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おだぺすの由来はおーぺす

今更ながら適当に付けたodapeth(おだぺす)を今でも名乗っている。いくつかの黒歴史にあたるblogの類のうち、ここ十数年はodapethで営んできたし、それをリアルワールドに持ち込んで学生時代の友人から「おだぺすさん」と呼ばれていたこともあった。

元ネタはスウェーデンのOpeth(おーぺす)というメタルバンドです。めたる。Opethについて書こうと思って調べると、既に完璧な説明がなされていた。

Opethのバンド名の由来は、小説の中に出てくる月の都Opetから引用したものらしいので、odapethは「月の都っぽいおださん」くらいの意味になるだろうか。

プログレッシブなのにデスメタル

ROCK界でも「The Beatlesがすべてを完成させたので、それ以降は焼き直しに過ぎない」と言う過激派もいらっしゃる。もちろんThe Beatlesが偉大なバンドであることは手放しに認める。仮にそれが真だとしても私はOpethが好きだったし、それなりに革新的で唯一無二だったと思う。

シュンペーター先生の「イノベーションは新結合」を拝借しつつOpethの魅力を語るならば、King Crimsonのようなプログレッシブロックでありながら、同時に北欧のダークサイドに堕とされしデスメタルでもあるという組み合わせが革新的で最高だった。

取って付けたような強引な融合ではなく、分解して再構築して完成度高く作り込まれている。両方を心から愛しているオマージュが感じられながらも、躁鬱の落差がOpethの個性となっている。

苦手がOR条件で効く

イノベーションの事例としてカツカレーを挙げると、カツが好きな人も多いしカレーが好きな人も多いので、多くの人に愛される素晴らしい新結合だと言える。

一方で、プログレとデスメタルの組み合わせは、実際に耳障りなデスメタルが苦手な人も多いだろうし、曲が長ったらしくて難解なプログレッシブロックが苦手な人も多いだろう。それを結合させるとOR条件で効いてきて、かなり聴き手を選ぶニッチな音楽になる。

だから、Opethの記事を書いておきながら「みんなに聴いてほしい」とは微塵も思わない。ただ、淡々とodapethはOpethが好きだったという話をする。

最初にOpethを観たのは初来日のLOUDPARK06

昨今はフェスと縁遠い日々を送っているけれど、メタル界隈で日本最大のフェスと言えばLOUDPARKだろう。その記念すべき初回LUDPARK06があったのは15年前、フェスとしての名前を売るため凄い豪華なメンツだった。

スラッシュメタル界の四天王のうち3組であるMegadeth、Anghrax、Slayerが1つのフェスに揃う(Metallicaは同じ年のサマソニで来日)。Napalm Deathが世界一短い曲のギネス記録を持つ「You Suffer」を演奏する。メロイックサインでおなじみの今は亡きDIO様も当時は健在でおられた。勢いのあったANGRA、Dragonforce、Arch Enemy、IN FLAMES、MASTODON、そして若くしてこの世を去ったアレキシの率いるChildren of Bodomも来ていた。そんな総勢たるバンドの中でOpethも初来日を果たした。

関西在住な学生だった私odapethが、ディズニー勢に紛れて夜行バスで幕張メッセまで行く一大イベントだった。夜行明けのバキバキな疲れも、Opethのステージが1曲目のThe Grand Conjurationで幕を開けた時に吹っ飛んだ #思い出の曲 である。一曲が長いため30分のステージで4曲を演奏した。

以降は頻度高く来日するようになって大阪公演もあったため、夜行バスに乗らなくて済むようになった。音楽性の気難しさとは裏腹に、北欧紳士なジョークが軽快だった。

40万円のギターを買った話

結婚する前のこと。一緒にメタルバンドやってる人生の先輩に「何かアドバイスはありますか?」と聞くと「高いギターはもう買えなくなるから最後のチャンスだと思って買っておけ」という貴重な言葉を頂いた。

そもそも私はベーシストで、それほどギターは弾けないんだけど、結婚目前に40万円近くするPaul Reed Smith Custom24を買った。ヴァイオリン等と比べればギターなんて安いけれど、エレキギターの中では高い部類に入る。これもOpethのフロントマンであるミカエルさんが使っているギターである。

とりあえず持っているもののOpethの曲はまったく弾けない。そもそもオープンDチューニングとかなので、それだけで違う楽器を覚えるくらいハードルが高い。odapethがギターを持つのは忘年会の一発芸程度である。

メタル郊外へと移ったOpeth

私odapethがこの投稿で「好きだった」と過去形で書いているのは、ここ10年でOpethは変わってしまったのである。メタルを辞めてしまい、10th以降はヴィンテージな音色を押し出した70年代プログレッシブロックへと変貌を遂げた。

「チーズバーガーをチーズ抜きで」とオーダーする人がいたら、「もはやそれはチーズバーガーと言えるのか?」というアイデンティティ問題に発展するだろう。似たような事例だと、スラッシュメタル界をつくったMetallicaがブラックアルバムでスラッシュしなくなった時のような感じ。

Megadethにおけるムスティンさんのように、Opethはミカエルさんが舵を握っている。そのミカエルさんがメタル界に見切りを付けて郊外へと移った。私odapethにとってメタルであることもOpethの本質であったけれど、ミカエルさんにとっては違ったんだ。

やっぱりあの頃のOpethが好き

Opethがメタルを辞めてしまってからも、odapethはミカエルさんの生み出す音楽を追い続けてきた。うん、聴き込めば味を出すスルメのような魅力はあるかもしれない。...だがしかし、かつてのプログレッシヴデスメタル時代のOpethが私odapethにとって最高過ぎるのだ。

アルバムで言うと5th「Blackwater Park」、6th「Deliverance」、7th「Damnation」、8th「Ghost Reveries」あたりが好き。ミカエルさんが前面に出るけれど、リズム隊のアドリブ感みたいなところで、この動画の頃のメンバー構成が好き。1拍足りない拍子、暴力的からツンデレするカタルシス崩壊、執拗なまでのしつこい繰り返しがたまらない。

(余談)結婚前にアドバイスをくださったギタリストは、OpethからIN MOURNINGに乗り換えておられた。なるほど確かに初期Opethっぽくもあり、70年代でなく現代に進化してたらOpethがこうなるかもという感じ。

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