いや、同意のあるなしとかいう話じゃねぇから(児童福祉法違反、児童ポルノ法)前編 傍聴小景 #35
傍聴において、できるだけ漏れなくメモをしようと思っていますが、手元に資料もない中で聞くだけなので、どうしても要点だけになってしまいます。その要点というのも僕にとっては、事件の大まかな流れがあるものであったり、関係者の心情がわかるものが中心となります。
ただ、人にとって気にするポイントというのは様々なものでして、多くの傍聴人がいると、その違いがわかって興味深く思えたりするものなのです。
はじめに
とにかくこの裁判が長かった。初回の公判から判決まで実に半年強かかりました。
ここまで長くなった要因として、今回自身が店長を務めている店舗従業員の未成年女性に対しての淫行が問われているんですが、その被害者が6名いたんですね。その1名ごとに証拠を提出して事実認定して、次回にまた1名とやっていたので長くなってしまいました。
傍聴席も常に多く、常連の傍聴人だけでなく、被告人のお友だちっぽい人もいれば、被害者親族と思われる人たちもいて、ちょっと不思議な雰囲気をまとう法廷でした。
被告人は僕と近しい年の30代半ばのお兄ちゃん。チャラいというのとはちょっと違うけど、そういうグループの中にはいるタイプの見た目。まぁ実際、傍聴席にいたお友だちはかなりチャラかったし。なぜお友だちとわかったかは後述。
事件の概要(起訴状の朗読)
こういう事件は、たまーにニュースになったりしますけど、やはりなかなか裁判も行われるものではありません。後で調べて知ったのですが、この事件もニュースで取り上げられていて、裁判で認定されたもの以上に大きく報道されていたのが残っていたりなので、なんだかなぁと思います。
それでいて、裁判の途中経過や判決は追わないんだから…。
それにしても、最近はコンセプトカフェっていうんですね。
僕が大学生だったころに、メイドカフェが流行りだしましたけど、コンセプトはメイドだけじゃないということで、大きく総称してコンセプトカフェと呼ぶようです。
てっきり萌え系の話のみなのかと思ったのですが、調べてみると「忍者」だったり、「文学」だったりと様々なコンセプトがあるようです。近くの大学の文化祭の出し物で、メイドカフェをやっていた綺麗なお姉さんは今何をしているかなぁ…、あの人ももう40歳とかかぁ。
検察官から提出された証拠類
いやぁ、想像以上に激しい結果を招いてしまっています。被害者家族が傍聴していた場合、改めてこの事実を聞かされたときの心境はとても想像できません。
こういう事件を聞くと、ネットなどでは「女の子も好きでついていったんでしょ?」みたいな意見を目にすることがあります。実際の事情はわかりませんが、はっきり言えることとしては、
本当に仮にですが被害者側にも考えが甘かった事情があったとしても、それを正すのが大人であって、そのために制定されている法律なので、それは理由にならないということです。
法律を本格的に学んでいる訳ではない僕だから感じることとして、どうしてそういう法律が制定されているのか、何が想定されているのかというのは、本当にきめ細やかなだなと感じます。時代に即していないものなどがある可能性もあるかもですが、やはりそういうのはちゃんと改正されますしね。
私も15年前の大学生のときから、現在にいたるまでちょこちょこその変化を感じているのです。
私が傍聴できなかった期間にC~Fさんの取り調べと、母親の証人尋問は終わってしまったようなのですが、もう一人証人が残っていたようで、その尋問は見ることができました。
年齢は被告人よりちょっと上くらいで、ストライプがビシッと入ったデキる人しか着れないようなスーツを着こなしています。若社長感が半端ないです。
証人尋問
刑終了後の仕事の支援をしてくれる人のようです。
まだ、被告人の言い分などを聞いていないのでなんとも分からないんですが、今回の件って執行猶予中の犯行なので実刑待ったなしで、長期間の服役が予想されます。かつ、今回の犯行対応の悪質さから見ても、あんまり早期に手を差し伸べられて、反省の時間ってちゃんと取れているのかなと疑問に思ってしまいます。
家族など、業を背負うことになりながら待っててくれる人がいるというのは、これは家族としての絆や覚悟だと思うんですが、ちょっとこれは浅く感じてしまいました。善意で手を差し伸べているであろう証人には悪いんですが。
続いて検察と裁判官を続けて
今回の件を知ってなお、お店で、かつ店長という立場あるポジションを任せようというのは、ちょっと今回のことをないがしろにしてないですかね。具体的なポジションは、ちゃんと更生した姿を見てからでも遅くないのでは。
それにしても、ここまで社会復帰後も期待をかけたくなるという被告人の反省の態度、姿勢というのがとても気になります。この事件の多大なる被害に対して、ちゃんと向き合えているのか。被告人質問でしっかり聞いてみたいと思います。
詳しくは次回お届けします。
皆さま、手元に怒りをぶつけられる何かをご用意いただいた後、是非ご覧ください。
さて、最後に冒頭で触れた「傍聴において人にとって気にするポイントというのは様々」という点について話して前編は締めたいと思います。
下衆な話なんですけどね。
何回目かの公判が終わって帰る途中、被告人のお友だち集団の5~6人と同じエレベーターになりました。その会話をそれとなく聞いていたんですが、
どこ印象残っとんねん。
確かに多くの事件で、犯行時刻について〇時〇分~〇時〇分って表現するんですけど、それをしっかりメモを取ったことなんてなかったんで、下衆い話してるなぁって思いより、こういうところ印象にちゃんと残る人ってのもいるんだなって感心しちゃったんですよね。
被害者関係者の人、見てたら下衆な話ですみません。でも、世間を広く見たらこういう人もいるということだと思うので。
という訳で、先ほども書きましたが次回の後編は被告人質問です。
僕も何百人という被告人を見てきましたが、「あらあら…」と久々に思っちゃった方ですね。是非次の更新をお待ちください。
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毎月約100件の裁判を傍聴している中から、特に印象深かったもの、読者の方に有意義と思われるもの、面白かったものを紹介します。 裁判のことを…
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