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サービスの質

 最近サービスの質について考えさせられる出来事がいくつかあった。
 一つ目は、今請け負っている仕事で、ある区役所の窓口を訪ねた時の話だ。行政書士としての仕事なので、当然代理人としての請求で窓口に行き、戸籍等の交付請求書や、身分証明書を提示し、受け付けてもらい、今日の待ち時間はどれくらいかなと思いながら、ロビーの椅子に座り、待っていた。少し請求内容が多岐にわたるため、あとからの受付番号の方が先に呼ばれるのは当然などと思いながら、ひたすら呼ばれるのを待っていたが、30分たっても呼ばれない。忙しい時間帯なのかなと思いながら、もう少し待った。おおよそ1時間の経過した後、さすがに窓口に聞きに行ったら、この請求は受け付けられないと言う。窓口の担当者が上席と相談し、関係先とも協議して、受付しないということにしたらしい。そしてその判断自体は30分もたたずに出ていたらしい。特殊な事例のため、小職も窓口受付が拒否されることも想定していたので、しかるべきタイミングで窓口で受け付けられませんと言われたら、そのまま提出物の返却を受けて帰るところだったが、窓口担当がそのまま放置したようで、それにはさすがに怒ってしまった。返却を受ける際、窓口担当者は謝ってくれはしたが、最近の行政の窓口は丁寧な対応をしてくれるところが多いので、残念な思いをした。

 二つ目はケータイの購入。電池が持たなくなっていたので、機種変更をしようと、ネットで予約をして、用件等の事前入力もして、携帯のお店に行った時のことだ。ケータイは行政書士の商売道具としては必須なもので、操作性が変わってしまうと結構困るので、今までなら自分でやっていたデータ移行をお金を払ってやってもらうことにした。グーグルアカウント、LINEに通信履歴、お財布ケータイ、電話帳。メール・電話などの通信履歴などがデータ移行サービスの対象で、3000円だった。朝9時に店に入り、店を出たのは11時、家に帰り、データー移行の対象外のアプリ等の登録などをやって、さて電話をしようとしたら、電話の通信履歴の表示が電話番号になっている。一部の電話帳の移行が漏れていたようだ。早速お店に電話をしたら、電話口でサービス不履行に関して、謝罪を受けたのちに、後日の来店を求められた。そのまま電話で後日予約してもらい、少し不自由な日が続いたあと、店舗に行ったら、原因はSIMカードのデータは移行されていたが、ケータイ本体のデータの移行がされていなかったとのこと。データ移行サービスの未完了だったので、当然費用は掛からず、使い勝手も移行前に戻った。こちらも最初の訪問時に確認をしっかしていればよかったのだが、お店側も移行漏れのチェックを怠った結果なので、当然と言えば当然の対応だと思った。データ移行サービスによって時間が買えたことに満足しているし、2度手間になったこともあまり不満に思うことがなかった。

 最後の事例は、コロナ対応の事業復活支援金でご支援したお客様から新たにあった小職の相談の事例である。メールでご連絡をいただいた内容は消費税の申告書の書き方ということだったので、税理士法違反となるお話で、お断りの電話をした。しばし電話でやり取りをし、とりあえず会って話したいと言われ、翌日お会いした。最初にお客様から、改めてなんでできないのかの説明を求められたが、一般的な税の相談は知っている範囲でお答えすることもあるが、本職ではないので間違っていることもあり、最後は税務署や税理士にご相談くださいと申し上げるしかない。今回のご相談者の相談内容はまさに申告書の書き方なので、一般的なお話とは言えず、相談をお受けできないとお話したところ、ご理解を得ることができた。ただ、お困りの点に関しては、国税庁のHPに参考資料があったので、手交することができた。

 そのお話が終わり、適格事業者となられたいきさつをお聞きしたら、親方として人を使って仕事を受け始めたので、売上の数字もこれからは、年間1千万を超えていくし、今の元請け先からも適格事業者の申請を求められたとので適格事業者を選択したとのことでした。税理士にお願いすることも考えているが、自分に知識がないので、会計記帳からやってもらうのがよいか、申告だけでお願いするのがいいかも、コストの兼ね合いで決められないでいるとのこと。たまたま、事業復活支援金でご支援した別なお客様が、同じように適格事業者になられて、従来から会計ソフト(そのソフトは小職がご紹介した)を使って、ご自分でスムーズに消費税の申告も済ますことができたとお聞きしていたので、その話をしたら、そのお客様も検討してみたいとのことで、時期を見て相談するとおしゃられてその日は終わった。最後に「今日の相談料はいくらか」とおしゃっていただいたので、遠慮せずにお金をいただいた。

 この三つの話の実際のサービス対価は1つ目<2つ目<3つ目となっているが、サービスの質の順番も、対価に見合ったものではないかと思う。三つ目は小職がサービス提供者なので、自画自賛と言われるかもしれないが、サービス対価は顧客の満足度との相対的な位置関係にあり、最後の事例では相談料を支払う価値を顧客側に感じていただけたのがよかったと思う。最初の2つの顧客は小職だったので自分自身の感想だが、1つ目は論外で、2つ目はサービス提供が不完全で2度手間もあったが、それでも顧客側の満足度は高く、対価との関係性では十分だったと思う。

 サービスの質は目に見えないので、その対価設定は本当に難しい。行政書士の仕事は、書類という成果物を作成し、それを官公署に提出することでお客様が期待している手続き等を円滑の進めることなので、書類そのものは受理されて当然のものを作るのは当たり前で、それに時間をかけすぎてお客様のスピード感から外れれば、サービスの質を問われることになる。書類の不備で手続きができないとなればそれは論外となる。行政書士会が会員向けの会報に、行政書士の処分例が掲載されているが、業務過怠で処分されている例が結構ある。処分例は極端なのかもしれないが、行政書士としてお客様から料金をいただく以上、サービスの質に絶えず目を向けなければいけないと思った出来事だった。


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