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「八景坂鎧掛松」−坂を登れば源義家の聖地巡礼できる!−『名所江戸百景』

今日は午後の講義の前に山種美術館で開催されている『上村松園・松篁−美人画と花鳥画の世界−』の展示を見てきました。
4月17日までですので結構ギリギリに滑り込みました。笑

山種美術館自体初めて行きましたので中のカフェが気になってしょうがなかったです。和菓子が繊細で可愛らしくて、展示されている絵をイメージして作られているものもありました。時間がなかったのでそこに入ることはできませんでしたが、またいつか訪れたいと思います!

肝心の展示はというと、私は初めて上村松園の絵を見ましたので彼女の絵の良さを見つけて惹かれることから始まりました。
彼女の描く女性は体の先端が紅潮していて、なんだか柔く繊細な印象を受けました。触れたらとても冷たく、フニフニしているような感覚が伝わってきます。
そんな女性たちが夏の蚊帳での場面や、雪の日に傘で凌いでいる場面、豪華な髪型にしているシーンだったりを繊細なタッチで描いているものがたくさん並んでいました。

初見だったので込み入ったことは述べられませんが、松園がモットーにしている通りに「作品を見て心が清らかになるのが美のあるべき姿」というものを直に感じました。

とても美しい絵に浄化されている余韻の中でも広重。今回は『名所江戸百景』「八景坂鎧掛松」です。

◼️ファーストインプレッション

この題名にある通りの鎧掛松ですね。これもまた品川界隈の有名な名所だったのではないでしょうか。
人間十人分くらいある高さの松は多分今でも名の付くものになりそうですもんね。海の近くの高台の際にこんなに大きな木があればそりゃ気になっちゃいますよね!

八景坂というものがきっと画面右下にある低地から登る斜面のことなのでしょうね。
結構急勾配じゃないですかね。江戸湾から何者かが迫ってきたときに手間取るようにしているのでしょうか。
松の高さ相まって低地から続く海の低く遠く続いているのが伝わってきます。

手前に茶屋のような休憩スポットがあり、馬や籠を肩にかけて人を運んでいる人々のような旅人を誘う場所だったのかもしれませんね。

◼️八景坂

大森駅山王口前の池上通りの坂道です。その昔、この坂上からの眺めは素晴しく、近くは大森の海岸、遠くは房総まで一望のもとに見渡すことができたといい、そこから八景坂はっけいざかと呼ばれるようになったといわれています。また、昔は相当の急坂で、雨水が流れるたびに坂が掘られて薬研やげんのようになったため、薬研やげん坂と呼ばれたともいわれます。

大森駅の近辺に八景坂というものがあるらしい!
雨水によって削られた坂が薬研(やげん)坂と呼ばれるようになりました。
このやげんという音が訛って八景坂の漢字を充てるようになったのでした。

大森駅の西口かな?にすぐありますね。このあたりに松は生えていたのかな?

◼️鎧掛松

その坂を登ったところにある大きな松が鎧掛松

かつての坂上には、平安時代後期の武将、源義家みなもとのよしいえ(1039年から1106年)が東征のおり鎧をかけたと伝わる鎧掛松があり、安藤広重の浮世絵にも描かれました。八景坂はっけいざか鎧掛松は有名でしたが、明治時代に枯れてしまったといわれています。区指定文化財。

https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/rekishi/sannou/hakkeizaka.html

源義家が鎧をかけたと伝えられる松があり,広重らの浮世絵に描かれ,有名であった。

http://www.sakagakkai.org/profile/oota/hakkeizaka.html

この松は高さ20メートルくらいあったそう。かなり大きい!建物4回建てくらいかな?

この松がなかなか強そうな名前をしているのは源義家が奥州へいくときに鎧を掛けて休憩したことからついたらしい。
この松自体は神明社の境内にあったそうです。

この松を描いた他の作品も見てみましょう。

『東都名所坂つくしの内 品川大井八景坂鎧掛松』歌川広重

ここでは松が2本描かれていますね。『東都名所坂つくし』が1840年から42年の間に出版されたものですので、『名所江戸百景』の鎧掛松が描かれた1856年頃の間に低い方の松がなくなってしまったことになりますね。

『江戸土産 八景坂鎧掛松』 歌川広重

こちらは一本ですね。このえが描かれたのが1850年頃なので、1842年から50年の少なくとも約8年の間に低い方の松は取り除かれたというわけです。

今では切り株でしか残っていない鎧掛松ですが、当時は場所も場所でいい目印になっただろうし、義家ゆかりの松ですから縁起がいい「気」がしていたのではないでしょうか。

今回は八景坂と鎧掛松の由来とそれを描いた他の絵を見ていきました。

今日はここまで!


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