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【中東問題を理解するvol.2】旧約聖書の歴史(1)

宗教の対立と民族、領土の対立。
イスラエルとパレスチナ・ハマスを巡る、
複雑な中東問題。

本日(2023年11月2日)の北海道新聞の見出しには
「ガザ情勢、死者1万人超」とあり、
大変な事態が起こっているのは把握できますが、
根底にある「宗教問題」など、前後関係がよく分からないので、ニュースを眺めているだけでは状況がよく理解できません。

双方からセンセーショナルな情報が発信されるので、より一層情報が錯綜しています。
親米右派は何となくイスラエル擁護、
反米左派は何となくパレスチナ擁護、
ただ私を含むほとんどの人が、どっちかどうなのか
よく分かっていない。

ロシアのウクライナ侵攻では国民のほとんどが
ロシアが悪、ウクライナは善
と思っていたのに、今回は様子が違いますね。
TVやマスコミも中立の立場が多いように感じます。

そこで、自分自身の整理のため、
問題の根本であろう、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の歴史を、
最初からザックリと追ってみることにします。
教義の解釈など、理解不足の点はご容赦ください。
あくまで、自分が中東問題を理解するためのメモの公開となります。

前回の記事はコチラ
 ▼▼▼


(1)天地創造

はじめに神は天と地とを創造された

(創世記1章1節)

「聖書」の世界では、まず最初に、
唯一絶対の「神」が、6日間で「世界」を創った
とされています。

◎天地創造の流れ

1日目 
「神」は、何もない闇の中で「光あれ」と言います。すると、光が現れます。
「神」はその光を「昼」と名付け、闇を「夜」と名付けます。こうして「一日」が誕生しました。

2日目 
「神」は「空」を造りました。

3日目 
「神」は「地上」「海」を造りました。
そして、地上に「植物」を生やしました。

4日目 
「神」は「太陽」「月」「星」を造りました。
そして、大きな光の太陽に昼を担当させ、小さい光の月に夜を担当させました。また星も造ります。それを空に配置して地上を照らしたのです。

5日目 
「神」は「魚」「鳥」を造りました。
神は「生めよ、増えよ、海の水に満ちよ、また鳥は地に増えよ」と言います。
こうして、魚と鳥が増え広がります。

6日目 
「神」は「地上の全ての動物と人間」を造りました。
そして、人間だけは特別に「神」に似せて造り、
魚や鳥、家畜など、あらゆる生物を全てを支配させようと言います。
この時に造られた人間が「アダムとイブ」です。

7日目 
こうして、天地の全てを造り終えた「神」は、満足して7日目に休みました。
神はその第七日を祝福して、これを聖別します。
これにならって「安息日」が7日間に1日設けられました。

ユダヤ教は土曜日、キリスト教は日曜日、イスラム教は金曜日が安息日となっています。

つまり、絶対唯一の「神」を信じるユダヤ・キリスト・イスラムの社会では
我々人間を含むこの世界が、自然に発生した訳はなく、「神」が造った「作品」である
という前提の元に始まるのです。


(2)アダムとイヴ

そこで主なる神は彼をエデンの園から追い出して、人が造られたその土を耕させられた

(創世記3章23節)

「天地創造」の最終日(6日目)
「神」は土のチリから自分に似た人間を造り
その鼻に命の息を吹き込みました。
こうして神は、この人間を
「人(アダム)」と呼びました。

神は、楽園「エデンの園」をアダムに与え
園に生えるどんな木の実を食べても良いとしますが、園の中央に生えている「善悪を知る知識の木の実」だけは、食べてはいけないと命じました
禁断の果実)。

そして「人が独りでいるのは良くない」とし、
アダムのあばら骨から、もう一人の人間を造りました。
こうして「女」が誕生します。

2人は夫婦となり、常夏の楽園「エデンの園」で、働くこともなく幸せに暮らします。

その後、
神を妬む悪魔が蛇の姿で現れ、女をそそのかし、神から禁じられていた「禁断の果実」を食べさせます。
女はそれをアダムに勧め、2人でそれを食べますが、この実を食べたことで、善悪の知識を得た2人は、裸の姿を恥ずかしいと思うようになり、イチジクの
葉で陰部を隠します。

神は、命令に背いた2人にその理由を問いかけますが、
アダムは「神が創った女が勧めたから食べた」と
神と女に責任転嫁をし、
女は「蛇に騙された」と蛇に責任を転嫁をします。

言いつけを破り、更に自らの非を認めず、人に責任を転嫁する。
これが、人間の神に対する最初の反逆になります。

こうして、2人はエデンの園を追放されます。

その際、神は
女に対し
子を産む際の苦しみと夫からの支配を告げ、
男には
一生苦しんで働いて、食べ物を得なければならない

と伝えます。
そして、人間はいつか必ず死に、土に帰る
とされたのです。

この時に、アダムは初めて
女を「イヴ(エヴァ)」と名付けます。
これは『命を与える者』という意味があります。

なお、キリスト教では、
アダムとイヴは、全人類の祖先であるとされますが、
ユダヤ教では
あくまで2人は、ユダヤ人の先祖でしかありません。


こうして人間は
蛇に誘惑されたことで、神だけが持つ
「何が正しくて、何が悪いのか」という
善悪の基準を知る知識
を手に入れました。

その代償として楽園から追放されたアダムとイヴは、外の世界で苦しみながら生きることになります。
アダムは930歳まで生きたとされ、イヴとの間に子孫を残します。

最初の子が、双子のカインとアベル。
その下にセト(セツ)という子もいます。

このセトの子孫が「ノアの箱舟」のノアとなります。

※この、「アダムとイヴの話」が意味するところの話はユダヤ教、キリスト教、イスラム教や、更に教義や思想によって異なります。
あくまで一般的な話として捉えていただけると幸いです。


■エデンの園はどこにあったのか?

ちょっと個人的に興味深いのは「エデンの園」は実際にあったのかという話。

「主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、その造った人をそこに置かれた」

(創世記第2章8節)


(引用:マップラボ)

「創世記」に描かれた楽園「エデンの園」が実際どこにあったのかは、古くから研究され、様々な場所が言い伝えられてきました。

代表的な説を3つほど紹介。

◉メソポタミア説
チグリス川とユーフラテス川が合流する現在のイラクとクウェートの地域ではないかとする説

◉アルメニア説
トルコの東部、アルメニア高地ではないかとする説

◉レバノン説
イスラエルの北部、レバノンはかつて楽園の象徴として崇められていた豊かな森があったとする説

その他、様々なエリアが候補に上げられていますが、想像するだけでもちょっと興味が湧きますね。


参考
 ▼▼


次回は「聖書(旧約聖書)」に書かれている
アダムとイヴの子孫がどうなったのか、
について触れていく予定です。

中東問題を理解する上で、参考になれば幸いです。

今回も長くなり恐縮です。
m(_ _)m

それでは、また。

(つづく)

(2023年11月2日投稿)

つづきはコチラ
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