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P.2 トロントという街

何から話そう。ちょっと思い出の話。

はじめての、トロントの空港に降り立った時、うまく表現できないのだけど、確かに、《外国の匂い》がしたんだ。いい匂いかと言われればそうでもないんだけど笑。今となっては識別できなくなってしまった、“外国人の匂い”。

変な話。自分たちが外国人のくせして、「日本人以外」を外国人と呼び続ける日本人は、一定数いる。僕らがむしろ外国人。モノカルチャーでしか育って来なかった、「当たり前」の風習。面白い。

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高校一年生の時に習った、教科書上での記憶。『カナダのトロントは、人種のサラダボウル、人種のモザイクと呼ばれています』トロントに留学を決めたのは、もはやそれだけの知識だった。笑 モノカルチャーと対極にあるマルチカルチャーを、感じてみたい。人々はどう生きているんだろうって、純粋な興味だった。

空港へ降り立った時に、感じたことを、思い出す。

“この街は、まるで世界の終わりの街みたいだ。”

そう思った。カナダ人に会う方が難しいくらい、世界中の人々が、行き交う。世界の終わりに、逃げてきた人々の、行き着い先が自然と同じだったかのように。そこには共存があった。リスペクトと隣合わせの、無関心、そして寛容と承認。心地が良かった。ジャッジの少ない社会。マイルドなディスクリミネーション。活発なヒューマンライツ産業。元気なホームレスと、高すぎる変な人の割合。わお。カナダが特別なのではなくて、トロントという街が特殊なのだ。まだまだ稀有な、ダイバーシティな移民の街。ワクワクした。ちゃんと語ると、いいことばかりではないのだけど。笑

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街の規模で言えば、“カナダで一番の経済都市”を想像してやってきた僕は、正直に、「こんなものか」って思った。東京の街並みは何もかもがひしめき合っていて、いつでも空は窮屈だ。ここは、都会のような、田舎のような。何もかもを用意されていない、ちょっと不便な飾り気のない街。

僕は、すぐに大好きになった。

“トロントという街”

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