HenryOpossum‐Juliet

人も自然も大いなる移ろいを感じとっている今、この地球(Globe)という舞台の来たるべ…

HenryOpossum‐Juliet

人も自然も大いなる移ろいを感じとっている今、この地球(Globe)という舞台の来たるべき未来について提言します。 *2021年よりハムレット全訳に着手。既訳部分はtwitterにて呟きました。

最近の記事

ハムレット144-145 Ⅳⅴ

オフィーリア あら、そうでした、誓いの言葉を忘れていたわ―  (歌う)慈悲深い神様に誓います―  ああ、酷いわ恥知らず!  若き殿方、豹のごと、  いずくに在りても虎視眈々―  殿方達の恥知らず、その女(ひと)は言いまし  た、貴方と契りを交わしたその宵に、二人寝床で  睦みあったのに、遠くの山に日が昇る頃、貴方は  呟いた―契りのことだけど…その積りだったよ、本  当に。あのお天道様に誓ってね。俺の寝床におま  えさんが迷い込んで来なければね― 王 (傍らに)何時(いつ)か

    • ハムレット142-143 Ⅳⅴ

      王 御機嫌は如何だったかな、お嬢さん? オフィーリア ええ、お蔭様で。梟(ふくろう)は、昔、麺麭(パン)焼きの娘だったのでしょう? 陛下、私達も、只今はさて置きまして、これからどうなりますことやら… 神様に乾杯! 王 (傍らに)父親のことか? オフィーリア お願い致します、そのことは仰っしゃらないで。もしや、何の由と聞かれましたら、こうお答えしていただきたいの―  (歌う)明日は祭日、聖ヴァレンタインの祝いの日― 朝まだきに起きて、娘の私は貴方の窓辺にヴァレンタインの贈り物―

      • ハムレット140-141 Ⅳⅴ

        オフィーリア デンマークの美しき妃殿下はどちらに? 王妃 どうしたというの、オフィーリア? オフィーリア (歌う)   あなた言うまこと愛しきその方を如何にしあらば  知り得ましょう― 巡礼の誰しも纏う貝帽子、杖    と藁沓(わらじ)からー 王妃 あら、麗しのお姫様、その歌どういう意味かしら? オフィーリア 何ですの? よくお聞きになって下さいな。  (歌う)あの世に旅立ちて往きました、奥様、あの     方は、あの世に旅立ちて往きましたー  緑の草地に頭(こうべ)垂れ、

        • ハムレット139 Ⅳⅴ

          第四幕第五場 エルシノア。城内の一室。 王妃、ホレイシオウ、侍従、入ル。 王妃 会いたくないわ。 侍従 せがみますもので。いや、全く正気でないと申しますか、憐れとしか言いようもない有様で… 王妃 何があるというの? 侍従 父親のことをしきりに話して居りますが、あるいは、此の世はまやかしばかりだとか、口にして居ります。咳払いをし、激しく胸を鼓動させまして― 些細なことにも喰らいついて参りまして、半ばうわの空と申しましょうか、曖昧に言葉を濁しまして、まあ、意味なきことを口走って

        ハムレット144-145 Ⅳⅴ

          ハムレット138 Ⅳⅳ

          確かに、四分の一程は分別もあるだろう。だが、残りは小心翼々たる、か… どうして、この俺は‘これは、こう’と堂々として居られぬのだ? 為すべき大義もある。意志も、強さも。おまけに、手立て、財もあるはずなのだがな― 浮世の事どもが俺を戒めてくれる、はっきりとな― 今の軍隊を見てみろ…あの、人やら金やらを注ぎ込んで、それをたった一人の年端も行かぬ柔き王子が導いている―神々しき野望で膨れた精神が、明日を案じても始まらぬと笑い飛ばしているようだが…ほんの詰まらぬ、卵の殻のようなものの為

          ハムレット138 Ⅳⅳ

          ハムレット137 Ⅳⅳ

          ハムレット 城を攻めようと言うのかい? それとも何処か、辺地を? 隊長 実は、率直に申し上げまして、猫の額ほどの国境(くにざかい)の土地を奪(と)りに行こうというのですよ。名ばかりで、煮ても焼いても喰えぬ荒蕪の地でございまして… 五ダカットで貸すと言ったって、たった五ダカットでも、私は耕す気になりませんね― ノルウェー王にしても、ポーランド王にしても、持て余すだけでしょう。世襲地として売りに出されたところで、買い手は付きませんよ。第一、借り手が居ませんからね… ハムレット じ

          ハムレット137 Ⅳⅳ

          ハムレット136 Ⅳⅳ

          第四幕第四場 デンマークの平野。ノルウェー王子フォーティンブラス、軍の隊長、兵士ら、行軍しながら入ル。 フォーティンブラス 隊長、王城に廻って、国王に挨拶をして置いてくれるか― 貴国領内を障りなく通過する御許しを頂きたい、フォーティンブラスがそう申しているとな。落ち合う場所は分かっているな? もしや、陛下が何やら話したいと望んでいるようなら、御目見得参上仕りましょう― そう伝えてくれ。 隊長 かしこまりました、殿下。 フォーティンブラス 徐行せよ! (フォーティンブラス、兵

          ハムレット136 Ⅳⅳ

          ハムレット135 Ⅳⅲ

          王 ハムレット、今度のおまえの過ちだがな、余は心底悲しんでおる…おまえの身の安全のためだ…おまえが一刻も早く特使としてな、遣わされるよう、余が手配して置いたからな―その積もりで仕度をしてくれ。船は用意してある。風向きも上々だ。供の者もつけた。準備万端だ― イングランドへ行ってくれ。 ハムレット イギリスに! 王 そうだ、イギリスだ。 ハムレット それは、いい。 王 そうだろうな。しかと慮ってくれ、わしの‘気持ち’をな… ハムレット わかりますよ― 智天使(ケルビム)が舞い降り

          ハムレット135 Ⅳⅲ

          ハムレット36-37

          ハムレット 行ってみよう。此処では話しづらいのだろう。 ホレイシオウ 駄目ですよ、殿下。 ハムレット 何故だい? 何を恐れる? 僕の魂にはね、今生(こんじょう)の命など何程のものでもない、恐れるものなど何も無いんだよ。魂というのはね、あいつみたいに、永劫不滅なるものなのだからね。また、手招いている。行って見よう― ホレイシオウ 渦巻く海の波間へと誘き出されたら、どうなさるのです、殿下? あるいは断崖絶壁の身のすくむ岬まで連れて行かれて…そこで何やら恐ろしげなものに変化(へんげ

          ハムレット134 Ⅳⅲ

          王 さてと、ハムレット。ポローニアスは何処なんだ? ハムレット 夕餉の席ですよ― 王 夕餉だと! 何処でだ? ハムレット 御自分で食しているのではなく、供されているのです、何処かの虫けらどもの宴に― ‘偽政の輩’がお集まりになって、ありついているところですよ。蛆虫(うじむし)ときたら、人を喰い物にすることにかけては皇帝みたいに御立派なですからね。僕ら人間は周りのあらゆる生き物を肥えさせて、そうして自分も肥える。ところが僕らが肥えるのは蛆虫様のため…肥えた国王陛下も、痩せこけた

          ハムレット134 Ⅳⅲ

          ハムレット34-35 Ⅰⅳ

          たとえ雅びなほど清らかであろうと、並ぶ者無きほどそれを積み上げようと、口さがなき世の俎上(そじょう)で屈せざるざるを得なくなる…その僅かな引け目の為に…清くあればあるほど口に含んだ酒が不面目な酔いを招いてしまうんだよ…謂わば… ホレイシオウ 殿下、あそこを! (亡霊、入ル) ハムレット (驚愕し、絶句の様。徐ろに)慈悲深き天使が我らをお護りになられているのだからな! …おまえが善なる聖霊だろうと、邪(よこしま)な悪霊だろうと、天から風をそよぎ寄越そうと、地獄から烈風を吹かそう

          ハムレット34-35 Ⅰⅳ

          ハムレット133 Ⅳⅲ

          第四幕第三場 城内の別の一室。 王、従者ら、入ル。 王 あいつを捜しにやったよ。死体は何処だ、とな。あの男を野放しにしたら、全く何を遣りだすか! と言って、あいつをしかと鎖に繋ぎ置く勅も出す訳にもいかぬ― あいつは浮かれ騒ぐ城下の民に面白がられているからな。小難しいことは御免こうむって、愉快な見世物(サーカス)でも見ている気分の者どもにな。そういう場合はな、罪を犯す者に下る罰の匙加減が何かと論難の的になるのだよ、罪そのものではなくな。 万事、丸く収まるよう、あいつを取り急ぎ

          ハムレット133 Ⅳⅲ

          ハムレット32-33 Ⅰⅳ

          第一幕第四場 深夜。城の前の哨所。 ハムレット、ホレイシオウ、マーセラス、入ル。 ハムレット 突き刺すようだな。やけに寒い。 ホレイシオウ まさに見を切るような寒さ… ハムレット 何時だい? ホレイシオウ そろそろ十二時でしょう。 マーセラス いや、もう打っているぞ。 ホレイシオウ そうかい? 聞いていないな。じゃあ、愈々(いよいよ)お出ましになる頃合いだな。 (城内より、けたたましい吹奏、祝砲の音) 何かおありでしたか、殿下? ハムレット 国王陛下が夜通し宴を御開催だよ。

          ハムレット32-33 Ⅰⅳ

          ハムレット132 Ⅳⅱ

          第四幕第二場 城内、離れた一隅。 ハムレット、入ル。 ハムレット よし、仕舞い込んだ。 ローゼンクランツ、ギルデンスターン (奥より)ハムレット様! ハムレット殿下! ― ハムレット 待てよ、声がするぞ? ハムレット、だって? 誰だ? 来るぞ― (ローゼンクランツ、ギルデンスターン、入ル) ローゼンクランツ 殿下、御遺体はどうなさいました? ハムレット 一緒にして置いたよ、塵芥(ちりあくた)とね。同じ類(たぐい)だからね。 ローゼンクランツ 何処かお教え下さい。お運びして、

          ハムレット132 Ⅳⅱ

          ハムレット30-31 Ⅰⅲ

          オフィーリア わからないわ、どう取ればいいのかしら。 ポローニアス おお、教えてやる。自分を赤ん坊だと思うて、よく聞くのだぞ。おまえはどうもあいつの愛情を金貨やら銀貨やらと思うておるようだな。贋金だというに… 安売りはいかん。さもないと、城中城下の‘話の種’にされてしまうぞ。わし共々な。いやはや、愛だとか、捧げるだとか、息切れしそうだよ… オフィーリア 殿下は確かに強く愛をお求めになるわ。でも、正々堂々した遣り方よ、お父様。 ポローニアス おまえ達の‘遣り方’か。ああ、もうよ

          ハムレット30-31 Ⅰⅲ

          ハムレット131 Ⅳⅰ

          王妃 何処かへ仕舞いに行きましたわ。殺めた亡骸を引きずって― あの子、気触れといっても、死者 には健気なところを見せてくれたのだわ… 荒石(あらいし)にうち混じる黄金(こがね)のように― 為したことに涙して… 王 さあ、ガートルード、来るのだ。朝ぼらけのうちに、何はともあれ、あいつを船で送り出してやろう。今ひとたび、この恥ずべき所行は厳粛ながらも見過ごしてやり、上手く逃げ道をつけてやらねばな。    ―おおい、ギルデンスターン! (ローゼンクランツ、ギルデンスターン、再び入ル

          ハムレット131 Ⅳⅰ