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日々にこぼれ落ちてしまう、惹かれるものの記録2

夜のドライブで、道路を照らす、整然と並ぶ街灯を眺めるのがなんだか好きだ。調べてみたら、「道路照明灯」というらしい。

子供の頃の記憶では、運転席には父がいて、助手席に母、うしろに兄と私、ユーミンか山下達郎が流れている。たいてい夕食後でお腹はいっぱいで、ただ座って帰るだけのハッピーな時間だと思うのだけど、窓からどんどん後方に流されていく道路照明灯を見ると、どうしてか決まって心細い気持ちになった。みんな側にいるのに。

暗くて、街灯の灯りが頼りの心許なさ。今どこにいるのか全く分からなくて、今降ろされたら途方にくれてしまうだろうこと。そして、道路照明灯と道路の形や雰囲気が、子供心になんとなく異世界のように見えたのだと思う。

それは私が覚えているなかでは1番幼い、心の奥がギュっとつねられるような、「寂しい」、そして「切ない」に似た感情だった気がする。

大人になった今も、夜のタクシーなどに娘を連れて乗ると、急に子供に戻った気持ちになってしまって、つい、娘を必要以上にギュっと抱きしめてしまう。

そういう掴み所のない感情って、どこか甘い。だから惹かれてしまう。

「日々にこぼれ落ちてしまう惹かれるものの記憶1」では、洗濯物について書いています。こちらから是非ご覧ください。



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