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林檎


寒き朝林檎の赤き背骨には示されていた母の匆々

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母の剥いてくれた林檎には、たいてい細く皮が残っていた。

もう!ちゃんと剥いてよ!

と憎まれ口を聞いてた。

ウサギはもちろん、V字にカットしてずらしていくようなやつ(何か名前あるのかな?)とか、いろんな飾り切りをしてくれていた頃もあったのに、「そんなの忘れた」と言っていつのまにかしてくれなくなった。


林檎ひとつをざっざっとカットして、ほぼ二回で一欠片の皮を剥き切っていたように覚えてる。

あんな剥き方してたら、そりゃ残るよなぁ…真ん中あたりの皮は


あの頃、とてつもなく忙しかったんだろうなと今は思える。

それでも林檎ぐらい と

林檎を手にそんなことを思い出した朝。たぶん、あの頃の母の年齢は遠に越えてる。


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