我が家の上は雲の通り道

地形の所為なのか、風向きの所為なのか、センター南の辺りから鴨居駅へ真っ黒な雨雲が連なることがある

前から気になっていたのだけど、先日、車を購入するときにディーラーのおにいさんに

「あそこは雨が通りますからね～」

と言われ、やっぱりそうだったのかと確信した

結果、おにいさんの熱意にも負け、まったく予定していなかったガラスコーティングをつけることになる

会社員時代、”晴耕雨読”な生活に憧れてた
最高の贅沢だと思ってた

天気の良い日、オフィスでPCに向かうのが耐えられなかった

出勤途中にドタ休を決めて、家にUターン
そしてザックを背負って山へ向かったことも、1度や2度ではない

朝、あまりに富士山が美しかったので、ドタ休しておばあちゃん（母）を助手席に乗せて富士山一周したこともあったな

2年半前に隠居して、晴耕雨読な生活ができるとウキウキしてた

図書館で借りられるだけ本を借り
天気が良ければチャリで東へ南へ、車を転がして西の山へと出かけた

太陽はメイッパイ使わないと損。な気がしてた
やがて、お陽さまのプレッシャーを感じるようになる

最近は”コスパ”を通り越して”タイパ”という言葉が使われている
会社から離れ、そういった世界から一歩離れて過ごせると楽しみにしてた

けれど、30年以上かけて体に染み込んだ習慣を変えることはなかなか難しく、家事でも何でもついつい”効率”を追いかけることがあった

今、2年半たって、ようやく効率の呪縛から逃れつつある

考えてみると、”晴耕雨読”も、効率を良くするための手段かも知れない

効率よく作業できる晴れ間に耕し、効率の悪い雨のときに休む
結果、全体を効率よく進めることができる

寒気が入ってきて、ようやく少し冬らしくなってきた中、今日は日差しが暖かく、絶好のお出かけ日和

おおかみにとって、12月は絶好の低山登山シーズン
去年だったら、”晴耕”でザックを助手席に放り込んで西へ車を転がしてたところだ

でも今日は、”晴読”

やさしくふりそそぐ陽を背に、掃き出し窓に寄りかかって読書

外はピーカン、何をするにも絶好の日和
そんな日に雨でも出来る読書

う～ん、贅沢だ

こないだまで、晴れると外で何かしなければ…と、お陽さまに急かされてた
なんの後ろめたさもなく、まったり”晴読”出来るようになるまで2年半

タイパコスパの呪縛から逃れるのに思いのほか時間を要したみたいだ

”晴読”が豊かなら、”雨耕”も贅沢なんだろう

15年ぐらい前、次女フーと長男ウーを引き連れてセンター南へ
こぶた達がまだ小さかったから、チャリで50分ぐらいの距離

その帰り道、例の通り道をヤツが駆け足でやってきた
どす黒い雲の艦隊は、あっという間にちいさな３匹の真上に覆いかぶさった

そして雨宿る場所のまったくない丘を狙ったように
容赦ないシャワーが降り注ぐ

どうしようもこうしようもない
考えてもどうにもこうにもならない

もう、笑うしかない

3匹揃って大笑い
キャーキャー言いながら大疾走

水たまりには、両足あげてわざと突っ込む
坂道をつるんで走るチャリは、そのまんまスプラッシュマウンテン
誰か写真を撮ってくれ！1500円でも買うわ

当時、おおかみはすでに40半ばのいいおっさん、である

空気を読めない雲艦隊は速度を上げ、絶好調に走る おおかみ一行を抜き去った

鴨居につくと…何事もなかったように、ピーカン
鶴見川にかかる鴨池人道橋を渡る人々は、誰一人傘をさしていない

そんな中を、ビチョビチョの濡れネズミならぬ濡れこぶたとおおかみの３匹が、ヨタヨタと走る

ヘラヘラと笑いながら走り抜ける
気分は、楽しい ＞ 恥ずかしい

そして得体の知れない達成感♬

橋を歩いていた人々は、その光景をみて”贅沢”とは思わなかっただろう
でも、今のおおかみが見たなら、何て贅沢な光景！と感じるだろう

このときのことは今でもときどき話題にあがる
とっておきの楽しい思い出。まさにプライスレス

もちろん、洗濯やら、チャリのメンテやら後処理はあったわけで
晴れのサイクリングと比べたらタイパコスパは悪いに違いない

でも、そんなことを気にしないでバシャバシャに遊べたのは、ある意味とても贅沢

”晴読”だけじゃなくて、”雨耕”も贅沢だ

というわけで、チャリ用のレインコートとレインパンツを買おう
次の旅では、雨でもチャリれるように

残念ながら、おおかみの元へ届けてくれるサンタはいない
セルフサンタで買い出しに出かけよう

今は成人したフーとウー、今年もまだ靴下を出して眠るのだろうか…💦

コストからも時間からも逃れ
天気からも逃れ

”晴耕雨読”のその先へ、次は何から逃れるんだろう

たぶん、まだまだ自分でも気づかない呪縛が沢山ある
それに気づいて剥いていくたびに、少しずつ豊かになれる気がする

ま、とりあえずは”年齢”だな
”年甲斐もなく”を合言葉に、2024年は龍のように飛び回るゾ♬

メリークリスマス！