ハムレット133 Ⅳⅲ

第四幕第三場 城内の別の一室。
王、従者ら、入ル。

王 あいつを捜しにやったよ。死体は何処だ、とな。あの男を野放しにしたら、全く何を遣りだすか! と言って、あいつをしかと鎖に繋ぎ置く勅も出す訳にもいかぬ― あいつは浮かれ騒ぐ城下の民に面白がられているからな。小難しいことは御免こうむって、愉快な見世物(サーカス)でも見ている気分の者どもにな。そういう場合はな、罪を犯す者に下る罰の匙加減が何かと論難の的になるのだよ、罪そのものではなくな。
万事、丸く収まるよう、あいつを取り急ぎイギリスへの特使に仕立ててやった。国務にかこつけて、ほとぼりを冷ましてやるんだよ。手荒なようだがな、疫病みの蔓延るを抑えるには他に手だてはあるまい。吉と出てくれればいいがな…
(ローゼンクランツ、入ル)
おお、どうした? どうなったかの?
ローゼンクランツ 御遺体を何処にお隠しになられたのか、お言葉をいただけませんでした―
王 あいつは何処に居る?
ローゼンクランツ あちらの部屋に…お控えになり、陛下の仰せをお待ちになられていらっしゃいます。従者は付けて置きました、念の為。
王 連れて来てくれるか。
ローゼンクランツ おい、ギルデンスターン! 殿下をお連れして!
(ハムレット、ギルデンスターン、入ル) 

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