オカルテット

2022(令和4)年4月16日、Twitter(現在はX)にて発足した共同創作企画です…

オカルテット

2022(令和4)年4月16日、Twitter(現在はX)にて発足した共同創作企画です。作画・編集は🍙が、小説・当アカウントの更新は🍊が担当しております。詳細はXのアカウント(@56_tet)をご覧ください。 使用しているイラストは相方🍙より承諾済のものです。

最近の記事

オカルテット8 帰路

主要登場人物   帰路 「あんのひょろ長もやし野郎め!」  境内を後にして、下り坂を大股で歩く大和は、腸が煮えくり返っているようだ。  早足の彼に歩幅を合わせながら、冴歌がぽつりと言う。 「あんたってさ、今回の幽霊が視えるっていう宮司さんのうわさはどこで聞いたの?」 「ずいぶん前の話だが、町の人から聞いた。川浜のじっちゃんちの猫探しを終えて帰ろうとしたら、二人組の女性が話しかけてきたんだよ。『ねぇ、大和くん。知ってる? 三上神社には幽霊が視えるっていう神主さんがらしいわよ

    • オカルテット7 憂いをまといし若宮司

      主要登場人物   憂いをまといし若宮司  森の入り口から続いていた一・五キロほどの長い上り坂を歩いて二十分。ようやく小さな鳥居が見えてきた。朱色は大部分が剥がれ落ち、そばにある『三上神社』と掘られた石碑はこぢんまりとたたずんでいる。拝殿もお世辞にも新しいとは言えない。 「朽ちた神社ね」と冴歌。  少し歩を進めて、一礼してから境内に入ると、その拝殿をせっせと磨いている小太りの一人の女性がいた。 「あーあの、スンマセン。ここに、幽霊が視えるっていう神主さんがいるって聞いたんス

      • オカルテット6 私と大和

        主要登場人物   六 私と大和  星冶くんと会い、大雨に降られた五月十七日は自分の誕生日だった。あの後、事務所に戻った私と大和は、三上神社の歴史や具体的な所在地を調べたりした。幽霊が視えるという神主については、情報屋を名乗る大和でさえ、うわさレベルでしか知らないらしい。ネットで検索してみても、そのうわさはおろか神主についての情報すら一切ヒットしなかった。  調べものが一段落すると、大和がビジネスバッグから小さな箱を取り出して渡してきた。それはきれいに包装されていた。 「ち

        • オカルテット5 回顧

          主要登場人物   五 回顧 「あんたと初めて会ったのは、舞狗市の商店街の一角にある空きガレージだったわね。廃校になった小学校の椅子と机並べて、表に『町の便利屋』って手作り感が満載の看板が立ってて」 「おうよ。えーっと、保志さん⸺」 「星冶で構いませんよ。お二人のほうが年上ですし、さん付けは無しで。鵜ノ目さんも」 「じゃあ、私のことも冴歌って呼んでちょうだい」  三人は今やすっかり打ち解けている。 「なんか、小学生のガキが初めて会って、『お友達になろうよ』みたいなノリだな」

        オカルテット8 帰路

          オカルテット4 腐れ縁

          主要登場人物   四 腐れ縁 「あ、雨すごいですね……」 「そうね」  今や土砂降りとなった雨が樋(とい)を叩く音を耳に、平然と匙を進める冴歌。 「そ、そういえば鵜ノ目さんのその翡翠色の目はカラコンですか?」  気を遣ってか、星冶がインスタントのカフェオレを運んでくる。 「いえ、生まれつき。純日本人なんだけどね。じゃあ私からも一つ。保志さんのそのパーマは天然? それとも美容院でパーマを当ててもらってるの?」 「あ、僕は天パです。かなり癖が強いので、洗うときと乾かすときにけ

          オカルテット4 腐れ縁

          オカルテット3 先約

              三 先約  いつの間にか足音はまったく聞こえなくなっていた。 「少し落ち着きましたか?」話しかける機を窺うような慎重な声色。 「ええ。ごめんなさい」  その頃には星冶の顔色も幾分かましになっていた。 「何か作りましょうか。ほら、もう一時半ですし」 「いいんですか?」 「僕もお腹空いてきたから」気遣うような笑みで、彼は言葉を続ける。 「簡単なものしかできませんけどね。んーと、目についたのは卵とレタスかぁ」冷蔵庫の中を見ながらつぶやく星冶。 「レタスチャーハン?」頭に

          オカルテット3 先約

          オカルテット2 屈辱

          主要登場人物   ニ 屈辱  会話を交わしながら、入り組んだ細路地を何度曲がっただろう。 「この薄緑の壁のアパートが僕の家です」  三〇三のプレートが真新しい駐輪場に自転車を止めた星冶が、先導して階段を昇っていく。階段も手すりも錆一つない。三〇一号室と三〇二号室の『空き』の張り紙を横目に、角部屋へ。 「僕の部屋です」ドアを大きく開けて迎え入れる星冶。  鍵はかけられたが、そのまま押し倒される……ようなことはなく、電気が灯された。 「……おじゃまします」  間取りは七畳ほど

          オカルテット2 屈辱

          オカルテット1 邂逅

          主要登場人物   一 邂逅  約束の一時間前に郷土資料館に着いて、中をぐるりと回り終えたところで、背後から若い男の声がした。 「あの、もしかして鷹ノ目さんですか?」「あ……」  振り返ると、顔面蒼白な青年が立っていた。ブラウンのメガネに、地毛なのか天然なのかは判らないが癖の強いパーマ。やや明るめの茶髪だ。下ろしたてなのか白いパーカーがまぶしい。下は黒みの強いジーンズ、底の厚い黒のスニーカー。靴紐の深緑が差し色になっている。 「十時よりも早く着いちゃって」  この青年こそが

          オカルテット1 邂逅

          【番外編】新年掌編

          「や〜ま〜と〜サ〜ン!! あけましておめでとうございますッス〜!!」  ガラガラっと勢いよく開いた窓が戸袋に吸い込まれて大和が顔を出す。 「アホか! 朝っぱらから近所迷惑だろーが!!」「だってだって、新しい年ッスよ? めでたいじゃないッスか」  ブロック塀越しに見える、両手を広げてくるくる回る剛はアホそのものだ。実際、人目を気にする目がないようだ。 「あー、そうだな。めでたいな、オメェの頭がよ」 「大和サン、早く行きましょ! 東條サンちの神社、舞狗市の奥深い森の中なんスよね?

          【番外編】新年掌編

          キャラデータ③ 東條・レイ・エミル

          東條・レイ・エミル 役割:仲間 性質:主人公の支援をして、主人公の感情や立場を読者・観客に伝える 性別:男 一人称:小生 生年月日:1995(平成7)年12月3日(射手座の27歳)※2023(令和5)年5/17時点 血液型:B型(大胆不敵でプライドの高いタイプ) 職業や所属:ごく小さな集落の出身で、三年前に父親を亡くしてから、朽ちかけた小さな神社の神主となった。魈(すだま)祓いという、自然から発せられる悪い気や、山林・木石の精の化け物を浄化する、いわば陰陽師のような

          キャラデータ③ 東條・レイ・エミル

          キャラデータ② 横山大和

          横山大和 よこやま やまと 役割:仲間 性質:主人公の支援をして、主人公の感情や立場を読者・観客に伝える 性別:男 一人称:オレ 生年月日:1987(昭和62)年7月20日(蟹座の35歳)※2023(令和5)年5/17時点 血液型:O型(復讐タイプ) O型のなかでも、怒らせると最も怖いと言われる気質 職業や所属:情報屋(町々を駆け回り世情を知り、依頼主や街中で見かけた困っている人を助ける) 経歴:高卒→情報屋 ●概要  バイクの免許(普通二輪免許)が取得できる1

          キャラデータ② 横山大和

          キャラクター① 鵜ノ目冴歌

          鵜ノ目冴歌 うのめ さやか 役割:主人公(物語の主役) 性質:リーダー(チームを率いて成功や成長へと導く) 性別:女 一人称:私 生年月日:1979(昭和54)年5月17日(牡牛座の44歳)※2023(令和5)年5/17時点 血液型:A型(探究心の旺盛なタイプ) 職業や所属:オカルトマニア 経歴:大卒 【概要】  この世に説明ができない事象はないという思考を持ちつつも、不可解な現象が存在することに興味を抱いている。占いや幽霊や超常現象といったオカルトを信じないながら

          キャラクター① 鵜ノ目冴歌