見出し画像

自分の世界をもつ引き締めおやじ | 銭湯で見つけたこんな人

銭湯には日々、さまざまな人が湯を求めて集まってくる。

私が住んでいる京都の町であれば、だいたい歩いて行けるところに1つか2つは銭湯があるんじゃないかと思う。銭湯が好きな人なら、「推し湯」がある人もいるかもしれない。

つまり、同じ銭湯で出会う人たちは、だいたい同じ町に住むおとなりさんということになるのだが、運が良ければ銭湯の外の世界では決して出会わないような個性的なひとたちに出会えることがある。

このnoteでは、そんな銭湯と町をいろどるユニークなひとたちの備忘録をつくっていこうと思う(覚えていても得することはたぶんないけど)。

自分の世界観をもつボディ引き締めおじさん

記念すべき一人目は、私の推し湯である京都の上京区と北区の境にある船岡温泉で出会った猛者。

よく、銭湯の中でスクワットや屈伸などの軽い運動をするおじさんを見かけることがある。しかし、このおじさんは一味も二味もちがう。

薬湯の横の、わずかなスペースをフルに活用し黙々と腕立て伏せをしているのだ。しかもワイドで。

ちょうど薬湯の横にはまるそのポジショニングが、ぴしっと伸びた背筋が、この習慣が長年繰り返されこの銭湯の風物詩となっていることを物語っている。

どうやら、このおじさんは腕立てを20回することを日課にしているらしい。20回終わると腰かけに座り、一息つく。そして湯に入る。すべての動作に無駄がなく、映画のワンシーンを見ているような気になる。

「ここまで、周りの目を気にせず自分の世界に没頭できるのはすごいなあ」と思いながら眺めていると、おじさんはざぶんと勢いよく湯から出てきて、なんと2セット目の腕立てが始まった。いったい一日に何回腕立てをするんだろう。

ちなみに2セット目は、1セット目のような深さはなくなり、わずかに上下に震えているようにしか見えない。が、それもきっとおじさんの美学なのだろう。ここまでの世界観のなかでは、腕立ての深さなど取るに足りないことのように思えてくる。

もし、船岡温泉でこのおじさんに出会うことがあれば、ぜひ湯ぶねだけではなく、おじさんの世界観にもどっぷりと浸かってほしい。きっと、ただ湯ぶねに浸かるよりも2倍も3倍も心に残るアツい一日になると思う。

このシリーズでは、こんな感じで銭湯に集うユニークな人たちのデータベースをつくっていこうと思う。もし、お近くの銭湯でレアキャラを見つけた場合は、ぜひご一報をもらえると嬉しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?