臨床心理学③
虐待が起こる主な原因
下記のようなリスクがあると虐待が起きやすくなる。
①親が精神障害やアルコール依存症など何らかの依存症に羅患している。
または、虐待を受けた経験がある。
②親の意に沿わない子供である(誕生を望まれなかった子ども、発達に遅れがある子ども、育てにくい子どもなど)。
③生活の危機・ストレス(特に経済的危機、夫婦間暴力、離婚問題)がある。
④社会的に孤立している家庭である。近隣との付き合いがない。
生命の危機があると感じた際には、まず子供を家庭から切り離すことが重要であり、そこから長期的な治療プログラムが必要。
不登校のタイプと要因
不登校とは一つの現象を表す言葉であり、その理由や状態は下記のようにそれぞれのケースによって異なる。
①学校生活上の影響
嫌がらせをする生徒の存在や、教師と人間関係がうまくいかないなど、明らかにそれと理解できる学校生活上の理由から登校しない(できない)
②遊び、飛行
遊ぶために非行グループに入って登校しない。
③無気力
無気力で何となく登校しない、登校しないことへの罪悪感が少なく、迎えに行ったり強く催促したりすると投稿するが長続きしない。
④不安などの情緒的混乱
登校の意志はあるが身体の不調を訴えて登校できない、漠然とした不安を訴えて登校しないなど、不安を中心とした情緒的混乱によって登校しない(できない)。
⑤意図的な拒否
学校に行く意義を求めず、自分の好きな方向を選んで登校しない。
⑥複合
不登校状態が継続している理由が複合していて、いずれが主であるかを決めがたい。
⑦その他
仲間関係の発達といじめの構造
児童期から思春期の仲間関係の発達を表すのに、「ギャング・グループ」「チャム・グループ」「ピア・グループ」という概念がある。
ギャング・グループとチャム・グループでさまざまな仲間関係の経験を積み、ピア・グループへと成長する。
一緒にいじめるという行為によって互いの共通点を見出し、かろうじて集団を維持しようとする。
いじめる子、いじめられる子だけでなく、、観衆と傍観者の子どもたちの態度も大きな影響を与えている。
非行に至る主な原因
非行に至る過程はケースによりさまざまだが、主に以下のような要因を挙げることができる。
①心理学的要因
養育者に大切にされた経験の乏しさ、みじめさ、無力感、絶望感、不安感などの否定的感情体験
②生物学的要因
アルコール・シンナー・覚醒剤などの乱用
③社会的(環境的)要因
家庭的問題(貧困、虐待、家族の機能不全)
地域社会の問題(不良文化が根付いている学校や地域)
ひきこもりの問題点
ひきこもりは、当事者が以下のような苦しみを抱えている場合がある。
①対人関係から孤立している
孤独感をいだいている
②社会的な役割がない
当事者は劣等感や自信喪失、アイデンティティの混乱といった状況に陥る
当事者の家族は「世間体が悪い」と感じたり、当事者の扱いに困る
③経済的な問題がある
働いていない当事者を養うことによって家計を圧迫し、家族の負担となる
「家族の負担となっている」という意識が、当事者の苦悩となる
④精神障害、発達障害を持つ場合もある
不安障害、パーソナリティ障害、うつ病といった精神障害がひきこもりの状況を悪化させることもある
高機能の発達障害をもつために、周囲とうまくいかずにひきこもる
自分が子どもを育てることになった時、どういうふうに向き合えば良いのか、当事者はどういう気持ちでいるのかなど、起こした行動だけではなく根本の理由を把握しなくてはいけませんね。
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