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半濁音(ぱぴぷぺぽ)の読み「おおたっぴ」「ぽんぽろと」の話【半濁音化の条件】

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以前、半濁点「゜」(ぱぴぷぺぽ)の歴史を取り扱いました。

半濁点についてのラジオもあるよ!↓↓

ラジオ内の話であがった「光」という字を「ピカリ」と読む!?「太田光」は本名「おおたぴかり!?!?」ということがずっと引っかかっていたので調べてみました。※爆笑問題の太田光さんは「おおたひかり」さんです。

まず、半濁音は、基本的には外来語を表す言葉に多く出てきます。

  • 麺麭(パン)

  • 洋琴(ピアノ)

  • 頁(ページ)

  • 黒死病(ペスト)

など。これらはそれを意味する漢字を使った当て字です。
また韓国姓の「朴(ぱく)」や、「北京(ぺきん)」、麻雀牌の「東南西北(トンナンシャーペー)」もそれぞれ韓国語読み、中国語読みで、外来語と言えます。

でも外来語以外で、半濁音の読みをする漢字って少なそうなので集めてみました。



大田光


冒頭の「大田光」。これは爆笑問題の太田光さんではありません。よく見ると「太」「大」の違いもあります。そして人名ではなく地名。青森県つがる市牛潟町大田光。

おおたっぴ

と読みます。「光」という字を「ぴ」と読むなんて!かわいい!
「ぱぴぷぺぽ」の半濁点は何だかかわいさにあふれている気がしますが、「ぴ」が一番かわいい気がする・・・!

▼「光」の通常の読み方
音読み・・・コウ
訓読み・・・ひかり、ひか(る)
名乗り訓・・・あき・あきら・あり・かぬ・かね・さかえ・てる・ひこ・ひろ・ひろし・みつ・みつる


光一


「光」の事例をもうひとつ。

男性の名前で「コウイチ」さんというのは一般的なお名前です。が、これは人名ではなく、「あいつの服のセンスは光一だな!」のように使います。

ぴかいち

・・・なるほど。ちなみに筆者が変換したところでは出てきませんでした。元々、花札の優れた手役のひとつで、転じて多くの中で際立って優れていることを表すようになりました。


熟字訓

少し話は逸れますが、通常の読み方ではないものの、二字以上の熟語となったときにのみ与えられる読み方を「熟字訓」と言います。

▼熟字訓の例
・今日(きょう)
・明日(あす、あした)
・大人(おとな)
・従兄弟/従姉妹(いとこ)
・吹雪(ふぶき)
・相撲(すもう)
などなど他にもたくさんある。

熟字訓は、その言葉になったときにのみ許される読み方なので、たとえば「相撲」の「相」を単独で「す」と読むことはできない。
また一字ずつに分解しても、それぞれに漢字の読みをあてられない場合も多い。

(参考:Wikipedia「熟字訓」)

熟字訓はあくまで日本語読みの訓をそれ相応の漢字にあてたもの。「大田光」「光一」は熟字訓というわけではありませんが、漢字を合わせて熟語になった場合にのみ、「ぴ」あるいは「ぴか」と読むことが許されるという意味では「熟字訓的」。

ところで、名付けの記事で取り上げた「光宙」⇒「ピカチュウ」はもはや熟字訓と言っても良いのでは・・・!


半濁音化が起こるとき


半濁音が含まれる漢字を思い浮かべてみると、

  • 一片、一篇、一編(いっぺん)

  • 一匹(いっぴき)

  • 一品、逸品(いっぴん)

  • 一般(いっぱん)

  • 一発(いっぱつ)

  • 日本(にっぽん)

  • 鉄板(てっぱん)

  • 絶品(ぜっぴん)

  • 鬱憤(うっぷん)

  • 合併(がっぺい)

  • 憲法(けんぽう)

  • 電波、伝播(でんぱ)

  • 散歩(さんぽ)

  • 損保(けんぽ)※損害保険会社の略称

  • 鉄博(てっぱく)※鉄道博物館の略称

挙げればキリがないほど沢山あります。
半濁音化するのは、漢語由来の音読みの言葉で、直前の音が撥音「ん」か促音「っ」の場合。

「一端(いっぱし)になった」などで使う「いっぱし」は、どうなんだろうか。「端」の音読み「タン」だから、「はし」は訓読み。重箱読みにはなるけど・・・

ちなみに、三字集まる場合にはこの法則が適用されません。
例を挙げますと。

  • 住民票(じゅうみ「ん」ひょう)

  • 確信犯(かくし「ん」はん)

  • 万年筆(まんね「ん」ひつ)

と、直前の音は撥音「ん」ですが、じゅうみん「ぴ」ょう、かくしん「ぱ」ん、まんねん「ぴ」つ、のような半濁音化は起こりません。


専ら、慮る、鼈


単独の訓読みで半濁音が入るのは、もはや、

  • 専ら(もっぱら)

  • 慮る(おもんぱかる)

  • 鼈(すっぽん)

くらいしかありません。(他にもあれば是非教えてください!)


半濁音から始まる地名いろいろ


半濁音が入る地名はいろいろとあります。

筆者が真っ先に思い浮かんだのは、先斗町(ぽんとちょう)。京都の歓楽街なので知っている人も多い事でしょう。京都府京都市中京区先斗町通。

同じ「ぽんと」の読みをする地名は北海道にもあり、「奔渡」と書きます。

他にも、「札幌(さっぽろ)」「別府(べっぷ)」「日暮里(にっぽり)」など、先ほどの漢語由来の音読みの半濁音化が起こる地名は結構たくさんありそうですが、ここではそのパターンではなく、半濁音から始まる地名を集めてみました。

  • 比布町(ぴっぷちょう)北海道上川郡比布町

  • 美利河(ぴりか)北海道瀬棚郡今金町美利河

  • 奔渡(ぽんと)北海道厚岸郡厚岸町奔渡

  • 奔幌戸(ぽんぽろと)北海道厚岸郡浜中町奔幌戸

  • 馬主来(ぱしくる)北海道白糠郡白糠町馬主来

  • 敏音知(ぴんねしり)北海道枝幸郡中頓別町敏音知

  • 班渓(ぱんけ)北海道上川郡下川町班渓

  • 辺渓(ぺんけ)北海道中川郡美深町辺渓

  • 南ぬ浜町(ぱいぬはまちょう)沖縄県石垣市南ぬ浜町

北海道の地名が多いのは、アイヌ語の発音がそのまま反映されているから。
「ぴんねしり出身なんだよね」「こないだぽんぽろと行ってきてさ」となったら何だか耳を疑いつつもやっぱり、カワイイ!となりそうです。

このように見て見ると、現在の日本語において半濁音の入る言葉は、元の言語が異なっていたり、方言的なものが多いと言えそうです。


書道的余談


「お字書き」「書道」の話とはちょっと外れてしまいましたが・・・(活動名は「お字書き道TALKS」であり、筆者は書道家であります。)字を書くことは言葉を書くことでもあるので、言語をよく理解しておくことは必要と言うことで。

ちなみに書道的余談としては、半濁点「゜」を筆で書くのはなかなか難しいです。濁点はまだ線なので良いのですが、〇の形が来てしまうとどうしても記号感が出てそこまでの字の流れ・雰囲気が一旦調和が途切れてしまうような。(技量不足とも言えるかもですが)

書道で日本語文を書くときは、昔(平安時代)からの習慣で濁点も半濁点も書かないこともままあるので、省いてしまう場合も多いです。

でも一方で、半濁点を書かねばならない場合はほぼ外来語のカタカナと言うことになるので、半濁点の入った言葉を書く場合には半濁点を省けない場合も多くあります。「パパ」と書こうとして半濁点を省いたら「ハハ」になってしまうわけで。


文字や書道にまつわる扱ってほしいテーマなどありましたら、コメント欄に書き込んでくださいね!

それでは!



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