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作品に動く心が幸せ 短編映画「月の海」

 短編映画「月の海」を見ました。
主演・脚本は、日穏という劇団をプロデュースされている岩瀬晶子さん。
彼女の描く脚本は、当たり前の日常生活を切り取ったシーンがほとんど。
みんな一生懸命生きている中に起こる心のさざ波を、舞台の上で楽しく、切なく、繊細に見せてくれる。
気づけば、涙が溢れ出てしまっている。

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この「月の海」は45分の短編映画。
描かれているものは、目では見えない人をつなぐ愛・・(私の主観)
「情は愛にくっついたゴミ」という言葉を思い出させた。

『五年前に家を出ていった夫の母親と一緒に暮らす静子。義母は認知症を患いその介護に心身共に疲れ果てるシーンが描かれる。
そんな中で窃盗犯が静子の家に。襲われそうになる中、義母が「豊・・」自分の息子が帰って来たと思い込む。
窃盗犯と認知症の義母と静子の奇妙な心の通い合いが生まれる。
そこに本当に豊が帰って来て、義母は実の息子を「泥棒〜〜」と言って叫び出した・・・・』

今存在する自分は、思い出で作られているのだと思う。
思い出の続きを今も描き続けていて、すべて一つのストーリー。実際がどうであったかなどはどうでもよくて、その時出会った一つ一つが、心を、思いを、生んで自分に刻みつけられていく。
自分自身の人生、いつでも主演を演じ続けていて、その脚本はもうすでにあるのだとしたら、これからどうしようと考えるのは意味がなく、今の自分をどう演じ切るかに、どう表現したいのかに全集中するのが、いい作品になる秘訣なのか。
いい女優さんだね、と言われるようになるには、今までの自分の心をどれだけ開き、動かし、自分のものにし、今この時に表現しきっているか、ということになるのか。

介護をテーマにした物語ではありましたが、こんなことに思いを巡らせることのできた作品でした。
この義母さんや静子がここまでどうやって生きて来たかも見えて。
たったの45分でこんなに長い人生を描けてしまうんだ、ということにも驚く。
人の人生が、長いと思っていることこがそもそも違っていたか・・(笑
3分で描けてしまうような人生じゃ嫌だな〜〜
でも、人に飽きられてしまうような長編ものも御免だ。

兎にも角にも
今を一生懸命生きること以外 ないのだな。

私の脚本は、私がすでに書いて生まれて来たのだとしたら
すべて予定通り。順調。

そう、この映画の中で流れていた音楽に途中耳が持っていかれ
バイオリニストの柴田奈穂さんが頭に浮かんだ。音楽で溢れる我が地元のミュージシャンの一人。
最後のエンドロールに、柴田奈穂の名前を見つけご本人でした!
音にも名前がついているのだね。奈穂さんの音なんだ。

そんなこんなご縁が嬉しく、今を楽しく生きよう!




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