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アマゾン先住民族は生活習慣病がなく、心疾患リスクはほぼゼロ。

ボリビアのアマゾン僻地に居住するチマネ族に関するレポートです。
チマネ族は、心疾患の発症率、そして認知症の有病率が世界で最も低い集団として知られています。
高齢者でさえ、肥満や高血圧、糖尿病、心血管疾患など、今日の先進諸国で一般的な疾患がほとんど見られないことが明らかになっています。

2014年7月と2015年9月に、チマネ族705人を対象に冠動脈石灰化スコアを検査しました。
冠動脈石灰化スコアは心臓発作の可能性を推測することができます。スコアが100から400の場合、軽度の冠動脈疾患を発症する可能性が高いとされています。
結果、検査に参加したチマネ族の85%が0でした。
75歳以上に限ると65%がスコア0で、スコアが100を超えたのは4人(8%)だったとのこと。これは先進国と比べて1/5の値です。

また、40~94歳のチマネ族の成人746人にCTスキャンによる脳画像検査を施行したところ、加齢による脳の萎縮速度が欧米人と比べて約70%遅いことがわかりました。

一般に、心血管に良い生活習慣は脳にも良いと考えられています。
定期的な運動、健康に配慮した食事、禁煙などの心血管に良い習慣は、認知症のリスクの低さと相関があります。

チマネ族は狩猟・採取や農作主体の生活をしており、生涯を通して活発な暮らしを営んでいます。
1日の狩猟時間は平均で8時間以上。1日の歩行距離はおよそ18キロ。歩数にすると1万6000歩から1万7000歩です。
身体活動量が多く、食物繊維と不飽和脂肪酸が豊富な食品を摂取し、砂糖や防腐剤、飽和脂肪酸の摂取量はごく限られています。

80才を過ぎたチマネ族の血管年齢は、だいたい先進国における50才と同じだったそうです。
血管が綺麗であるという実験結果ですが、体内の炎症レベルは先進国よりも高かったという結果も出ています。
本来、体内の炎症は老化につながり血管ダメージも増えるのですが、チマネ族には当てはまっていません。

チマネ族は総摂取カロリーのうち72%が炭水化物です(アメリカでは52%)。
脂質が14%ほどと少なく、中でも飽和脂質の摂取量は少ないですが、炭水化物は非常に多いです。

昨今、炭水化物の摂取を極端に減らす「炭水化物ダイエット」は根強く人気があります。炭水化物の摂りすぎは糖尿病や肥満、心血管疾患にも繋がると指摘されています。
チマネ族のライフスタイルを見る限り、炭水化物に問題があるというよりは、活動量に秘訣があるということが言えそうです。

先進国に暮らす人が狩猟採集民族と同じようなスタイルの生活を送ることは不可能に近いです。
それでもなるべく近づけられるよう、散歩をしたり、親しい人たちとともに食事を作ったり、自分が楽しいと感じることを続けることが大切だと研究者は述べています。

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