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「批判」と「非難」「誹謗中傷」は違う

昨日、また悲しい出来事がありました。
数年前に自分のHPに書いた文章ですが、こちらにも再掲したいと思います。

混用されがちな「批判・非難・誹謗中傷」

今回のコロナ禍に関してよく出てくるセリフに 「こんな時に批判するべきでない!」や 「批判ばかりしていないで、皆で一つになりましょう」 といった言葉を聞くたびに、違和感やちょっとした怖さを感じます。
それは何故か?
現在の日本ではメディアも含めて「批判」と「非難」、 そして「誹謗中傷」が同じような意味として 混在して使用されているからです。

辞書にはこう書かれています 。
「批判」
1 物事の良いところ悪いところはっきり見分け、 検討を加えて、判定・評価すること。
2 人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、 正すべきであるとして論じること。
それに対して
「非難」
1 人の欠点や過失などを取り上げて責めること。
2「非難を浴びる」など、周囲の人間が一方的に過失を責める際などに使用する。

ちなみに先日起きた女子プロレスラーの自死から、トレンドワードになっている 「誹謗中傷」は 四文字熟語ではありません。別々の言葉です。
類語を並べて使っているだけなので、本当は誹謗・中傷です 。
辞書では
「誹謗」 他人を悪く言うこと。そしること。
「中傷」 根拠のないことを言いふらして、他人の名誉を傷つけること 。
要するに誹謗中傷とは根拠のある「非難」より、もっと悪質で 根拠のない悪口を言いふらし、他人を傷つけることなのです。

根拠の有無と攻撃性が非難・誹謗中傷である

こう見比べてわかる通り 批判・非難・誹謗中傷はどれも意味が違います。
だから「批判」は本来ネガティブな言葉ではありません。
しかしSNSを見ると、「批判と誹謗中傷の境目が分からない」 といった意見が散見されます。
私の考えは、相手へのリスペクトと その発する言葉に根拠があり、 正しい方向へ導くための建設的なものになっている 発言が「批判」だと思っています。
根拠あるけど、攻撃性のあるただのダメ出しは「非難」 、根拠の無いただの悪口は「誹謗中傷」なのです。

「批判」には相手に対するホスピタリティがあります。
しかし非難と誹謗中傷にはありません。
○○えもんがよく 「コロナが怖いなら行かなきゃいいだけだろボケ、頭悪すぎて笑う」 といった感じで発言しています。
こうなると、いくら主張が正しくても、非難や誹謗中傷にしかなりません。
会社の中でもこれらの言葉を理解し、意識してコミュニケーションを行うことが、 チームビルディングにおいても非常に大事なのです。 (家庭内でもですね)

批判は恐れず、前向きな「対話」を目指そう

また、この言葉の意味の違いを分からないで、 ただ「批判しないようにしよう」という日本の風潮は大変危険なことです。
ある国会議員が「批判なき政治を目指す」と発言したところ、 アメリカのメディアでは 「若い日本人にとって『批判』は誰かを侮辱すると同義なのか?」 「独裁を目指すということか?」 などと話題になったそうです。

日本人皆が「批判」と「非難」の意味を理解するだけで、 もっと前向きな「対話」ができるハズです。
自分自身も発する言葉が非難 誹謗中傷になっていないか気をつけたうえで、 積極的に批判していきたいと思います。


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