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さみしさは厄介だ。人をつながらせたと思ったら疎外させるんだもの◆『遠くへ行きたければ、みんなで行け』(6)【ぷろおご伊予柑の大預言 番外編】



『遠くへ行きたければ、みんなで行け』読書会


2022年12月8日に行われた読書会は、『遠くへ行きたければ、みんなで行け』の訳者の方々を特別ゲストにお招きしました。
今回より、木曜の読書会スペシャルをお送りします。

◆『遠くへ行きたければ、みんなで行け』編


No.1 木曜の読書会スペシャルの背景とゲスト紹介
No.2 『People Powered』のコミュニティ観について
No.3 「遠く」ってなんだろう
No.4 コミュニティは手段?それとも目的?
No.5 心地のよいコミュニティってなんだろう
No.6 コミュニティの価値に気づくには?
No.7 コミュニティに入るときに気をつけたいこととは?
No.8 コミュニティのサイズとバリエーションの相関関係

前提についての補足

書籍『遠くへ行きたければ、みんなで行け』はメンバー可変のコミュニティをコミュニティとして扱っていますが、今回はより広義のコミュニティについて話しています。

家族のようなコミュニティも抜けられるのか?





コミュニティ参加の経験が乏しいと、「カルト」にハマりやすい


ぷろおご:ふといろいろな人のはなしを思い出して。今、親ガチャとかいうじゃないですか。日本の核家族って一番最初に出会う、最悪のカルトですよね


伊予柑:うん、抜けられない


ぷろおご:抜けられないし、従業員というか、子どもがひとりなので親の育ちきった呪いを全部、そのまま24時間労働で受け続けるわけですよね。親はそれを教育とか子育てっていうんですけど、子どもからすればよくわからないことをずっと言われてるわけですよ。

しかも、抜けられないっていうのは法律的に固定されていて、実際になんとかしようとおもっても成人するまで手続きできなくて抜けられない。だから、不健康になっていく可能性が高い。

所属人数が少なければ少ないだけ、影響を受けるし、受けた影響を逃せられない。大人を増やすこともできないってなるとすごくカルトだし、実際それが社会問題になってるわけじゃないですか。だから、カルトスタートで、生誕即カルトですよね


ゆーさん:ムラブリは大丈夫

ぷろおご:なんで?どうやって?


ゆーさん:最初から核家族っていうものがなくて、育てられる人が育てる

伊予柑:村で育つから?

ゆーさん:そうですね


ぷろおご:僕の家もカルトじゃなかったんですよね。日本では結構めずらしい。じいちゃんばあちゃんの家に二世帯が居候していたので、十数人いた。

おれ以外全員大人ぐらいの年齢だったんですけど、おれから見ると10人の大人に育てられてるんですよ。それに、その大人の友達とかも家にくるんです。学校から帰ったら、いとこの友達が5人ぐらいでスマブラやってて、おれも入ったりして。

そうすると、関わる大人って選べるんですよ。部屋を移動して、自分の過ごす時間を選べばいい。そういう意味でいうと、うちはいなくても気づかれないし、大人は自分の親だけじゃないから地域猫みたいなかんじで、その日にいたい場所にいれるし、結果的にどんな関係性も分散しているから健全になりやすいじゃないですか。

それはすごく運がよくて、たまたまそうなった。でも、日本の状況を見ると核家族でうまれる確率が高い。そうすると親ガチャというか家族ガチャ、家族のかたち、構造ガチャみたいな、そういう気配すら感じますよね。構造的にカルトな家にうまれてしまうと、ほとんどのカルトは悪いカルトに転ぶので難しいよね、みたいな。

そう考えるとこの本はコミュニティはほとんどカルトだし、いいコミュニティはカルトなんだけど、コミュニティが悪いカルトにならないための処方みたいな話だよね、そうとも捉えられる。

だけど、カルトっていうと怒られちゃうからこれはカルトではありませんって言ってるみたいなニュアンス?


所属するコミュニティの新たな価値に気づくのは一度脱してから


伊予柑:カルトというのが抜けられないコミュニティというふうに定義した時に、基本的に『People Powered』のことをまじめにやると抜けにくくなるんですよ。むしろ抜けやすい非カルト的なものはよくないになるはずなんです。まじめにこの教えをやった場合はね


ぷろおご:抜けられないと言っちゃだめだけども、抜けられないような雰囲気をだす。労働者には退職する自由があると言いつつ、みたいな話じゃないですか

伊予柑:そう、正社員とおなじです

ぷろおご:全部そうじゃないですか


伊予柑:バレるのはダメなカルトで、バレないのがいいカルト。国家も基本的には抜けられない


高須さん:コミュニティは引っ越すとめんどくさいからツラいんだけど、ツラいだけのことはまあまあある。なので、できるんだったら違う街で一人暮らしするとか、外国一人暮らしとかは耐えられるならやってみると、いろんなものに気づけていいかもね




ぷろおご:抜けられるっていう実感を個人的な経験として持っていないと、いいカルトにいても「ここカルトだな〜」っておもっちゃうわけですよね。抜けられないな〜っておもっちゃう。

僕とかは、やめられるし嫌なら行かないとかできちゃうんだけど、そういうのが不可能だとおもってる人からすれば、会社ほどのカルトはないじゃないですか。個人的な経験を欠落させている。いかに忙しくさせて、個人的な経験を欠落させるか、みたいなはなし


伊予柑:今、ここで使ってるカルトというのは、そのコミュニティの抜けられない度合いのことをいっています。絶対抜けられないのがカルト度100%で、そもそも抜けられるもなにも、所属してねえみたいなのはカルト度0%、

この本では抜けにくくしましょう。って書いてあるし、今の社会にとって所属コミュニティがそれぞれ抜けやすいか抜けにくいかでいうと、いろいろなコミュニティは、昭和の頃より抜けやすくなっているはずです。で、それが人を幸せにしたかどうかっていうのは、かなり別の議論。抜けやすいコミュニティばっかりにいるのが幸せか・・・?

ぷろおご:全員不幸!


マッチングアプリの登場によって奇跡の出会いはアルゴリズムに奪われた!


ぷろおご:おれは最近Tinderをやってるんですけど、あそこにいる女は全員不幸

伊予柑:それは抜けやすいコミュニティにしかいないからですか?

ぷろおご:すべての関係に代替性があるんですよ。どの男性との関係も代替できる。たとえば、「私は太っています。太っていてもOKな人、マッチしましょう」

伊予柑:いいですね

ぷろおご:相手が見つかるんですよ

伊予柑:いいですね


ぷろおご:でね、次もいるんですよ

伊予柑:なるほど

ぷろおご:本来、自分の一番弱いとおもってるところ、そういうものを打ち明けたり晒したときに、それでもいいよって言ってくれるのはすごく奇跡じゃないですか

伊予柑:奇跡!


ぷろおご:運命的だったじゃないですか。これまではね。でも、いまはTinderがあるので次もいる気がするっていのを100回やっちゃうんですよ。100回やったら30歳になって、ウン、むずかしいね!

それで、「生きるのって大変だね・・・」って言ってるんですよ。そういう人がTwitterで権利運動をしてるんですよね



つながりがなくても生きられる街東京で、つながることを促すのは宗教くらいしかない


ぷろおご:遠征で地方都市にも行くんですけど、地方都市は東京ほど人口が多くないから、たとえば、夜の店、飲み屋とかになると空いてる店が数軒しかない。

そうすると、そこに通ってる連中と店員って全員知り合いなんですよね。ラブホに行くとかでもラブホの店員も知ってるんです。それで、関係がめちゃくちゃ健全になっていくんです。

だってめんどくさいじゃないですか。いざワンナイトになってラブホに行く。そうしたら知り合いがいて、「彼氏持ちなのにあいつ遊んでたよ」ってうわさされちゃう。めんどくさいが勝つんですよ。

欲求が消えたわけでも、その人がストイックになったわけでも、内面的に何かが変わったわけでもなくて、その地域に住んでいて、そこに根差した生活を送っていると、めんどくさいから誠実にいつもの人とコミュニケーションとろうってなるんですよ

でも、東京ってメタバースで、存在しない空間じゃないですか。そこにログインしてる人がいたりいなかったり、急に蒸発したり、知らないところから現れたりする。その世界で、そういう関係が築かれるかというと、そもそも東京というメタバースに接続してる時点で不可能なんじゃないかとおもうんですよね。

インスタントな関係を持っても果てには地獄しか待ってないだから、いまつながっている関係をひとつひとつ維持するしかないんだなあというような、そういう一種の絶望をしないと

東京にいてもそれを経験しないと、結局友人もいないし、異性もいないし、結婚相手もいない、コミュニティみたいなものもないわけですよね。だって抜けられちゃうから。


UberEatsでバイトして仲良くなっても、UberEats辞めてTwitterのアカウント消したら誰もおれのこと知らないわけじゃないですか。

そうするとたしかに、カルトにいる人と悪いカルトにいる人と、どちらが健康ですかっていったら、カルトに親が1000万貢ぐってことは全面的に否定できないとおれはおもう。わかる〜って言ってくれるやつがいるわけじゃん。

おなじような境遇のやつが、「うちもさすがにやりすぎだとおもっててさ、オレ、大学行くんだよぉ!?まじわかるわ〜」ってね。相談窓口に行ったら元2世の人が、それはたしかに大変だね、どうする?って言ってくれるわけじゃないですか。でも、TinderやっててUberEatsでバイトしてるやつって、そういう人がいないですから。役所に行くしかない。

役所に行ったら、知らない人が「あーね、生活保護?はたらいたら?」ってなるじゃないですか。だから、代替できるつながりとそうでないつながり、どちらが幸福なのかの議論はむずかしいですよね。おれはどちらかというとカルトの方がマシで、オウムにならないカルトであればカルトの方がいいとおもってる

ゆーさん:それぐらい孤独がきついってこと?


ぷろおご:うん、言ってしまえば統一教会とかも、これまでずっと悪さをほとんどの人には知られずにうまいことやってきたわけじゃないですか。そういうところをあぶりだして焼いても、結局オウムに集合するとおもうんですよね。

だったらアムウェイとかそこそこの程度にやらせて、オウムにならないようにした方が全体的に安全だし、どうしてもみんなそれなりに不幸はあるわけだから、いいんじゃない?とは個人的におもう


ゆーさん:ぷろおごがカルトの方がいいだろうって言ってるのは、5000人に奢られて、みんな友達がほしいって言ってたという気づきからサポートされてる?

ぷろおご:そうです。友達ってカルトなんで

ゆーさん:人間関係がカルトだから


さみしさがつながりを阻害してしまうこともある


ぷろおご:友達がほしいっていうのは、友達関係で悩みたいってことなんですよ。「あいつ最近元気なくてさ。負担したい。」とか「あいつに金貸して返ってこない、ムカつくなあ。」とかお前どうしたとかお前も貸したの?っていうのは友達コミュニティの本来の姿じゃないですか


ゆーさん:自分で巻き込まれていく


ぷろおご:たぶん、ムラブリにもあるとおもう。あいつにあれ貸したのに返ってこないとか

ゆーさん:多少ある


ぷろおご:そういうのが友達だから。でも、苦しいのは嫌じゃないですか。苦しいのは嫌、だけど逃れられなかったから今まで健全的なコミュニティを形成して生きてきたんだけど、

なんか逃れられるらしい・・楽園があるんだって。「なんかさ、ひろゆきが言うにはこの世界から抜ける方法があって、生活保護みたいなのを受けるとすべてが補完されるらしいよ」みたいなのがあると、これまでなにをやっていたんだろう・・・ってなる。

おれはどちらかっていうと、そういう気づきを得ながら今のカルトに所属し続ける方が健康だとおもう。カルトに居つつも、「私は抜けられるし、まあここには絆もあるからやっていくか」っていう方がむしろ健全だとおもってる。

そのコミュニティとよほどマッチしてないとか、人体に影響のあるレベルでストレスを受けてなければですけどね。抜けられるという認識を持つことと抜けるっていう行為はまた別だし、そこでそのカルトを抜けても、カルトにいた人は心のどこかで強くカルトを求めているので、ほかのカルトにハマるんですよね。


おれによく奢りにくるやつは、奢ることでお金が年間10万円くらい減ってるかもしれないけど、おれと会わなくなったら今度はホストにハマるんです。そうすると、1000万減るんですよね。その人は身体的にその栄養素を補給しなきゃいけないわけだから、どこでそれを安く補給するか。っていう話になる。

だから、おれは安上がりな趣味だねっておもう。遠隔で月に1回1万円を送るだけで、おれはわーいとか言って満足してるわけじゃないですか。そいつはそれがなかったら他のところで探し出すし、もっと、もっと。もっと!ってなって、結果的によくわからないカルトにハマってしまう


伊予柑:そうすると、この本というのは人の寂しさをどう利用すべきかということを論じた本で、寂しさを埋めることはよいことである。と書かれていることになる。

そして、ぷろおごの5000人に奢られた実感から、健全な寂しさの埋め方をした方がよい。どのみち、寂しさというのは性欲のようになくすことはできないものから。

で、既存の企業だったり、コミュニティは寂しさを埋めるための努力が足りない。観客を平等に扱うんじゃない!もっと顧客の寂しさに向き合え!




「フラットっていうのは、誰も愛していないってことで…」
「みんなに優しいってことは誰にも優しくないってことなの!」
「私だけ、ウソでいいからそう言って…、」

ぷろおご:女が言ってた

次回へつづく

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3分で読める文章を、ほぼ毎日のように書きます。おれにケーキとコーヒーでも奢って話を聞いたと思って。まぁ、1日30円以下だけど...。

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