秋は柴犬
そろそろ秋の季語として柴犬が挙げられてもいいと思う。
おはぎの散歩コースになかなか広い公園があって、この季節になると遊歩道が一気に秋色になる。
赤、オレンジ、黄色。カラフルで、でも渋くて、ただ単にわたしが秋の色がすきだというだけの話なのだけれど、カラフルな落ち葉を踏み締める柴犬を見ることができるのは一年のうち秋だけなのである。
余談だけれど、パーソナルカラーなるものが流行り始めた頃、診断をしていなかったわたしは、自分のパーソナルカラーを「イエベ秋」と信じてやまなかった。
肌色は典型的な日本人らしく黄色がかっているので、イエベは間違いない。
似合うと思って好んで買っていた色はブラウンにくすんだレッドと、典型的なオータムカラーだったので、自己判断では確実に「イエベ秋」だったわけである。
ところが、友人と某化粧品店のパーソナルカラー診断に赴いた際。
診断結果は「イエベ春」で、とても驚いた。
春らしいふわふわピンクも水色も、わたしとはまったく無縁の色だった。そもそもふわふわしたカラーを纏うようなコーディネートを好まないので、「エーーーー!」というきもちでいっぱいだった。
わたしの普段着といえば、ブラウンにベージュ、カーキに黒、白、たまにこっくりとした赤と、どこまでもふわふわとは無縁で、コーラルピンクなんて一番避けてきたカラーである。
チークもなんとなく「かわいいから」という理由でずっとオレンジを愛用していて、ピンクなんて絶対に選んでこなかった。
「ついでにちょっとつけてみますね」とつけてもらったコーラルピンクのチークは、なるほどなんとなく顔色に合っていた。単純な性格なので、つけてもらった下地とチークをその場で「ください!」とお買い上げ。冬明けの春のはじまり、ちょっと春らしいコーディネートがしたいな、というときのメイクに大活躍した。
パーソナルカラーでなんでも「似合う」「似合わない!」とするのはもったいないように思うけれど、知ることで意外な自分を知ることができたのはわたしにとってとても嬉しいことだった。
余談である。
落ち葉の季節といえば、風で舞う葉っぱを追いかける犬の季節である。
これもそろそろ一句くらい詠まれてもいいと思う。(既に詠んでいる方がいらっしゃったらごめんなさい)
風で舞う葉っぱに果敢に立ち向かう柴犬に引き摺られる季節がやってきた。
まだまだ遊び盛りやんちゃ盛り、たった2歳の柴犬に、人間はいともたやすく振り回されてばかりである。人間の全力の、「やめてー!」という叫びなど、犬にとってはなんら関係ない話なのだ。
最後にひとつだけ。
柴犬、たぶん「イエベ秋」。
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