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国会で「参考人」として話してきたこと

本日(1月27日)の参議院予算委員会において、参考人として招致をされ、答弁をおこなってきました。

僕が話した内容は、コロナ禍での生活困窮者支援の現状と、政策的な課題について、です。

今後、議事録が公開されたり、NHK総合で中継もおこなわれていましたので、アーカイブ等で視ることができると思うのですが、どのようなことを話してきたかについて、ここで簡単に書いておきたいと思います。

ちなみに、参考人はあくまで、国会の委員会のなかで、委員(議員)からの質問に答える、というもので、自分から発言したりすることはできません。「どうして〇〇について話してくれなかったんだ」みたいに思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご容赦ください。

今回、参考人として招致されるにあたり、質問をしてくれた石橋議員をはじめ、与野党の各会派のみなさまのご尽力に感謝いたします。貴重な機会をいただきました。ありがとうございました。

以下、質問された内容と僕の回答について、箇条書きに近い形でですが記します。

(質問)コロナ禍で支援現場でどのようなことが起こっているのか?

(回答)
昨年の3月4月以降、支援の現場では生活困窮者からの相談が多い状態が続いている。私の活動する〈もやい〉でも例年の1.5倍~2倍ほど。
4月以降、毎週土曜日に新宿で食料品の配布と相談会をおこなっているが、今までは60~80人が食料品の配布を受けていたが、4月頭には120人、4月末には150人、5月の末ごろには約180人に。
7月以降150人ほどに落ち着いたが、人数は減らず、年明けて再度の緊急事態宣言を受けてからは200人をこえ、先週土曜日は240人。例年の3倍近くになった。
相談に来るのは、派遣、契約、日雇いなどの非正規労働者や、フリーランスや業務委託など、もともと不安定な働き方をしていた方が多い。
こういった支援現場に初めて相談した、という方も多い。

(質問)政府の支援策が、コロナの影響を受けた方々、支援が必要な方々に届いていないのか?

(回答)
雇用調整助成金、持続化給付金など、政府の支援によって失業を免れた、生活困窮せずに済んでいる人もいる。
ただ、非正規雇用などで、そういった支援の網から漏れてしまっている人も多くいる。企業や事業への助成は少なからずおこなわれているが、個人への支援はまだまだ脆弱。
例えば、緊急小口資金等の特例貸付は、1月9日時点で約144万件、累計で利用されている。これは返還猶予や免除の仕組みはあるものの貸付。
緊急小口資金は平均約18万円、総合支援資金貸付は平均73万円。仮にいまの苦境をのりこえて生活再建したとして、50万円から100万円ちかくの借金を背負わせてしまう。これは中長期的なリスクになる。
貸付が多く利用されている背景には、生活保護制度の利用が進んでいないことがある。生活保護制度は「権利」として厚労省や厚労大臣も発信してくれているが、扶養照会といって扶養の有無を親族に連絡するなどの問題や、地方での自動車の保有を認めないなどの、受給抑制に近い取り扱いがおこなわれていることもあり、必要な人が利用をためらってしまう現状がある。
そういったことを考えると、支援はまだまだ届いていない、と言えると思う。

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(質問) 今、緊急事態宣言が再発令されている中で、国の緊急支援として、何が必要だと考えるか?

一つは、10万円の定額給付金のような現金給付をする方法がある。多くの世帯が助かる。
また、個人的には一律給付がいいと思うが、低所得者向けの給付も効果がある。そして、子どもがいる家庭に現金給付するなどの方法もある。子どもの進学や就学にとって今の時期はとても重要。経済的なダメージにより進学をあきらめたり進学先を変えざるを得なくなるのは社会的な損失でもある。

次に、失業者への支援。失業給付の受給資格の拡大や、給付付き職業訓練を拡大することが大切。窓口の縦割りの問題もあるし、制度申請がオンラインでできないなどの問題もある。
それから、住居確保給付金などの家賃補助の仕組みについて、いまは有期だが、生活が再建するまでなどに事実上無期化する方法もある。
一方で、緊急小口資金等について増やしていくことは難しい。「貸付」はあくまで「貸付」。仮に貸付で対応するにしても、現在、住民税非課税水準となっている返還免除基準を、公営住宅の入居水準程度に引き上げる、緩和するのはどうか。
このように、生活保護の手前に「貸付」や期間限定の支援制度ではない、給付や生活再建まで、といった、しっかりとしたセーフティネットをはることが大切。

そして、生活保護。扶養照会について、おこなわない取り扱いにするなどの方策をとって、 利用できる経済状況の方が利用をためらわないようにしていくことが必要。


みなさんの生活をきちんと支えますよ、という強いメッセージと、いま述べさせてもらった、さまざまな支援施策でまず支える、ということをやっていただきたい。

僕がした答弁は以上です。

引き続き、現場の活動と、そこから見えてくる社会課題、政策課題について発信していきたいと思います。



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