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誰に選ばれるかより、何を選ぶか。

本日(2023.2.1)ダンス劇『マリーの夢』が、神奈川県民ホールでこの夏上演される事が発表される、いわゆる情報解禁というものです。

ダンス劇『マリーの夢』とはバレエで有名な『くるみ割り人形』の原作である、E.T.A.ホフマンによる童話くるみ割り人形とねずみの王様』を、なんとわたくし熊谷拓明が、ダンス劇として脚本、振付、演出をする。
というなんともスペクタクルな舞台であります。

もともとこのお話を頂いたのは、2020年の始めだったような・・・
東池袋にある、あうるすぽっとという豊島区の劇場で、何年も続いていた『子供に見せたい舞台』という夏休みに行われる企画があり、2021年の本企画の作品として、僕が初めて原作のあるものをダンス劇として創作するという、緊張感のあるご依頼でした。

子供に見せたいものを僕が創る・・・このことにまず緊張するわけです。
この数年、子供向けのWORKSHOPなどを行ってきたような経験もなく、
子供のいない僕には、このことが勝手に社会的責任のある行為だと、
重く受け取っていたでしょう。
そこに原作がある。と言う事も、大きく降りかかって来ました。

僕は料理が好きなんです。もともとは中学の頃母親が僕に「これからは、男だって料理をするべきだ、しかも男の子が料理したらモテるよ!」という、僕の性格を見抜いた、共働きで忙しい母の手伝いを張り切ってさせる為の言葉だった。僕はモテたい一心で料理を練習しました。
そして、料理が大好きになった。

そんなある日、母親が「冷蔵庫に、ニンジンと、牛肉と、玉ねぎと、ジャガイモがあるから、辛口のルーと、甘口のルーをちょっと使って、カレーを作っておいて。」と電話で言うのです。
なんだか一気に嫌になった。
僕の創作性は何所で発揮したらいいのだ?
作るものを決められて、カレーを創る・・・
冷蔵庫を開けて、あるもので何か作っておいて!
と言われ。結果カレーを作るのとは、大きく異なるストレスがあった事を、覚えている。

熊谷さんのダンス劇で、この「くるみ割り人形とねずみの王様」を舞台にしてください
これは本当にうれしく、光栄な事だと、理解をしながらも、
どこかで僕は、あのカレー事件を思い出していたのだろう。

そんなわけで、とにかく自分の気持ちを奮い立たせる事が大変だった。
結果としては、自分の思うマリーの夢を、多くのスタッフ、キャストに体現して頂きながら、支えられ本番を目前に控えた、舞台稽古の夜。
「また明日!」と言って解散したまま、中止が決まった。
当時は劇場の決定に、はっきり言って、不満たらたらでしたが(笑)
大人ぶって、中止を受け入れたり、皆様にお知らせしたり。

しかし、あれから二年。僕もキャストもスタッフもそ、れぞれの2年間を生きた後に、今あの作品を創りなおすことは、良い事だと本当に思っています。結果オーライ。

しかし劇場は変われど、夏休みの親子に劇場体験をプレゼントする、オープンシアターという企画ですから、これを子供に届ける作品にしなくてはいけないのだが、2年前とは明らかな自分の変化がある。それはこのタイトルでもある、誰に選ばれるか、ではなく、自分が何を選ぶか。を大切に考えている事でしょう。

そもそも子供に向けたものを、というオファーを受けたわけでも無いので、
まずはこの作品をどこに向かわせるか。
この原作を選んだプロデューサーの想いもある。
その他にも、様々な情報などに耳を傾けながらも、
「そして僕はこう判断しました。」
を大切に進んでいこうと思っている。


ダンス劇『マリーの夢』2023

お子さんを持った親御さんが、子供と劇場で観たいと思う作品・・・
などを考えると、どんどん僕じゃなくてもよくなってくる。
僕じゃなくてもいい事は、結果、だれもやらなくていい事へと、衰退していくだけですから、そんな悲しい事にならない為にも、僕は、僕が判断した事を、楽しんで遂行して行こう。
劇場に足を運ぶ判断をするのは、お客様です。僕にも、キャストにも、スタッフにもそのコントロールはいらない。
今のチームで、それぞれが自立した判断で、良い作品に出会えるように、
進みましょう。

これは今回だけでなく、全てのこれからの活動にも言えるだろう。

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日々、世の中で踊る事

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