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ナポレオン・ボナパルトとジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ。

今日からまた新しい一週間の始まりですね。
私の周辺はものすごくいいお天気です。ちょっとあったかいし。

ナポレオンを観た。
普通の人の人生を3時間くらいで振り返って見るのも疲れるだろうけれど、普通じゃない人の人生を3時間くらいで見るのはもうちょっと大変。
それも、ナポレオンとジョゼフィーヌ、2人分。

歴史も歴史上の人物も、後から知るには誰かが書いた文献とかしかないわけだから、もちろんリドリー・スコットのナポレオンとして見せてもらった。

ホアキン・フェニックスがナポレオンで、ヴァネッサ・カービーがジョゼフィーヌ。
観ているうちに当然だけどホアキン・フェニックスがナポレオンにしか見えなくなってきて、ちょっと大きめの馬を用意しているようにも見えたけど、サイズ感までピッタリ。

イライジャ・ウッドがロード・オブ・ザ・リングに出た後、会う人会う人に「意外と大きいんだね」って言われるって言ってたのがよくわかる。

ナポレオンのお話はみんな知ってるから、お話の流れはわかるんだけど、その間に挟まれるナポレオンのプライベートの感じが興味深かった。

ジョゼフィーヌの登場シーン、パンキッシュな髪型がイカしてて、あれはカツラを被ったりする時代だから、取っちゃったらあんな感じだったのかなあ。
でも、あの頃の胸の下で切り替えるデザインになってるドレスって好き。

ナポレオンとジョゼフィーヌの、笑いあったり喧嘩したり、愛しあったり殴りあったりする日常を挟みながら、外せない戦争のシーンを見なくてはいけないのもなかなか。

アウステルリッツの戦いは、寒くて怖くて綺麗だった。

ナポレオンは戦争の他にも色々と頭の良い部分があったと色々な本に書かれてたと思うけれど、どうして冬のロシアに進軍を続けたんだろう。
街を包囲しながら進軍すれば、その場所場所で物資が補給できると思っていたんだろうか。モスクワを占拠したのに、ロシアの人達に街を全て焼かれて何も残らなかった。ロシア人恐るべし。広すぎるし、寒すぎる。
ナポレオンの「自分達の街を焼くはずがない」という台詞が虚しい。

ジョゼフィーヌがいい。悪女っぽいこと言われてるけど、男社会で生きていくには色々と女の武器っていうのも必要だし、それでもこの映画の中では憎めない。
愛されたいんだよね、愛したいんだよねって思った。
ただ、それ以外の部分が少しだけうまくいかなくて、上手にできなくて、池のほとりで赤ちゃんを抱いた時の彼女の気持ちが、子供を産んだことのない私にも響いてきて苦しくなった。
ヴァネッサ・カービーの顔って好き。目も好き。強そうなのに怯えた演技をさせたら今1番いい感じ。

ナポレオンがジョゼフィーヌに当てた手紙の話は有名だけど、やっぱりそういうのは生きてる時は大切にしまっておいても、死ぬ前にはきちんと自分で処分した方がいいね。
別に世界的に興味を持たれる人間じゃなくても、愛の溢れる内容の日記や手紙を、日常的に家族に当てて書いているなら、それは残しておいてもいいかもしれないけれど、それ以外は綺麗に持って行ったほうがいいかなあと。
自分が死んだ後、近しい人達の気に触るような内容だったりしたらちょっとね。
立つ鳥跡を濁さずって言うし。
諺って色々あるけど、やっぱ言った人たちの経験からきてる感じなわけだから、結構なるほどって思うものが多いから面白い。

スタンリー・キューブリックもナポレオンの映画を撮りたがってらしい。
撮りたいだろうね。
キューブリックが撮ったらどえらい事になってただろうな。
こだわりすぎて3時間でも終わらなさそう。
でもきっとどのシーンも見応えがあっただろうと思われる。
ちょっと見てみたかった。

キューブリックのバリー・リンドンも好きな映画。映画の中の世界に今っぽさとか一切含まず、見る人に媚びず、ただ淡々とあの時代のまんま展開していく。
そんな時代に生きた事があるはずもないのに、見るもの全て何ひとつ本当からかけ離れていないように見える。
ヘンデルのサラバンドを聴くだけであの世界に連れ込まれる。

そうそう、ナポレオンの戴冠式の様子がすごく良かった。
もちろんその場所に居合わせた訳があるはずもないのだけれど、ルーブルのあの馬鹿でかい絵を何度も見てて、あれがそれだと刷り込まれてるから、ほとんど遜色なくそのままで、あーあの絵の世界が動いてると思った。

戴冠式っていうくらいだから、本当はナポレオンがローマ教皇から冠をいただく式なのに、ナポレオンがジョゼフィーヌに冠を授けてるその後ろで、ローマからフランスに呼びつけられたのに、それでも祝福してる教皇を見て、ナポレオンの絶頂期の瞬間とわがままっぷりをまざまざと見せつけられた気がした。
ナポレオンとジョゼフィーヌのローブの質感は絵の方がいいけどね。

私たちはこの後の、ワーテルローとセントヘレナ島のことを知ってるから、余計に胸に沁みた。本人はこの時、そんな事なんて予想だにしてなかったんだろうなあって。

興味がある人は映画館で観た方がいい映画だと思われます。




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