カワイイヤンケ
……だけどやっぱりなんかシカっぽい。

歴史に翻弄されたシフゾウ

さて、このシフゾウの特筆すべきは「一度絶滅している?」ということです。
かつてシフゾウは中国北部に生息していましたが、乱獲などで淘汰されていき、清朝時代に野生種は絶滅しておりました。残存種は北京の南苑という皇帝専用狩猟庭園のみで生息するにいたりましたが、これらも清朝末期の大洪水による溺死や、義和団の乱の最中に食肉となり、ついに絶滅してしまった……と考えられておりました。

ところがのちに、イギリスの名家第11代ベッドフォード公爵により引き取られた個体がイギリス国内で生存していたということが判明しました。公爵家に保護されたシフゾウはヨーロッパ各地の動物園の飼育下で保護繁殖され、少しづつ個体数を増やしていきました。

そして1950年代に彼らの子孫はついに中国の地を再び踏むこととなりました。現在もまだレッドリストには搭載されていますが、かの地・南苑や、元の北京周辺の生息分布地で保護され、個体数を増やしています(現在世界で300~400頭程度)。(*‘∀‘)ヤター

日本の動物園にも数回入ってきており、現在は東京の多摩動物園でアオバ(オス)・カオル(メス)・セナ(メス)の3頭が飼育されています。

歴史に翻弄されたシフゾウ……(;´・ω・)💬

伝説の瑞獣になぞらえた動物にしては数奇な運命をたどっておりますが、今もちゃんと生きているということに安堵の気持ちがします。

最終的に皇帝の狩猟区でのみ生存していたということは、外敵に弱く、狩猟にも適したおっとりした性格だったのでしょうか……。でもオスの角は結構立派(写真はアオバ)。

シフゾウ2
アオバ(多摩動物園HPより)

四不像というジャンルにみなされるもの

〔実在〕
・トナカイ

偶蹄目シカ科。実際に中国ではトナカイを四不像と呼んでいる地域もあります。日本の京都市動物園にもシフゾウとして輸入されたことがあります。
・オカピ
偶蹄目キリン科。ジャイアントパンダ・コビトカバと並ぶ世界三大珍獣のひとつ。こちらもシフゾウと称したことがあるそうです。
・ボンゴ
偶蹄目ウシ科。上記に加わり世界四大珍獣ともいわれる、少し可哀想な珍獣。

オカピ(左)とボンゴ(右)wikipediaより

〔伝説〕
ヌエ
頭猿・体虎・尾蛇
・スフィンクス
頭人・体獅子
・キマイラ
頭獅子・体山羊・尾蛇

おわりに(オチ)

四不像は、今でも珍獣・UMA(Unidentified Mysterious Animal)的意味でつかわれることもありますが、よく読むとUMAウマだったりします。
オマケにチビッ子からはゾウの仲間と勘違いされがち(; ゚ ロ゚)
それ、ほんかいキリンがありませんのでこの辺で。

毎度馬鹿馬鹿しいお話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。頑張れ日本!
(・´з`・)オアトガヨロシイヨウデ

瑞獣についてはかつてこちらの記事も書いております。


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