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ペットボトル技術者から独立への軌跡:変化を恐れず歩んだキャリアの旅

この記事では、製造業界でのキャリアを経て、自らの事業を立ち上げるまでの私の道のりを紹介します。東洋製罐株式会社でのペットボトル開発から始まり、品質管理、技術革新に関わる様々な経験を経て、最終的には独立への道を選びました。英語学習の挑戦、国際会議への参加、そしてコンサルタントとしての新たなキャリアへの転身。これら一連の経験を通じて、変化を恐れずに自分の道を切り開く勇気と、持続可能な成長への情熱をお伝えします!


序章:製造業でのスタート

まずは、製造業界でのキャリアを形成していく中で、実際に経験したこと、学んだことについてお話ししたいと思います。特に、私がどのようにして新しい製品や技術の開発に携わり、その過程で得た学びや成果について共有していきます。

2006年、私は東洋製罐株式会社に入社しました。最初の仕事は、ペットボトルの新製品開発と新しい成形技術の研究です。入社して最初の3年間は、開発部門に所属し、製品開発と成形技術の真髄に触れる日々を過ごしました。この期間は、アイデアを形にする魅力と、それを実現するための挑戦に満ちていてとても刺激的なものでした。

しかし、東洋製罐での仕事は開発だけに留まりませんでした。会社のジョブローテーション制度により、次の2年間はペットボトル生産工場の品質管理部門で勤務することになりました。ここでは、工場の仕組み全体を学ぶことができ、さらに新しい工場や新ラインの立ち上げにも携わる機会がありました。この経験を通じて、品質保証と生産の仕組みを深く理解することができたのです。

その後、再び開発部門に戻ったわけですが、この時点での私は以前とは違っていました。現場での生産工程を見て、品質保証の重要性を理解した上での製品開発や新成形技術の開発に取り組むことができたのです。その結果、トラブルは減り、品質保証プロセスのデザインレビューも、誰よりも深く理解できるようになり、先輩方からも開発の進め方について意見を求められるようになりました。

この経験の中で、特に印象深いのは、発泡ペットボトルの量産技術の確立に関わったことです。このプロジェクトでは、新しい世紀の技術開発に挑戦し、その成果として技術賞を受賞することができました。この受賞は、ただの名誉ではなく、長年の努力と学びが結実した証で、私が携わってきた以上に10年近いそれまでの研究が実を結んだ結果なのです。

このような経験を通して、一つの大切なことを学びました。それは、製品開発や技術革新においては、広い視野を持ち、現場の実情を深く理解することの重要性です。開発部門だけでなく、生産や品質管理の現場も経験することで、より質の高い製品を生み出すことができるようになります。

皆さんも、仕事で何か新しいことに挑戦する時は、この話を思い出してみてください。現場のことを理解し、広い視野を持って取り組むことが、成功へのカギです。

第一章:成長と挑戦

次に、私が経験した「転職」という大きな決断に至るまでの物語をシェアしたいと思います。特に、英語学習と、それがどのようにして私のキャリア観、そして人生観を変えたのかに焦点を当てて話していきたいと思います。

私の話は、ある時点で英語という、ずっと苦手だった壁に真正面から立ち向かったことから始まります。英語を勉強し始めて1年が経った頃、会社が一応の基準としていたTOEIC600点を超えることができました。正確には720点でしたが、この成果を胸に、私は海外のカンファレンスへの参加を会社に申し出ました。そのカンファレンスとは、ドイツで開催されるペットボトル業界の有名な展示会「ペットノロジー」です。

カンファレンスに参加して感じたのは、世界の同年代の技術者たちが、自分たちの技術を堂々とプレゼンし、フィードバックを受け取りながら新たな技術開発に取り組んでいる姿でした。32歳、33歳の私にとって、それは大きな衝撃でした。技術者として、ただ技術を開発するだけでなく、その技術を人に伝え、フィードバックを得ることの重要性を痛感しました。

しかし、当時の日本では、技術者が技術について積極的に話し、批判的な意見を受け入れる文化はあまり根付いていませんでした。私は、このままでは技術者として成長できないだけでなく、「会社の看板」に頼った存在になってしまうのではないかと危機感を抱きました。

そんなこともあり、転職を真剣に考えるようになりました。会社の看板がなければ「ただの人」になってしまう恐怖、会社内にいないと何もできない自分への恐れが、転職を考えるきっかけの一つでした。そして、会社が希望退職を募るなど、固定費削減の動きを見せたことも、私の転職を後押ししました。実際には希望退職も45歳以上が対象であり、私は直接的なメリットは何もなりませんでしたが、このまま10年20年後にも同様の希望退職を募るタイミングがあるのではないかと考えたとき、34歳の今が決断の時なんだと思いました。

最終的に、英語を1年間勉強して、自分に自信を持てるようになったことが、転職を決意する大きな理由の一つになりました。30代のうちに、会社の看板に頼らない自分を作る努力を始めることが、今後のキャリアにおいて非常に重要だと感じたのです。

この経験から学んだことは、自分のスキルや能力を磨き、常に成長し続けることの大切さです。そして、自分のキャリアは自分で切り拓くものであり、それには時に大きな決断が必要だということです。私の話が、何か新しい一歩を踏み出そうとしている人の背中を押すことができれば幸いです。

第二章:転職と新たな挑戦

それでは、転職を考える上で直面した悩みや、その解決策、最終的にたどり着いた新しい職場についてお話しします。特に、自分にとって何が最適なのかを見極める過程と、意外な道への挑戦にスポットを当てていきたいと思います。

転職を考え始めた時、私の頭の中はさまざまな選択肢でいっぱいでした。最初は、これまでの経験を生かせる技術系の管理職や、メーカーでの仕事を中心に考えていました。しかし、キャリアアドバイザーとの数多くの相談を重ねる中で、「コンサルタントはどうですか?」という提案を受けました。コンサルタントという職種は、正直なところ、私の選択肢には全く含まれていませんでした。しかし、この提案が、私の考えを大きく変えるきっかけとなりました。

提案されたのは、製造業向けのコンサルティングサービスやソフトウェア開発、ソリューション提供を行う会社でした。これまでの私の経験や知識が活かせる場所だと感じ、新たな分野に挑戦することに決めました。

過去、東洋製罐での仕事では、大企業特有の機動力のなさや、新しいことへの挑戦の難しさを感じていました。そのため、転職では、より小さくても、機動力があり、伸びしろのある会社を選ぶことにしました。結果、選んだのは従業員数16人、創業7年目の比較的新しい会社でした。

この小さな会社では、「これから」を感じることができ、自分の努力が直接会社の成長につながるという実感を持つことができました。大企業での経験も価値があったものの、新しい環境でのチャレンジは、自分自身の成長にも大きく貢献してくれると確信していたのです。

この転職経験を通じて学んだのは、自分にとって本当に大切なことを見極め、時には予想外の道に踏み出す勇気を持つことの重要性です。自分のキャリアは自分で作り上げるもの。そのためには、周囲の意見を参考にしながらも、最終的には自分の心が動く方向を選ぶことが大切だと思います。

転職は簡単な決断ではありませんが、新しい自分を発見し、成長するチャンスでもあります。この話が、これから何か新しい一歩を踏み出そうとしている方の参考になれば幸いです。

第三章:独立への道

いよいよ、私の転職後の経験と、その後の独立に至るまでのストーリーをお話しします。特に、仕事の本質と自分の価値観がどのように変化していったのか、そしてそれがどう独立へと繋がったのかについて深堀りしていきたいと思います。

転職して新しい会社で働き始めた時、最初の一年は正直、わからないことだらけでした。役に立っているのかどうかも不確かな、勉強のような日々を過ごしました。しかし、二年目に入ると、会社は大手企業との取引を始め、私たちはソフトウェアの開発プロジェクトに携わることになりました。このプロジェクトでは、要件定義から開発までを一手に引き受けることになり、私たちの開発したソフトウェアが重要な成果物となりました。

この成功を受け、会社は自社のソリューションソフトウェアを市場に提供する方向に舵を切りました。私としては、コンサルティングを通じて顧客の課題に寄り添う仕事をしたいと考えていましたが、次第にソフトウェアの販売に重点を置く方向にシフトしていきました。肩書きはコンサルタントでしたが、実際の業務はソフトウェアの導入支援が中心となり、顧客の課題解決からは少し離れてしまった感じがしていました。

この状況に疑問を感じていたとき、私の上司であった人も同様の思いを持っていました。私たちは、このままでは本来やりたかったコンサルティングができないと感じ、新たな会社を立ち上げることにしました。こうしてスピンアウトする形で、私たちの新しいスタートが切られました。

新会社では、前職のつながりを活かし、初期の顧客を獲得することができました。その中で、以前ソフトウェア開発を委託していた大手企業の役員が新会社を立ち上げ、その会社との連携も始まりました。最初はコンサルティングチームの一員として、プロジェクトをまとめる仕事を受け持っていましたが、気がつくと私の会社の社長がその会社の従業員となり、私たちの会社は外注の立場から外れてしまいました。これにより売上は一気に落ち込みました。

この出来事をきっかけに、私は自分とこの人とは一緒にやっていけないと感じ、独立することを決意しました。お客様もいましたし、頼ってくれる人がいる限り、自分でやっていくしかないと思いました。そうして、自分でビジネスを立ち上げることを決めたのです。

この経験から学んだのは、仕事の本質を見失わず、自分の価値観に忠実でいることの重要性です。時には大きな決断が必要になることもありますが、それが自分自身の成長に繋がり、より良い未来を切り拓くきっかけになることもあるということを実感しました。

独立して新たな道を歩み始めた今、挑戦することの大切さと、変化を恐れずに前進する勇気がいかに重要かを改めて感じています。この話が、変化の時を迎えている方々にとって何かの参考になれば幸いです。

結章:自らの道を切り開く

独立への道は、常に直線的ではありません。私の場合、新しい事業を立ち上げるまでは、挑戦と発見の連続でした。最初の職場では多くを学びましたが、自分の価値観と合わないことに気づき、転職を決意。新たな職場では、始めはわからないことだらけでしたが、徐々に自社のソフトウェア開発に携わる機会を得ました。

しかし、時間が経つにつれ、私が本当にやりたかったコンサルティング業務が、ソフトウェアの販売業務に取って代わられていくのを感じました。このジレンマを共有していた上司との深い議論の末、私たちは新しいコンサルティング会社を立ち上げる決断をしました。このスピンアウトは、私たちが真に提供したい価値を追求するための一歩でした。

事業を進める中で、旧知の大手企業の役員との新たな連携が始まりましたが、その過程で思わぬ方向に進むこととなり、最終的には私一人での独立へと舵を切りました。この決断は、お客様との直接のつながりを大切にし、自ら価値を提供する道を選ぶという、私の強い信念に基づいています。

独立し、自分の事業を立ち上げる過程は決して容易なものではありませんでしたが、この経験は私にとって計り知れない価値があります。自分自身の能力と情熱に基づいて事業を築き上げることの重要性を、改めて実感しました。この物語が、自らの道を切り拓こうとしている方々にとって、何らかのインスピレーションとなれば幸いです!

お読みいただきありがとうございました!

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