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おだまゆの試演会2

前回は「おだまゆの試演会について」という記事で、この小さな実験の場の概要について書きました。

今回からは、その実際の試演会はどうだったのか?その記録を載せていきます。
(ちなみに試演会1は2019年。プライベートなリハーサル会でしたので記録としては割愛します。)

2020年夏、コロナ禍の中ウイルスに怯えながら本格的に始めたこの企画。
ご一緒して下さった演奏家の皆さまが、苦境の最中でも何とか演奏を続けているのを少しでも多くの方にお伝えしたく、毎回試演会の様子をfacebookに投稿していました。以下はその投稿文をほぼそのまま載せています。
日常を取り戻した今現在、たった数年前のコロナ禍の混乱の記憶が薄れつつありますが、あの時の気持ちや行動が、今の自分に繋がっているように感じます。忘れたくない大切な記録として。

おだまゆの試演会2 レポート

この時弾いた曲の楽譜たち

2回目の企画となる私主催の試演会(勉強会)、昨日無事に終えました。
キャパ60人のホールに演奏者8人のみ、距離の確保や消毒、小まめな換気など出来る限りの感染対策を行いながらの無観客での開催でしたが、皆さまの温かなお人柄に包まれ、和やかな会となりました。

それにしても約2時間、よく弾いた!
声楽、弦楽器、管楽器の計7人のソリストさんとご一緒しましたが、皆さん意欲的なプログラムで、無観客では勿体無いほど。そして会場ピアノは、私にとって初のFAZIOLIでした。

まずはシューベルトのリートに始まり、ハイドンのアリア、エルガーの歌曲『海の絵』など、声楽のお三方のプログラムがとても個性豊かでした!

かの有名なシューベルトの「魔王」をバスの望月忠親さんがe-mollで、次にメゾソプラノの田辺いづみさんがf-mollで歌って下さり、一度に違う調で「魔王」を二回弾く機会はそうそう無いこと!
私にとって、また、恐らく客席の皆さんにとっても本当に貴重な経験でした。
(どなたかと原調g-mollでご一緒できたら、頻出の調は制覇?!)

アイルランド民謡「夏の名残りのバラ」は、望月桂子さんがなかにしあかねさん編を、
先ほどの田辺いづみさんがブリテン編を歌ってくださり、同じメロディでのアレンジの違いをじっくり堪能しました。

弾きたいと熱望していた2曲、歌曲『あんこまパン』は田辺さんと、プーランクのヴァイオリンソナタはヴァイオリンの眞島李帆さんに、私からリクエストして演奏して頂きました。どちらも抜粋だったので、次回は必ず全楽章を演奏したい…!

フランクのヴァイオリンソナタは、コロナ禍で本番が吹き飛び弾けなかった曲の1つ。時間の都合上、今回は第4楽章を眞島さんとご一緒に弾くことで、ひとまず成仏させることにしました。

ニールセンのホルン曲「厳粛な歌」は、下吹き必須のレパートリー。私にとって初曲でしたが、ホルン奏者の吉澤夏未さんのおかげで良い曲に出会えました(個人的にバガテルより好きかも…)。
定番のモツ2も久しぶりに弾き、最早懐かしささえ感じましたが、楽しかった!

コレッリのソナタはトランペット用に編曲されたものでしたが、今回唯一のバロックもの。基本が大事だなと改めて考える良い機会となりました。

司会も映像撮影も演奏者にお願いすることになりましたが、快くお引き受け下さり本当に有り難かったです。
会場打ち合わせ、プログラム作成、進行表作成はもちろん、久々に対訳作成にも取り組んでみました。歌い手さんと詩の世界を味わいながらの対訳作成はとても勉強になり、(当たり前ですが)曲への理解、感度がさらに深まりますね。

2020年2月末から、コロナ禍で仕事のキャンセル連絡が続く日々、先が全く見えない不安。
SNSに書かれる些細な言葉にさえも深く心抉られ、私にとっても絶望的な春でしたが、「人前で弾く感覚」「アンサンブルの勘」を忘れぬよう、せめて勉強会をとの思いで企画しました。

みんなで!

アンサンブルで共に音楽に心を寄せた時間、演奏後のソリストさんの晴れ晴れとした表情、信頼する皆さまからの心のこもった大きな拍手、一生忘れないと思います。熱演をご披露いただき支えて下さった皆さまに、深く深く感謝します。


プログラム

おだまゆの試演会 II
2020年8月11日(火)
渋谷ホール

田辺 いづみ (Mez.)
望月 桂子 (Mez.)
望月 忠親 (Bas.)
眞島 李帆 (Vn.)
織田 得郎 (Tp.)
藤吉 正規 (Hr.)
吉澤 夏未 (Hr.)
織田 麻祐子 (Pf.)

シューベルト:音楽に寄せて D547/Op.88-4
シューベルト:『冬の旅』D911/Op.89より 第1曲「おやすみ」
シューベルト:魔王 D328/Op.1(e-moll、f-moll)
エルガー:『海の絵』Op.37 より 第4曲「珊瑚のある場所」
ハイドン:『6つの創作されたカンツォネッタ第2集』より 第34曲「彼女は決して恋心を語りませんでした」

アイルランド民謡/なかにしあかね編:夏の名残の薔薇
アイルランド民謡/ブリテン編:夏の名残の薔薇
林望 詩/伊藤康英 作曲:歌曲『あんこまパン』より 第1楽章「信じてくれないだろうなぁ、」

コレッリ:トランペットソナタ 第8番 Op.5
プーランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ FP119 より抜粋
フランク:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ より抜粋
ニールセン:カント・セリオーソ
モーツァルト:ホルン協奏曲 第2番 KV417 より抜粋
キール:ホルン協奏曲 Op.23 より抜粋
グリエール:ホルン協奏曲 Op.91 より抜粋

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