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コーヒータイム 「お金に対して興味を持とう!!④」

 日本の企業には貯金が多過ぎる。内部留保が多過ぎる。そんな話をよく聞く事があると思う。私も簿記を本格的に勉強するまではそんな風に世間で言われる通りの認識でいた。しかし、それは大きな間違いであることに簿記の勉強を通して気づくことが出来た。

 初めに、「内部留保」とはどういう意味か?

 企業が稼ぎ出した利益(税引前当期純利益)から税金関係(法人税、住民税、及び事業税や法人税等調整額)を加減して、最終的にその企業の手元に残った利益を当期純利益という。その当期純利益は貸借対照表上の純資産欄の利益剰余金に蓄積されていきます。この利益剰余金の事を内部留保と言う。

 これだけ聞くと、確かに稼ぎ出した利益を企業が貯金しているように聞こえる。僕も最初は純資産の利益剰余金の金額だけを見て、この企業は今まで得て来た利益をこんなに貯金していたのかと思っていた。そして、世の中よく言われる様に日本の企業は内部留保(利益剰余金)が物凄く多いと言われ、貯金ばかりしていないで社員の給料に還元したり、設備投資に回せと言われる。しかし、下記の貸借対照表の図を見て欲しい。

(単位は百万円)

 この図の利益剰余金は5000万円。確かにこれは今まで稼いできた利益を蓄積してきた5000万円であり、貯金とも言えるであろう。しかし、5000万円全額が現金として貯金されている訳ではない。それはなぜか?

 まずは基本に立ち返ってもらいたい。貸借対照表は左右対称になるのが原則である。そして右側の負債・純資産について。「負債」は他人資本とも言い自分以外の誰かから借りているお金(主に銀行からの借入金)であり、必ず返さなければならない項目である。「純資産」は自己資本とも言い、主に自分で用意した元手や、株主から出資してもらった出資金。そして今回メインテーマとなっている利益剰余金(内部留保)である。

 ここで先程の貸借対照表左右対称の原則に戻って欲しい。会社はまず、お金を用意する所から始めなければならない。元手を用意して出資者を募る。これが純資産だ。そしてそれでも足りなければ銀行等から借入をする。これが負債だ。この2つの項目が右側であり、これら右側の項目はどうなるか。そう!!事業において利益を生み出す左側の項目である様々な「資産」に変身するのである!!現金、売掛金、商品、備品、機械装置、建物、土地、有価証券等etc…。つまり、上の図の利益剰余金の5000万円は、左の資産の各項目の一部に変わっているのである。このことから貸借対照表は右から左に向かって読み、出資してもらったお金や借りたお金がどのように左側の資産の各項目に変わるのか。それを表した図が貸借対照表である。

 この原則から考えると、世の中で言われている企業の内部留保が多い等の話などはおかしいと分かるだろう。企業が稼いだ利益を貯金しているわけではなく、その稼いだ利益を利益を生み出す様々な資産に変えているのである。一部貯金として残しているかもしれませんが…。内部留保を解放しろって言われてもどうするの?って話になりますよね笑

                               Takuya

 

 

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