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韓国でパスポート失くしたオダイムニダ^_−☆①

3月のことだ。韓国・ソウルに旅行に行ったのは。
3日間で爆食・爆美容、爆買いを堪能。

牡蠣ポッサム(生牡蠣と茹で豚を葉っぱで包む)


余韻に浸りながら、福岡に帰る飛行機のチェックイン。

帰ったら翌日から東京に向かわねば。午後7時から神保町のカレーイベントでゲストスピーカーとして話す仕事が私には待っているのだ。それも大勢の大人たちの前で。

ひぇん、何を話そうか

そんなことを考えながらチェックインカウンターに向かった。

パスポートをお願いします」
カウンターの韓国モチ肌爆美女に言われるがままに、
はいはい、これね〜(ガサゴソガサゴソ)
斜めがけのバッグを漁る。
しかし、ヤツの気配がまるでない。

ガサゴソガサゴソ......

「ちょっと待ってね〜(焦)」
カウンターの前でスーツケースもガバッとこじ開ける血眼オダ
しかしさっきから出てくるのは現地で買ったカラフルなパッケージのお菓子、洋服、本、紙クズ。
隅から隅まで手を突っ込むが空振り三振。
ホテルに忘れたのかもしれないと思い、電話で聞いてみた。
ないです
スコンと撃ち抜かれる心。



終わった。




どうしようどうしよう。え、飛行機乗れない?航空券14000円が泡になった?てか明日から東京なんだけど大勢の大人たちが私の話聞くの楽しみに待ってるんだけど。今日もし帰れなかったらどこか泊まる場所また探さないといけないんだっけ。てことは東京行きの飛行機も泡・・・

オダの脳内

アワアワしながら、頭が真っ白になるどころかグルングルン回り始める地球儀。まじアース🌏
「とりあえず大使館に行ってください」
冷静沈着モチ肌爆美女に言われるがままのオダ。

大使館。
大使館ってキムタクが出てたドラマ「HERO」で突撃してたとこ?!
私、大使館行くん?

「わかりました!大使館!行ってきます!」
絶対に興奮する時ではないぞ、オダ。
絶体絶命であることを忘れるではないぞ、オダ。

地下鉄で3駅ほど乗り、大使館がある駅で降りる。
地上に上がった途端、降り出した雨。

なんで今降ってくるん?
しかもよりによって、顔に叩きつけるような横殴りの雨やん?

神様にツッコミが止まらない。


降りしきる雨の中、傘も持たず、デカいスーツケースを持ち大使館をひたすら歩いて目指す日本人女性1名。
整備されていない道にスーツケースの車輪が負けそうになる。

スマホの地図アプリを操作したいけれど、雨に濡れて思うように操作できない。
それでも大使館までの道を現地の人に聞きながらヨタヨタと歩く。道を聞きながら、韓国語で「大使館」は「テサグァン」というのだと知る。

ようやくたどり着いた大使館はタワービルの上の方にあったけれど、そんな大層なものではなかった。
日本のパスポートセンターとおんなじような内装だったが、入る前に手荷物検査と身体検査をしなければなかった。
韓国だけど、なぜか韓国を出た気分になった。

「コンニチハ、ドウサレマシタ」

受付の韓国スベ肌美女が流暢な日本語で出迎えてくれた。

「パスポートを失くして……」
「イツカエルヨテイデスカ?(いつ帰る予定ですか?)」
「今日です」
時計をじっと見つめるスベ肌美女。時刻は午後5時を回ろうとしている。美女がこちらを振り向いた時、今から言われることの見当はついた。

「アー、キョウジュウニハカエレマセンネ(今日中には帰れませんね)」

同情するような、情を振りかざすこともせずテキパキと仕事を進めたいような、スベ肌美女の声が胸をツンツンと刺す。
色んな不安が一瞬にして頭をよぎった。

明日のイベントに出れるのか問題
一晩どこで過ごせばいいのか問題
果たしてちゃんと日本に帰れるのか問題

それらを掻き消すように、美女はものの10分で明日日本に帰れるためにするべきことを早口で説明した。お前のイベントと宿は知らんというばかりに。

・警察署に届出の提出
・証明写真の準備
・緊急渡韓証を発給するために必要な書類記入
・明日朝イチでこの大使館に提出しにくる

一気に生まれたタスクだった。明日日本に帰るための。

日本に帰るための書類(もう3枚ぐらいあった)

「いいですね?明日朝9時半に大使館が開くのでそれまでに全て揃えてください」
スベ肌美女の勢いに圧倒されながらも、
この人も必死に職務を全うしてくれているのだ
ということを感じる。

ありがとうございます、そういって帰ろうとする私を引き止める美女。
「アノ、ゲンキンハ、アリマスカ?」
「2万ウォン(≒2,000円)くらいなら」
「緊急渡韓証の発給代(3万ウォン)の支払い現金しか使えません。パスポートなしで両替できるところが……」

タスク追加なり。
両替にはほとんどの場所でパスポートが必要だ。
そして私は生粋の、パスポート失くしたオダイムニダなのだ。

おびただしい情報が疲労困憊した体を通り抜けていく。
美女の言う両替所証明写真を撮れる場所を記した地図を最後に渡されて、私は大使館からソウル警察署に向かった。

日本に帰るための手段は理解した
あとはそれを全て遂行するだけ……
とはいえ、飛行機も取れてないし、今夜過ごす場所も見つかってない。

やることと不安は多かったが、日本に帰るまでの道が少しばかり見えて案外気分は前向きだった。

そう、警察署で言葉の壁に絶望するまでは。(初歩的すぎるw)


次回「絶対に両替所を教えてくれない警察官〜極寒のソウルで死を覚悟編〜」


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