O-CHA

日本茶インストラクター。 山のお茶づくりをお手伝いしています。 農作業のこと、お茶のこ…

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日本茶インストラクター。 山のお茶づくりをお手伝いしています。 農作業のこと、お茶のこと、植物や昆虫、生物学について発信したいと思っています。

マガジン

  • みかん切り日記

    お茶のお手伝いは冬は仕事がないので、みかん切りのアルバイトで生活をつなぎます。

  • お茶師日記

    山のお茶づくりなどを手伝いながら、自由に生きていきたいおっさんのエッセイです。

最近の記事

不知火(デコポン)を切る。Chat GPTを試してみた。(みかん切り日記4)

みかん切り4年目  今期も、11月末から1か月ほど、清水区のみかん農家のSさんのところへ、主に「青島温州」の収穫に行き、さらに2日間Sさんの近くの別の農家でみかん切りをしました。  それも終わって、年を跨いで20日ほど冬眠していましたが、「そろそろどこからか仕事のオファーがないかなあ」 なーんて何の根拠もなく考えていたところへ、Sさんから、「親戚のMさんが切り子を探しているけど行きますか」と連絡があったので即座に「行きます」と答えました。  今度のお手伝い先のMさんは、か

    • 茶園で「生物の進化」を考える!【お茶師日記18】

      雑草の種類は多い  茶園で草取りをしていると、草の名前が知りたくなる。今はスマホで写真を撮ってその場で調べることができるアプリがあるので、片っ端から調べてみる。雑草に関する本も読むようになった。そして改めて気づくのは種類の多さである。  例えば、幼木園の難敵である「メヒシバ」には、厳密にいうと「メヒシバ」のほか「コメヒシバ」「アキメヒシバ」という近縁種がある。私には同じ草にしか見えないが、これらは季節や環境で住み分けているのであろうか。  そしてこれまた厄介な「オオアレチノ

      • 柑橘品種のもやもや【みかん切り日記3】

        みかん切り終了  この冬も暮れまで1か月ほど、Sさんのところへみかん切りに行っていました。みかん切りの休憩時間やお昼の時に園主のSさんから、地元の話題やみかんづくりの技術的な話を聞くのが面白いです。 柑橘の種類  柑橘の品種の話もそういうときの話題の一つです。  このあたりのみかん農家は9月末から極早生(ごくわせ)品種を切り始めます。“ゆら早生”や“日南”などです。その後10月下旬から早生品種の“宮川早生”、“興津早生”などを切ります。人を頼んで切るのは12月に収穫する

        • ホワイトカラー的ひ弱さを克服したい【お茶師日記17】

          2021年9月12日  日々の農作業や茶工場の労働で体力はついてきたが、車両や機械の扱いは経験不足が否めない。  今の仕事に就いて2年半の間に、特に車のトラブルでは「農道での脱輪」「山の上の茶園でのバッテリー上がり」「帰り道でのパンク」がそれぞれ1回あった。  農家の方にとってはごく普通のトラブルかもしれないが、こんなことがあると悲しいくらいに困ってしまうのだ。 1 脱輪  仕事が終わって、狭い農道をバックして下がろうとして左前輪を脱輪してしまった。一緒に仕事していた若い

        不知火(デコポン)を切る。Chat GPTを試してみた。(みかん切り日記4)

        • 茶園で「生物の進化」を考える!【お茶師日記18】

        • 柑橘品種のもやもや【みかん切り日記3】

        • ホワイトカラー的ひ弱さを克服したい【お茶師日記17】

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        • みかん切り日記
          4本
        • お茶師日記
          18本

        記事

          雑草との闘いは熾烈だが雑草学は面白い!【お茶師日記16】

           2021年6月19日  バン茶製造が終わって、草取り生活に入りました。  社長が「梅島のつゆひかりがすごいことになってるよ…」とのことで、その茶園にやってきました。6月10日、真夏のように暑い。  「梅島」は、いわゆる「畑総」で整備された広大な農地であります。この一角に昨年植えたつゆひかりの12aほどの幼木園があります。  おーおー!  こりゃ、やりがいのある現場じゃのお。どこに茶の苗が植わってるのかわからんわい。昨年の秋も、一生懸命抜いてきれいにしたのに。 ここを一

          雑草との闘いは熾烈だが雑草学は面白い!【お茶師日記16】

          番茶づくりは毎日アップアップ【お茶師日記15】

          2021年 6月6日 バン茶作りの始まり  例年より早く、今年の一番茶は5月10日に本茶が終わり、その後バン茶づくりに移行した。この時期の「バン茶」は、一番茶の後遅れて伸びてきた比較的柔らかな芽を刈り取る「芽バン」と、一番茶の残葉の硬化した部分をガリガリ刈り取った「鬼バン」がある。この地域独特の言い方かもしれない。  「バン茶」は漢字で書けば「番茶」だが「一番茶」と紛らわしいので「バン茶」と記すことにする。  ほうじ茶や飲料用の原料となるバン茶の価格は当然安い。だから一番

          番茶づくりは毎日アップアップ【お茶師日記15】

          【お茶師日記14】お茶刈りと職工の日々

           2021年5月5日 雨が続くと…  現在、一番茶の真っ最中でありますが、雨。  お茶農家さんたちは雨が降れば降ったで機械の整備やら小売り用の仕上げ、発送とお忙しいでしょうが、そういうものが一切なくお休みになるのが私。♪「雨が続くとぉ〜仕事もせずにぃ〜 キャベツばかりをかじってたぁ~」♪という歌詞が浮かんできますね。(こないか) お茶刈りのお手伝い  今年はお茶の芽が早かったのですが、その後比較的気温が低い日が続いていて、思ったほど芽が伸びてこない状況です。  我が社

          【お茶師日記14】お茶刈りと職工の日々

          【お茶師日記13】 自然発生的「お茶摘み大会」

           今年(2021年)のお茶時期が、例年よりずいぶん早く始まりそうですが、昨年の「初摘み」の時の、ちょっと嬉しかった出来事をお伝えします。 初摘み   2020年4月19日  新型コロナで世の中が混迷する中、新茶シーズンとなりました。  初揉みは4月19日の日曜日。我が社の茶園で最も芽の生育が早い、市の南部の住宅地に隣接する場所を朝から手摘みしました。 近所の子どもたちが  関係者の家族やお手伝いの人たちを動員して大勢で摘んでいると、周辺でボール遊びをしていた小学生の男

          【お茶師日記13】 自然発生的「お茶摘み大会」

          【お茶師日記12】”清貧生活”で2年が過ぎた

          2021年4月  世の中は、新年度を迎えました。  ということは、私も退職後2年を経過したということになります。  1年があっという間ですね。  皆さんも薄々気づいていると思いますが、幼少の頃と比べて、地球の自転、公転周期が年々早くなっていることは間違いないですよ。  こんなに一年が早いということは。昔に産まれといてよかった。  私ごとながら(いや、いつも自分のことしか書いてないだろ)、この2年間の生活を振り返って、それ以前と変わったこと、変わらないことなど、どーでもいい

          【お茶師日記12】”清貧生活”で2年が過ぎた

          【みかん切り日記2】 みかんを切りながら地域農業の変遷を想う (2)

          みかん切り終了  1月10日にみかん切りのアルバイトが終了した。年内に終わる予定がかなりずれ込んでしまった。前回書いたように、私がお手伝いに行っているSさんのところには、周辺でやれなくなった農家からの借地が増えて、マンパワーが間に合わなかったのが理由の一つである。 みかん農家の収穫時期 静岡県の柑橘類生産は、晩生の温州みかんの「青島」が主力である。秋から収穫する早生温州もあるが、そちらは品質で和歌山や愛媛にかなわないので主力にはしていない。産地による住みわけともいえ

          【みかん切り日記2】 みかんを切りながら地域農業の変遷を想う (2)

          【みかん切り日記1】みかんを切りながら地域農業の変遷を想う

          2019年12月  秋冬番茶の製造も、茶園の作業も終了したので、11月以降は、お茶のイベントの手伝いや事務仕事などをしていたが、12月からは、我が茶工場を利用しているみかん農家Sさんのところへみかん切りに行くことにした。 12月6日、初めてみかん山へ行った。  我が茶工場の若いアルバイト従業員の二人も少し前からここで働いていて、そのうち1人は、毎日午前中、市街地近くのイチゴ園で収穫作業に従事し、午後からこちらにみかん切りに来ている。  その日の作業場所は、立派な農道を上った

          【みかん切り日記1】みかんを切りながら地域農業の変遷を想う

          つるとり【お茶師日記11】

          2019年6月13日  畑仕事 一番茶の工場勤務が終わって20日ほど、家で少しずつ事務仕事などをしていたが、副社長から「2番茶を刈る茶園の『つるとり』やってくれませんか」とメールが入った。  「つるとり」とは茶株面のヤマイモのツルを除去することである。我が社は山間地にあるが、市街地に近い南部の丘陵地に茶園を借地して経営規模を拡大しつつある。そこに二番茶を摘採する茶園が3か所ある。  茶園の中は、成園になってしまうと、地面をほぼ茶樹が覆ってしまうのであまり雑草は生えないが

          つるとり【お茶師日記11】

          【お茶師日記10】「肩書き」がないと…

          2019年6月9日 一番茶終了  工場は6月初めまで一番茶の番茶を製造して終了しました。私はお茶師としては2番茶までお休みです。しかし、幸い仕事がないわけではありません。社長から「今年はGAPを取るので手伝ってもらいたい」と言われていました。  GAP(Good Agricultural Practice)とは、製品の安全性や環境や労働衛生に配慮した正しい生産管理方法を取り決め、認証を受けるものです。 事務仕事  一番茶の最後の出勤日、夕方製茶がひと段落して事務室へ

          【お茶師日記10】「肩書き」がないと…

          茶工場に集う人々(その2)【お茶師日記9】

          2019年6月  前回書いたような経過があって、この工場は2017年秋から新たなスタートを切りました。  しかしです。いくら地域の茶業を守ると言っても、経営が行き詰まって解散しようかという工場を買い取って採算の取れる経営ができるのか、と誰もが思うでしょう。これについて新社長にはおそらく2つの戦略がありました。  1つは会社としての「直営農場」を確保することです。茶栽培をやめていく人が続出する現在、茶園は増やせます。家族経営による管理では労力に限界がありますが、法人であれば茶園

          茶工場に集う人々(その2)【お茶師日記9】

          茶工場に集う人々(その1)【お茶師日記8】

           今回は、私がお手伝いしている茶工場(有限会社)に出入りするメンバーについて紹介します。  会社は、静岡県中部の清流に沿った山間部にあります。「茶工場」といってもお茶を加工するだけでなく、お茶を栽培し、収穫し、販売する。純然たる農業生産をしています。  会社としての正規メンバーは若い3人。30代の社長と30代の副社長が役員、そして高校を卒業したばかりのT君が社員です。  3人はこの会社の構成員ですが、その一方で社長は同じ集落にある茶農園の園主、副社長は少し離れた別の地区の茶

          茶工場に集う人々(その1)【お茶師日記8】

          【お茶師日記7】 お茶師と体力

          2019年 5月17日  お茶師は茶工場の中で、どのような労働をしているでしょうか。  自動化していない製茶ラインの場合、お茶師は茶葉の状態をチェックし機械を調整することや、取出し(次工程への搬送)のタイミング判断のため、機械から機械へと動き回っています。また、生葉の集荷場、荷造り場、事務所へ行ったり来たりしています。  ほぼ8時間の勤務で何歩くらい歩くかをスマホアプリで計測すると、自分の場合毎日2万歩程度です。また葉打機や粗揉機では茶葉のチェックや、取出しの際の掃き出し

          【お茶師日記7】 お茶師と体力