階段を下りたら地下室喫茶

この空間で目蓋を閉ざしたら
いつだって必ず 君の姿が
君が云いそうな言葉が滾れ落ちる

階段を下りたらそこは地下室喫茶
今どき珍しく喫煙可能店であり
薄暗く仄かに暖かい照明が落ち着く
店内はジャズがずっと流れてる

少女だった頃の憶い出詰まった場所が
今もこうして生き存えてくれるのは嬉しい
紙ナプキンで指輪を作り左手をだして、と
左手をだしたら薬指に嵌めてくれたこと
どんな指輪よりも上等でロマンチックな指輪だった ずっと忘れずにいる宝物のような記憶

背伸びしていた少女から
私は女になってしまったけど
この場所に足を運ぶたび
ほんの僅かの時間
少女の自分が還ってきてくれるような

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