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選評*自然薯の児の丈ほどを掘り上げし

自然薯の児の丈ほどを掘り上げし 岡田 耕
自然薯を折らずに丸ごと掘り上げるのはとても難しい。
今から50年余りも前になるが、横浜の保土ヶ谷橋に住んだ時の事。
駅から10分足らずなのにアパートの裏は谷戸の自然が残る林で、隣の部屋の人から自然薯掘りに誘われた。
田舎育ちとは言え、平野で育った私は山芋掘りの経験はなく、見様見真似で挑戦したが、勝手放題に曲がる自然薯を無傷で掘り上げる事はついに出来なかった。
しかし掲句は「児の丈ほどを掘り上げ」たと言う。
掘ったのが作者自身なのか他人なのか定かではないが、いずれにしてもそれだけのものを掘り上げるのは大仕事。
単に掘ったと言うのではなく、「児の丈ほどを掘り上げた」の表現に、その苦労と誇らしさ、そして我が子のようないとおしさが伝わる。

俳句雑誌『風友』令和五年二月号「-風紋集・緑風集選評ー風の宿」磯村光生

☆自然薯掘りを体験したい方・・・なんと、募集記事がありました。


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