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夢を追いかける少女と家族を支えたホテルマイルドのおはなし|愛媛県四国中央市

そっさくですが、みなさん。
四国中央市でたくさんの「ご縁」が集まってくる
ホテルがある事をご存知だろうか?

もくもくの煙突とエモいマイルド

四国中央市のシンボル紙工場の煙突を望める場所に「ホテルマイルド」はある。
川之江インターから車で5分。ビジネスや出張、学生の合宿をはじめ、お遍路の拠点としても使用される事が多い。

おかえりの笑顔満開のロビー

マイルドの魅力は「おかえりなさい」と、ふるさとに帰ってきたかのように、いつも暖かく迎えてくれる接客。そして、お客さん一人一人の人生に寄り添った丁寧なおもてなしをしているところだ。

だからこそ、毎日たくさんのご縁がうまれている。
良いことも悪いことも、マイルドにかかればすべて大切な「ご縁」なのである。

今回は、そんな「ご縁」の多いホテルマイルドのお話のなかでも、一人の少女の夢が花開いたお話をご紹介していきたいと思う。


episode

by micocoroya 

さて、このお話のもう一人の主人公は、神奈川県出身の荒井理紗子さん。書道家を目指す女子大生だ。

荒井理紗子さん(荒井宏恵さん提供)

彼女は、5歳から書道を始め、小学1年生の時に書道ガールズの映画を見てからというもの、書道の世界に魅了された。その後、中高一貫の書道部強豪校に入学して腕を磨き、卒業後は、書道パフォーマンス甲子園で審査員も務める美文字研究の第一人者であり書道家の青山浩之先生の弟子となった。

現在も勉学に励みながら書道を続け、様々なイベントやメディアで活躍されている。

(荒井宏恵さん提供)

理紗子さんの記事をいくつか拝見したが、キラキラと光る瞳で、真っ直ぐに夢を追いかける彼女の姿は、まさに漫画やドラマの世界から飛び出してきた主人公のように光り輝いて見えた。

(南しずかさん撮影 荒井宏恵さん提供)

しかし、そんな輝かしい功績の裏側には、彼女の血の滲むような努力とそれを支えるご家族、そしてマイルドの方たちの存在があったという…。

やめるときも、すこやかなるときも書道と共に。

きっかけは、理紗子さんが小学2年生の時。
お母さんが乳がんと診断されたことから始まった。

ショックも大きかったが、愛する家族と一生懸命、支えあいながら、長い治療を終えることができたそうだ。

しかし、その後遺症もあり、お母さんは右腕が上がりにくくなってしまった。リハビリに何か一緒にできることはないかと考えた結果、思いついたのが昔から習っていた書道だったそうだ。

理紗子さんの直筆の書(マイルド所蔵)

そこから理紗子さん自身も、ますます書道の世界にのめり込むようになっていった。四国中央市を訪れては、マイルドに宿泊し、書道パフォーマンス甲子園を家族で見に行っていたそうだ。

イベントごとに飾り付けたり…ぬくもりを感じる

しかし、理紗子さんが高校生の時、コロナという未曾有の危機が日本を襲う。理紗子さんの生活も一変した。そして、部活動が停止。書道パフォーマンス甲子園も中止となった。

思うように練習や活動ができない日々、部員の数も減っていく。そんな環境のなかで、理紗子さん自身も先が見えないトンネルの中に迷い込み、心が何度も折れそうになった。

しかし、それでも筆をとって乗り越えることができたのは、家族の惜しみない愛情と、苦しい時も嬉しい時も変わらずに「おかえり〜」と我が家のように迎えてくれるマイルドの人たちがいたからだった。

マイルドの愛され従業員みっちゃん

中でも、マイルドの名物従業員であるみっちゃんは、理紗子さんのお母さんの良き相談相手でもある。

どんな時も一緒に支え合い、生きる力をたくさんもらってきた。この時も、たくさんのことを相談しあったそうだ。

そして、理紗子さんが高校3年生になり、コロナがようやく落ち着いてきた頃、書道パフォーマンス甲子園が再開された。短い練習期間の中で、部員と共に一生懸命、やれることをやって全力を尽くし、甲子園に挑んだ。

が、結果は奇しくも後一歩というところで、予選敗退。理紗子さんは、ずっと憧れていた書道パフォーマンス甲子園には、出場できなかったそうだ。


「でも、そういう悔しさと挫折があったからこそ、今に繋がってる」

と、理紗子さんのお母さんは話してくれた。なんと、その悔しさは、原動力に代わり、彼女の書道への情熱は、さらに熱く燃えていったのだ。

大学生になった理紗子さんは、次の夢に向かって書道を続けていた。たくさんの先生や書道家の方々と交流しながら、四国中央市にも度々訪れていたという。

そして、そんな理紗子さんの情熱が身を結び、さらに大きな感動を呼び起こす出来事が、ホテルマイルドで起こった。

たくさんのご縁をうみだした感動の書道パフォーマンス!

マイルドのロビーに荒井さんの書がチラリ。

2023年7月、4年ぶりに観客を入れた書道パフォーマンス甲子園が四国中央市で開催される事となった。理紗子さんは、ボランティアとして参加するため、お母さんと共にマイルドへ訪れていた。

その時、マイルドの社長のりえさんと従業員のみっちゃんから「甲子園に出場する子たちへ激励の意味も込めて、マイルドで書道パフォーマンスをやらないか?」という提案があったそうだ。

理紗子さんは、その提案を喜んで快諾し、マイルドのロビーにて「前夜祭!大学生書道家の理紗子さんによる激励書道パフォーマンス」が開催されるはこびとなった。

(荒井宏恵さん提供)

大きな半紙と向き合い、勇ましく筆を走らせる姿は、見る人すべての魂を揺さぶるようなパフォーマンスとなった。

一生懸命、書道に打ち込み努力してきた理紗子さんの想いが具現化した作品が完成したと同時に、会場は凄まじい熱気に包まれたそうだ。

できあがった作品(荒井宏恵さん提供)

そんな理紗子さんのパフォーマンスの裏方で、大きな半紙を支えていたのは、マイルドの従業員のみっちゃんと理紗子さんのお母さんだった。立場は違えど、理紗子さんのことを長年、陰ながら見守ってきた2人である。

感動は涙となって溢れ、みっちゃんとお母さんは、戦友のように抱き合って喜んだ。そして、見ていたお客さんの心も震わせ、中には素晴らしくて泣いている人もいた。理紗子さんのパフォーマンスのおかげで、人と人、たくさんの想いやみんなの願いを繋げることができたのだろうと思う。

みっちゃんと理紗子さんご家族(荒井宏恵さん提供)

その場にいた方々曰く、本当に素晴らしく、書道パフォーマンス甲子園の本番さながらの盛り上がりだったと熱く語ってくれた。

みっちゃんは、この時のことをふりかえり「支えてきたご家族の情熱も愛情もずっと近くで見てきたから、理紗子ちゃんの飛翔していく姿が本当に嬉しくて、嬉しくて、涙が止まらなかったのよ」と笑顔で話してくれた。

理紗子さんのお母さんも「泣いて笑って、あんなに一緒に喜んでくれるようなホテルは他にはない。魂レベルで話ができるマイルドだからこそできたことだし、今の私たちがあるのだと思う」と話してくれた。

お二人からこの話を聞いた時、マイルドと理紗子さんのご家族だからこそ繋がることができた「ご縁」であり、その「ご縁」は、周りの人たちも巻き込んで大きな感動を与えることができたのだと確信した。

毎年多くの色紙や手紙が届くマイルド

ホテルマイルドには、書道だけに限らず、全国の学校の様々な部活動からお礼の色紙やお手紙が毎年、届いている。

そこには、自分たちが悩んでいる時に「楽しんできたらええ」とアドバイスをしてくれたり、緊張してる時には「おかえりー」と暖かく声をかけてくれたり、たくさんの言葉や想いに助けられたと言う感謝の気持ちが満ち溢れていた。

「頑張ってる子を見てると応援したくなる。最近は、感動して涙がすぐでてくるんよ〜」と、可愛らしく微笑む、みっちゃん。

愛情深いホテルマイルドの方たちだからこそ、これからもたくさんの「ご縁」が花開き、感動がうまれるていくのだと感じた。

writing by miki shibahara 
by micocoroya 


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