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滞在権訴訟 3/7


 ホリデーもとうに終わっているのに、広場は賑やかな声と華やかな電飾で彩られている。やはりどこかSF映画の世界みたいだ。広場一帯を明るく照らすネオンのせいで、人々が吐く白い息はドライアイスの煙みたいに無機質に見える。
「上へ向かいましょう」とシンジが爽やかな笑みを浮かべてこちらを振り向く。彼はぼくらの先を歩いている。「ベルリン、光の壁を見にね」
「ザ・ウォール・オヴ・ライト」と僕は呟いて解説を求めるが、シンジは足早にずんずん先へと進んでゆく。まるで人の流れを完全に読み切っているように器用に人混みを抜けてゆく。
「世界は壁に満ちている」と僕は意味もなく空を仰ぐ。ベルリンテレビ塔。塔の先端は黒い雲に紛れている。
「N」と耳元でマキの声が上がる。「ちゃんとついておいで」
 マキはシンジの後ろを追いかけてゆく。僕も急いで追いかけるが、行き交う色とりどりのダウンジャケットが行く手を阻む。「どこに行くの?」と僕は大きな声でマキを呼び止める。「ちょっと待ってくれ」。だが全然マキは振り向かない。「あれ、シンジ君は?」
「展望台」とマキの声がして見渡すと、十数のダウンジャケットを挟んだ先で彼女は背伸びをしてこちらに顔を向けてながら、指を立てている。「シンジ君はあそこ」と指し示された方向を見ると確かにシンジがいて、既に塔のベース部入り口からぼくらを眺めている。
 僕は力一杯ダウンジャケットを振り切って、必死にマキの元に着く。
「どうかしたの、N?」とマキは息を切らしている僕を怪訝そうに見つめる。「なんか変じゃない?」
「どうかしてるように見える?」と僕は息を落ち着けながら呟く。
「心がどこかに飛んでいっちゃったみたいだよ」とマキは足早にシンジの待つベース部へ階段を登ってゆく。
「心?」と僕もマキを追いかける。「戦勝記念塔のせいかも」
「戦勝記念塔?」とマキは訊ねる。「ジーゲスゾイレ?」
「ああ、そういうドイツ名か」と僕は返事をする。「長い階段を登って天辺まで行ったんだが、なにも見えやしなかったんだ」
 マキは小鳥みたいに微かに首を傾げる。
「改装工事中、だったんだよ」と僕は無意味に鼻で笑う。「頂上は人っ子一人、鳩の一羽さえなくって、ただ、寒々とした風が吹きすさんでいた」
「さあ、もうすぐですよ」とシンジがぼくらに笑いかける。その笑顔は八月の満月のように上品で明るい。
 展望台に入ると、込み入った展示スペースが設けられていて、そこを抜け、シンジの抜かりない準備のおかげで、長蛇の列を横目に優先通路を使って、まっすぐ荷物検査場にたどり着く。そしてエレベータに乗り込む。エレベータは、展望台の比較的に新しい内装とは反対に、古くて狭い。十数人が押し込まれているに過ぎないがとても窮屈で、奥にいる初老の肥えた男がズレた眼鏡を直そうともぞもぞ動いているせいで、傍にいるマキやシンジと何度も体が打つかる。困ったことに、エレベータの速度は遅く、塔は高い。圧迫感と平衡感覚で、「本当に登っているのだろうか? 実は降っているのかもしれない」と馬鹿な思いつきが浮かぶ。と、ふと上から強い重力が降ってきて、エレベータがどしんと音を立てて激しく揺れる。
 扉が開くとぼくらは早足に窓の元へ向かう。目の前はベルリン市のパノラマが広がり、そこは数え切れない光で豪華絢爛に輝いている。三百六十度、ここかしこ、そこかしこに、無数の淡い黄色や青、白色の太い光の筋が走っており、幾つかの地点がまるで銀河みたいに、多角形や楕円、渦巻きなど様々な形の煌めきを放っている。一面を海に囲まれた絶海の孤島でしか見られない満天の夜空みたいに。本物の夜空は逆に、足下の数え切れない人工の煌めきとのコントラストで、星一つ浮かんでいないように見える。天と地が本当にひっくり返ってしまったみたいだ。街は満天の星に溢れた夜空となり美しく彩られているが、空は雲に覆われているため、底無しに全てを呑み込む漆黒の海のように波打っている。満天の夜空に、僕は昼に歩いた道のりを辿ってゆく。雲を集めるマリエン教会、天使の集うベルリン大聖堂、菩提樹の下、ウンターデンリンデン、勝利の女神の鎮座するブランデンブルク門に戦勝記念塔と、すべては数秒で簡単に見つけることができ、今ではみな、夜空に浮かぶ星雲の一つ一つとなり、仄暗い青色や明るい黄色、緑色の電飾を浴びて、明るく照らし出されている。
「迷子にならないで」とマキがひょこっと現れる。「って言ったでしょ?」
「人はいつまでも、ストレイ・シープなのさ」僕はマキを見返す。「君もそう」
「あるいね」とマキはぶっきら棒に言い放って、窓の外を眺める。僕の無意味な冗談のせいなのか、その横顔は意外にも少し悲しげで、なにかを後悔しているようにも、懐かしんでいるとも窺える。
「きれいだ」と僕は呟く。
「レストランからもよく見えたよ」とマキは振り返って、窓に背を向ける。「シンジ君が待ってる」
 マキは僕を下の階に連れてゆき、階段にさしかかると、天井に埋め込まれたスピーカーからチェット・ベイカーの『枯葉』が聞こえ出す。哀愁帯びた曲本来の旋律に、無限に回帰してゆくかのような速いパッセージが加えられていて、近未来の外観を呈すベルリンテレビ塔にひどく似つかわしい。
 階下に広がる空間は薄暗く、テーブルのそれぞれを点す美しく淡いキャンドルと、塔の中央に走る骨組みを囲むドーナツ状のバーカウンターにも灯されるぼやけた橙色の間接照明だけに絞られ、シックでロマンチックな雰囲気が醸成されている。キャンドルにアロマが含まれているのだろうか、シトラスらしき香りがふんわりと漂い、それもまたひどく洒落ている。バーカウンターの壁面に目をやると、ずっしりと高級酒の瓶が覆っており、遠目に認められる限り、シーバス・リーガルやジョニー・ウォーカー・ブラックラベル、カティー・サークと、魅力的で洗練されたラインナップだ。殆ど真っ暗な空間はけれどベルリン市の夜景と同様に、小さいが無数の煌めきが至るところに散りばめられている。ビールサーバーやエスプレッソ・マシーンから、丁寧に積み重なる食器類など、レストランに置かれた一切から、全てが磨き抜かれているため眩しい光が放たれている。ウェイターも一流らしい。折り目正しい黒のズボンを穿き、皺一つない白シャツに、赤と黒のチェック柄エプロンと揃いの柄の蝶ネクタイを締め、緩やかな所作で無駄のない動きをしている。そしてなににつけ、レストラン最大の見物はもちろん、外周となっているガラスに映っている、数え切れないほどの光に溢れたベルリン市の夜景だ。ロマンチックがとまらない。
 すでにシンジは席についていて、ネイビーのウールジャケットに身を包んだ姿はひどくこの場に似つかわしい。スターバックスとマックブックみたいに。マーティン・スコセッシとディカプリオみたいに。マキは当たり前みたいにシンジの隣に腰を下ろす。僕は残った二人と向かい合う椅子に着席する。と、シンジが何気ない調子で右手を上げ、ウェイターを呼び止める。僕がレストランを賞賛する言葉を並べ立てる猶予もなく、即座にほっそりとしたハンサムな顔立ちの男性ウェイターがテーブルにやってきて、僕に向かって早口のドイツ語をまくし立てながらメニューシートを手渡す。それはあるいは僕がなにか言いたげな顔をしていたからなのかもしれないが、当然僕はドイツ語がからっきしダメで、呆然とした表情をシンジに向ける。
「コーヒーにされます?」とシンジが僕に訊ねる。
「僕はコーヒーでいい」と返事をすると、「わたしはワインかな」とマキが僕を追いかける。
 シンジはウェイターに流暢なとても綺麗な発音のドイツ語で話しかける。
 ウェイターがテーブルを去ると、僕はレストランとシンジの垢抜けた印象に感嘆の意を伝える。と、すぐに再びウェイターがやって来て、優雅で落ち着いた所作でぼくらの前に飲み物を配る。ワイングラスは曇り一つなく磨き抜かれ、音もなく置かれたコーヒーカップはマイセン風で、平たい取っ手が左右両方に付いており、見慣れないが一級品なのは確かだ。シンジがグラスを傾けるのに倣い、僕もカップを手にする。鼻孔を刺激する香りはひどく濃厚で、まともな豆から抽出した本物のコーヒーなのが分かる。表面は油で艶っぽく光り、黒い液面はビールグラスのリムを僅かに映し出されていて、奥には取り澄ました様相で窓の外に目をやるマキがいる。コーヒーをすすりながら、マキを目で捉えると、その表情には見覚えがある。さっき窓の外を眺めていた時と同じ顔つきだ。服装と相まって大人びた雰囲気がある。自分はもう無邪気な女の子などではない。そう言わんばかりに、なにかを固く心に秘めているのではないかと感じさせる。僕をどうかしていると言ったが、あるいはマキもどうかしているのかもしれない。
「ここもすっかり、ベルリンのランドマークとなっていますけどね」とシンジはグラスを見つめている。そして軽く揺らしてはこちらを向く。「実は東ドイツによって作られたんですよ」
 惚れ惚れするほどに爽やかな笑みがこちらに向けられている。またウェイターが颯爽とやって来て、シンジとマキのグラスにワインを足す。
「どうりでエレベータが年代物なわけだ」と僕は言う。
 シンジはまた爽やかに微笑む。純白のカーテンをなぜる午後の柔らかな風のようだ。
「ほら、あの建物」と彼は窓の外を指差し、その先には強い光でライトアップされた赤い建物がある。アレクサンダー広場近くのモダンな赤煉瓦の建物だ。今朝、僕はそばを歩いた。
「赤の市庁舎って言われています」
「共産主義の赤」と僕は応える。
 マキは話には加わらず、窓の外を眺めながら、ワングラスを傾ける。
「っていうのは」とシンジはにんまりと笑う。「冗談です」
「へ?」と僕は呆けた声を上げる。
「赤の市庁舎という名称は、レンガの色にちなんでいるだけのようです。建てられたのは、十九世紀半ばですから。まだドイツは帝国で、共産主義は傍流にすぎない思想でした」
「やめておくれ」と僕は苦笑いをする。「アルコールが回ってきた?」
「でもね、Nさん」とシンジは首を振って、また晴れ晴れとした笑顔を浮かべる。「ベルリンテレビ塔の話は本当ですよ。完成は一九六九年。ご存じのように、当時ここは冷戦の最前線でした。だから共産主義は大いに関係があります。例えば、ほら、あのシュプレー川に囲まれた島」と、彼は橙の光を足元から浴びせられているベルリン大聖堂を指差す。「博物館島と呼ばれるあの中洲は、かつて王宮が築かれ、ルスト・ガルテン、楽しみの庭園と呼ばれる広場が中央にあります。東西統一までの期間、そこは『マルクス・エンゲルス広場』という名称でした」
 僕は目を丸くして唸り、「万国のプロレタリアートが団結するところ」と呟く。
「あるいは」とシンジはマキをちらりと見て、そしてレストランを見渡す。「しかしまあ、この共産国の先端技術を駆使して建てられた塔も、西ドイツでは『アスパラガスの茎』と揶揄されたそうです」
「アスパラガス?」と僕は首を傾げる。
「ポキっと折れると言いたかったんでしょう、きっと」とシンジはワインを一口、食べるように口に含む。「今では否定する見解も出始めていますが、共産国の技術力は未熟で資材の品質は低い、というのが西側諸国の常識でしたから。まあ実際、本当に脆弱な代物なのかもしれません。けれど僕はこの塔がかなり気に入っています。ル・コルビジェを想起させる近未来のデザインに、千フィートを超える高さ。半世紀を経た今目にしても、遜色なく美しい洗練された建築物と言えます。先見性があり、コンセプチュアルであり、まるで雲を突き抜けて宇宙にまで到達しそうな遥かな孤高さが感じられる。そしてそれはどこまでも無機質で共産主義の価値観をよく体現している」
 僕はシンジの勢いに圧倒されて、返す言葉を見つけられない。シンジは本当に酔いが回っているのかもしれない。普段に比べて語気が少し強く、発言に攻撃的な調子が感じ取れる。
「ところで」とシンジは話を続ける。「窓に映る光景が変化しているのに気づきましたか?」
 僕は首を振って、窓を向く。とくに変化はない、美しい夜景が広がっているだけのように思える。
「どういうこと?」と僕は訊ねる。
「回転してるんだよ」とマキがこちらを向いて話に加わる。「このレストラン」
「ん?」と僕は慌てて周囲を見回す。けれどやっぱり、動いているのかどうか全然わからない。言われてみればそういう気もするし、そうでない気もする。
「Nは相変わらずふしあなさん」とマキははにかみ、グラスを傾ける。
「ここの目玉です」とシンジが言う。「くつろぎの空間で、美食を堪能し、ベルリンを一望する」
「すてきだよね」とマキが呟き、そこには少し色っぽさがある。顔を見てみると、暗がりながらも少し頬が火照っているのが認められる。これもまたアルコールのせいだろう。そして僕は未だに、回転しているのかどうか確信を持てない。ふしあな、と言うよりは、頭のネジが飛んでいるだけだ。知覚器官ではなく、認知機能に問題を抱えているのである。
「けれど、快適すぎるのもどうかと思うよ」と僕はなぜだか荒い口調で、あらぬ方向へ舵を切る。「確かに、この夜景は美しい。けれど、なんだか、プログラムされたみたいな人工的な香りがして、結構嫌な感じがする。ちょうど、監獄がより快適であればあるほど、囚人は逆説的に苦痛を感じてしまうのに似ている。空間がより快適で完璧であればあるほど、自らの無力さを思い知る、みたいなものさ。いや、あるいは多くの人がこういう洗練された空間を好むに違いないという見え透いた経営戦略が気に食わないだけなのかもしれない。ともかく、高いところ、っていうのは本来、僕に言わせれば、嵐が丘であるべきなんだ。ワザリング・ハイツさ。ここは本物の高みじゃない。偽装された天の国だ。荒々しい風もなく、引き換えに支払う代価は金だけ。見晴らし、っていうのは本来、忍耐と苦難を乗り越えてこそ得られるべきさ。そしてそこは荒涼としているはずだ。ちょうど僕が登った戦勝記念塔みたいに。あそこじゃ、何百段もの階段を踏破しなくては頂上にたどり着けない。そして頂上においてはなにも見えない。そういうのがあるいはまともなんだ。にもかかわらず、なんの努力もなしにこんな美しい風景を手にしてしまった。条理に背いたものは罰を与えられる。なら、あるいはぼくらがいるのは、人工の楽園、つまり煉獄なのかもしれない。ソドムとゴモラさ。あるいはね」
 二人はきょとんとしてこちらを見つめている。
「ごめん」と僕は鼻で笑う。「なにを言っているんだろうね」
 マキが小さく頷いて苦笑いをする。「きっと戦勝記念塔のせい」
「そうだね」と僕は言い、なにか弁解の言葉を探そうとするが全く浮かばない。言うべきでないことなら幾らでも口を衝くのに。
「ところで」とシンジは親切にも話を変えてくれる。「光の壁は見えませんね」
「その光の壁ってなんなの?」とマキが口を開く。
「ベルリンの分断のせいで生じた、街灯の色の違いです。それぞれ、東側は電球を、西側はガス灯を用いたために、東は黄色、西は白と青が基調となっているそうですよ。西側がガス燈を使っていたのは意外におもますが、西ベルリンが飛び地であったため、東側に電力を依存せざるを得ず、だからこそ電灯の使用を避けたんです」
「興味深い」と僕は気を取り直して口を挟む。「夜になると壁が現れるってのは、シンジ君が前に言ったみたいに、ベルリンの裏の顔、という概念と整合性がある」
「そうですね」とシンジが僕に優しく微笑む。「ここからなら見えるかも、とも思ったんですけど、やはり航空衛星くらいの高さからじゃないと見えなんでしょう。こんな雑多な色じゃ、壁もなにもないですね」
「でもさ」とマキは窓の外を向く。「このままでいいんじゃないかな。ちゃんと一つ一つに色がある。そいういうの、なんだか安心しない?」
「そうかもしれません」とシンジがマキに笑いかけ、二人は揃ってワインを含んで夜景を眺め始める。僕も窓を向く。
 やおらドイツ語が聞こえる。ウェイターだ。「アールズッペというスープです」とシンジが僕のために説明を加える。テーブルに陶器を並べる所作もやはり流麗だ。僕はこの場所に全くそぐわない。そうふと思う。デートにぴったりのムードに包まれた洗練されたレストラン。目の前にはまるで恋人同士のように無言で語らう二人。僕は、遠巻きにはまともな格好をしている——フランネル地のジャケットとコーデュロイのズボンならある程度ドレスコードに適っているはずだ——かもしれないが、内実はジャケットの袖は解れ、ズボンの生地はよれているように、なりは相応しいとはほど遠く、そしてウェイターにまともに応対できず、そして高尚な会話を続けて場を楽しませることもできない。僕はここでは全くの不能者だ。
「Nはまだ」と突然、マキが笑いかけてくる。「夜景にご不満?」
「そんなことはないんだ」と僕は握ったスプーンを裏返して眺める。どこかの照明を反射して、銀器は明るい光を放っている。「あんまり慣れないんだよ、こういうのに。素敵なところだ。素敵すぎる」
「ううん」とマキもスプーンを握って眺めている。「Nの言ったこと、わたしもわかるよ。でもね、きっと、こういうのでいいんだ。素敵なものがたくさんある。それってとっても嬉しいじゃない?」
「こういうのって、どういうの?」としばらくスプーンを宙に留めたまま僕は考えを巡らす。けれど、まともな解答は出てこない。二人はスープを飲み出している。僕も彼らに倣う。ちょっぴり甘酸っぱく、どこか締まりのない味だ。これが美味なのかもしれないが、やはり僕は美食においても不能者であり、何口飲んでも舌が馴染まない。
「おいしいですねえ」とシンジが言う。マキは嬉しそうに頷き、「シンジ君、ワイン要る?」と訊ねる。シンジは頷き、マキは給仕に目を向ける。給仕がやって来てワインを注ぐ。二人はグラスを傾ける。グラスがちらりと光る。やおらシンジが軽く手を上げ、再び給仕を呼び出し、ワインボトルを注文する。間髪入れず、給仕がボトルをテーブルに置き、グラスに注ぐ。再び二つのグラスが傾いて光を放つ。
 一体、僕はここでどう振る舞えばいいのだろう。

NO MONEY, NO LIKE