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【 サッカーとの関わり方は本当に “それ” だけか? 】 ~ Kei Imaiさん vol.3 ~

━━━━━━ 140字じゃ語れないことがある

そんな思いを持っている方々の、それでも140字に詰め込んだ思いや感情、価値観を深掘る企画「140字じゃ語れないことがある」。

月間約30万PVを超える人気メディア『大人になってから学ぶサッカーの本質』を運営をされている、Web編集者の今井慧さんをお招きし、たくさんのお話を伺うことができました。

▼前回の記事↓↓(ぜひ、こちらも一読ください!)


最終章となる今回、『今井さんのキャリアや想い』についてインタビューさせていただきました。

サッカー指導者はもちろん、すべての人にとってキャリア設計やキャリア選択において新たな気づきを得られる内容となっています。

最終回、ぜひお楽しみください!

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※インタビュアー:八田 凌雅(ハッタ リョウガ) / OFF THE PITCH Staff
※インタビュー日:2021年7月25日(日)


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【 プレイヤーを辞め、サッカーが拡がった 】


◎八田:

ここからは、今井さんご自身にインタビューをさせていただきます!


◉今井さん:
ぜひよろしくお願いします!


◎八田:

今井さんのTwitterアカウントの固定ツイートに投稿されているこちらのnote、拝見しました。
正直なかなか波乱万丈で、いわゆる「普通」とはかけ離れた人生を歩まれたんだなと感じました…!
そんな今井さんの「これまでの人生でのターニングポイント」はなんでしょうか?


◉今井さん:

僕の一番のターニングポイントは、やはり大学1年の後半に手術が必要になるほどの椎間板ヘルニアになってしまったことですね。


◎八田:
それは大きな出来事ですね…


◉今井さん:
それまでの人生、僕はサッカーにすべてを捧げて生きていました。プロを目指して本気でサッカーに取り組んでいたんです。
しかし、怪我をしてしまいサッカーができなくなってしまった。
当時の僕は、サッカーをとったら何にもない “サッカー馬鹿” だったからこそ、本当にツライ出来事でした。


◎八田:
(当時の今井さんと同じように苦しんでいる選手は、今もたくさんいるんだろうな…


◉今井さん:
怪我はなかなか治らず、リハビリのために病院と家を行き来する日々が数ヶ月続いていました。
そんな中で、初めて「読書」というものを始めたんです。
それまで読書習慣はなかったんですが、当時たまたま母親が買ってきてくれた本を読みました。

それがキッカケで自分と向き合うことができ、様々なことに興味を向けることができたんです。それによってプロサッカー選手を諦めることを決断し、違う人生を考えるキッカケにもなりました。
こう考えると、「怪我」や、それによって「読書」という習慣を得たことは、人生の転換期といえるなと思っています。

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◎八田:

大きな怪我と、それによって生まれた読書習慣が、今井さんにとっての大きなターニングポイントになったんですね。
たしか、その頃からサッカーの指導者も始められたんでしたよね?


◉今井さん:

そうですね。
友達に「良いリハビリの機会だぞ!」と誘われたのをキッカケに、子どもたちを対象にサッカー指導者を始めたんです。
今思えば、子どもたちに指導を始めたことが今の活動(メディア編集 / 執筆業)の原点ともいえるなと感じています。


【 育成現場で受けた “衝撃”  】


◎八田:

指導者を始めたことによって、サッカーにおける「プレー」以外の関わり方を見つけられたんですね。
ただ、指導者をしている中で様々な疑問や違和感を抱かれたとも…?


◉今井さん:
そうなんです。
つい最近までプロを目指して高いレベルで一生懸命プレーをしていた中で、ある日突然に子どもたちにサッカーを教える立場になりました。当時の僕は、「育成現場」ではとにかく子どもたちがサッカーを楽しく一生懸命やっているんだろうなと思っていました。
でも現実は違い、指導者たちによる「古い価値観の指導」や「子どもたちが苦しむような押し付けの指導」を目の当たりにしたんです。

これには大きな衝撃を受けました。
「ちゃんとサッカーを子どもたちに伝えないとやばいでしょ…!」
みたいな、強い使命感のようなものが込み上げてきたんです。


◎八田:
育成現場の実態を肌で感じられたんですね…
そのような経験からご自身の価値観の変化もあったであろう中、その後はどのようなキャリア選択をしたんでしょうか?


◉今井さん:
大学時代に就活はしていましたが、大学卒業後は就職はしないでサッカー指導者のバイトを続けていました。
その後、指導者をしている中でいろんなところに遠征に行き、日系ブラジル人の子どもたちのいるチームと対戦する機会があったんです。
その経験は僕にとってとても大きなもので、それをキッカケに「日本以外の国でサッカー見てみたい」という気持ちが湧きました。
その後、実際に旅に出ることを決断し、行動に移したんです。


◎八田:
中南米の旅でしたっけ!?


◉今井さん:
そうです!


◎八田:
改めて、本当に一人で行っちゃうのがスゴイです!笑


◉今井さん:
あの旅は、僕にとってこれ以上ない特別なものになりました。


【 サッカー文化を育むために、僕らは何ができるか? 】


◎八田:

たくさんの経験を経て日本サッカー界や育成環境に課題感を抱き、メディア活動を中心に幅広く活動されてる今井さんは、どんな「理想の未来」や「つくりたい世界」があるのでしょうか?
そうした、いわゆる今井さんの「ビジョン」をお聞きしたいです。


◉今井さん:
僕は、「日本のサッカーを強くしたい」という思いは正直強くありません。
そうではなく、「日本のサッカー文化を育んでいきたい」という思いが明確にあります。

“ 子どもたちと一緒に楽しくボールを蹴れる。そしてそれを見守ることができる。  ”

こんなビジョンが僕にはあります。
現場でゴリゴリにサッカーを教えるのではなく、なんていうか「近所のサッカーが上手なおじさんポジションになりたい」という感じですね。


◎八田:
なんか、今井さんの温かさで子どもたちがのびのびサッカーしている姿がめちゃくちゃ想像できます…!

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◉今井さん:

「あの人から教わるとサッカー上手くなるよ」ではなく、「あの人が来たらサッカーが楽しくなるよ」というような。僕のことを「早く来ないかな?」みたいに待ってくれるような。そんな場所をつくりたいなっていう思いがすごくあります。

そしてそこには日本人だけじゃなく様々な国の人たちもいて。
どんな年齢の人もジェンダーも関係なく、すべてのことが受け入れられるような、そんな「みんなが自分らしく楽しめるような場所」をつくりたいという思いが僕にはあります。
そのビジョンを実現させるため、日々活動しています。


◎八田:
めちゃくちゃステキですね!その場所、いつか僕も行ってもいいですか…!?


◉今井さん:
ぜひ、もちろんですよ!
僕は「サッカーを教える人の数」よりも「サッカーを楽しめる人の数」を増やしたいです。
子どもたちはもちろん、その親御さんにだってサッカーを楽しんでほしい。
僕は、親御さんたちがサッカー文化をつくっていくということもあると思っています。


◎八田:
「親御さんがサッカー文化をつくる」というのは、たしかにあるかもしれませんね。
そして、サッカーが好きな人たちで溢れる世界をつくることにおいても、日本のサッカー文化を育むことにおいても、影響力があり重要な役割になり得るのが、現場の「サッカー指導者」だなと、僕は強く思っています。


【 サッカー指導者は何ができるか? 】


◉今井さん:
そうですね。
でも、「サッカー指導者」にはまだまだ問題がたくさんあると思っています。僕が大学時代に見たような古い価値観のままの指導が今でもあったり、理不尽な指導や体罰があったりもします。

ただ一方で、「指導者にちゃんとしたお金が入っていく仕組みが整っていないという経済的な問題」をはじめ、指導者を取り巻く問題もたくさんあると思っています。


◎八田:

そうですね。経済的な問題はもちろん、機会の問題や仕組みの問題、「仲間がいない」などの心理的な問題など、おっしゃる通り「指導者が抱える問題」は絶えないと思っています。
OFF THE PITCH の母体である “FiC” は、まさにそういった「指導者が抱える問題」を解決するべく、サッカー指導者が総合的に学べるコミュニティを展開しています。


◎八田:

今現在、サッカーというスポーツに対して「選手 / 指導者 / 趣味 / 教育 / 習い事 / 商業 / 親…」など、様々な関わり方があると思っています。そういった多様な関わり方がある中、価値観形成において影響力が大きいサッカー指導者は、「いろんな関わり方がある」ということ自体をまず理解することが本当に大事であるなと。

指導者は「いろんな関わり方がある」ということを理解した上で、自分にとってのサッカーの関わり方や価値観を押し付けるではなく、幅広い視点を持った上で様々な可能性を見せながら子どもたちや選手たちに接することができたら良いのではと。

そんな “豊かな視点” を持ったサッカー指導者が増えればと強く願い、僕らはこの OFF THE PITCH も、母体である FiC も運営しています。

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※第一章に続き、またインタビュアーが語ってしまいました・・・!


◎八田:

それでは最後に、読んでくださる方々に向けてメッセージをお願いいたします!


◉今井さん:
先ほどの話にも通じますが、子どもや選手、保護者の方々など「サッカーに関わるすべての人たちが、サッカーを好きなることができるようなアプローチ」をぜひしていただきたいと思っています。
僕自身も今でも時々現場に行くこともありますし、もちろん現場のリアルや指導の大変さは理解しています。それでも、無理のない範囲でサッカーを好きにさせられるようなアプローチをしていただきたいなと強く思っています。


◎八田:
ありがとうございます。
共に、サッカー界や育成環境をより良くするべく活動していければと思います!

ありがとうございました!


◉今井さん:
ありがとうございました!


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今井さん、ありがとうございました!!


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大学時代にプレイヤーから指導者へと転向し、育成現場のリアルをみられた今井さん。そこで感じた衝撃や使命感を源に日々活動されているという点が印象的でした。

サッカーとの関わり方にはたくさんの可能性があり、様々な視点からサッカーを捉え直してみると新たな発見があるかもしれません。

また、サッカーに関わる人たちに大きな影響力をもたらす「サッカー指導者」という仕事。

指導者は、どのように選手たちと向き合うのか?

当たり前すぎる一方で、常に問い続けなくてはならない “本質” について、今一度考え直すキッカケをいただくことができました。


ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!
今後とも『OFF THE PITCH』をよろしくお願いいたします!

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<ゲスト紹介>

◉今井慧 氏
▼Twitter↓↓
https://twitter.com/keivivito?s=21
▼運営ブログ『大人になってから学ぶサッカーの本質』↓↓
https://keikun028.hatenadiary.jp
▼note↓↓
https://note.com/keivivo

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<運営紹介>

◎ 一般社団法人FiC
「WORK WITH PRIDE 〜誇りと共に働く〜」をコンセプトに、日本サッカー界で起きている様々な問題を解決するべく、サッカー指導者が総合的に学べるコミュニティ事業を展開。10代〜40代まで幅広い年代の、サッカーや指導に想いを持つメンバーが所属する。
現在は、関東圏のみならず関西、そして全国に200名以上の会員を抱え、サッカー指導者が学べる機会や情報のほか、会員一人一人のキャリア支援や、講演会をはじめとしたイベントの企画/運営も実施している。
2021年7月に大阪支部がスタートし、2021年秋には第6期生を募集予定。

▼お問い合わせはこちら↓↓

◎インタビュー:八田 凌雅
◎編集:佐々木 良央、八田 凌雅

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