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「弱いところを攻めろ!」 ー 「資金繰り」が決め手の「信用格差」。

 筆者が高校生の頃、まだジャイアント馬場さん(若い人は知らないか)が現役だった時に深夜のプロレス放送が好きでよく見ていた。じっくり3分かけて最後は「スペシウム光線」で怪獣をやっける「ウルトラマン」と同じでかなり "シナリオ" めいていたが(苦笑)、ヒール(悪役レスラー)がメインイベンターの怪我している所を執拗に痛めつけるのが定番「苦しんで最後は勝つ」。まあかなり「水戸黄門」的ではあった。

 マーケットや相場にも実は似たところがある。違いは "リアル" に「お金」がかかっているので "シナリオ" めいていない点。2022年は特に「ナスダック」「暗号資産」などこの2,3年をリードしてきた「メインイベンター」が総崩れで、投資銀行もファンドも切羽詰まっている。手っ取り早く損を取り返そうと「弱いところを攻めろ!」

 QT(量的引締)が引き起こす「お金」の大移動。ー 「危ない所」から「安全な所」へ。|損切丸|note の中、まず飛びついたのが「円安」日銀「無制限10年国債買取オペ@0.25%」でご丁寧にも「攻めるのはここですよ」と「真っ白い腹」を晒したのだから、トレーダー、投資家が殺到するのも当然。「インフレ」下で「通貨安」をわざわざ容認する国などない

 「通貨安+インフレ」ベネズエラレバノントルコが次々に「急所攻め」に合い、最近ではパキスタンスリランカに波及。南米では「利上げ」を先行させてきたブラジル(5年CDS@244 BP)が何とか踏み留まっているが、アルゼンチンを始め多くが「デフォルト」予備軍FRBの「利上げ」に伴う「ドル債務危機」が再度襲っている

 「怪我しているところは攻撃禁止」

 専制国家群特異なルール設定を行っているため攻めるのは難しい部分もある。ただ、そうなると興業自体を組んで貰えなくなる。限られた国だけの独立リーグ内での試合では当然観客、興行収入は限られ、直接的な負けがなくなる代わりに "緩慢な衰退" が進行する。これまでのような盛り上げる試合をするにはもっと「お金」が必要で、復活には何年もかかるだろう。

 「弱い者イジメ」も一巡すると、今度はより「大物」を狙うようになる。最近気になっているのがユーロ圏の国債の動きの乖離。ここにきてかつての「高金利通貨国」イタリアギリシャ国債が狙い撃たれ、盟主・ドイツとの10年国債の金利差が、それぞれ+200BP、+270BP辺りまで拡大5年CDSのリスクプレミアムも拡大傾向にある。

 2020年3月の「コロナ暴落」時イタリアードイツの10年国債の金利差が+300BP程度イタリアの5年CDSが@250BP程度>現在@132BP、を考えると、まだ ”距離” はあるもののじわり ”危機” 水準に近付いている。かつて攻撃対象になったイタリア・リラスペイン・ペセタギリシャ・ドラクマ等は「統一通貨・ユーロ」の誕生で攻撃されなくなったが、為替の代わりに国債、CDSが主戦場に転じている、それでも大分攻めにくくなったのも事実。

 結局最大の攻撃対象は「お金」があるかどうか ー つまり「資金繰り」

 "財務の優等生” ドイツ「借金」を上回る「預金」「株」などの資産を抱えているのに対し、イタリア、ギリシャはそれに遠く及ばないマーケットでは「お金」のない奴は叩かれる

 世界の2大大国、アメリカと中国は奇しくも「借金」(債務)の総額は55~59兆ドル余り(約7,000兆円)。だが(今年大分減ったとは言え)株の時価総額という形で37兆ドル(4月時点)もの「資産」「国富」として抱えるアメリカ対し、中国は明らかに「返済原資」が足りない。それが中国国債の異常に高い「実質金利」となって現れている。

 そう言う意味で中国は攻めどころ満載な訳で、「過剰流動性」で覆い隠されてきた ”弱点” が炙り出されている。では経済1強のアメリカが万全かと言えばさにあらず「株」は最大の強味であると同時に "アキレス鍵" でもある。事実2022年に入ってからの株価下落で▼10兆ドル近く時価総額を減らしており、個人消費にも影を落としてきた「株本位制」のアメリカでは株価下落が全てを悪化させる

 我が国日本はどうか。「借金」をすっぽり包む「預金」を抱える「預金大国」ではあるが、実は「アベノミクス」「黒田バズーカ」で使える「お金」は使い果たしてしまった「量的緩和」は2年前に既に ”全弾段打ち尽し” に陥っており、もう「お金」を追加で市場に供給できない

 4月末時点では「政府預金」16兆円という形で、実質短期国債を発行して市場から「お金」を再調達しており、悪い言い方をすれば「自転車操業」状態「無制限国債買取オペ」と強がってみても、これ以上何かを買うには「お金」を「借金」するしかなくなっている。その辺りはマーケットに見透かされており、*「円安」は警告と捉えるべきだろう。

 実は国民の側にも問題がある。「コロナ対策」含め日銀を通して実施された「特別貸出」は実に146兆円にも及ぶ。この多くが「何かある時の備え」のために「預金」に回っており、実質「死に金」になっている。常に「最悪」を想定するのは日本人の悪癖でもあるが、これでは前に進めない。

 だが変化の兆しも見える。まず企業サイドで 「インフレ」対策としての「自社株買い」。ー 余った「お金」どう使うか。|損切丸|note が見られ、不動産にも「お金」を使い始めた「人件費アップ」もそう。東北大震災時に見られたように「土壇場の団結力」は日本人最大の強味でもある。9ヶ月連続の貿易赤字は「土壇場」を象徴しており、開き直るために日本人には中途半端に「お金」などない方がいいのかもしれない

 「日本再興」の進捗は「円安」「日経平均」「JGB」(日本国債)の動きで確認できる。原発再稼働を巡る「電力問題」や「経済安全保障」はイノベーションの宝庫でもあり、この機会を上手く捉えればドル円は@120円程度まで戻し、株価の上昇、穏やかな金利上昇となるだろう。

 逆にこれまで同様「現状維持」で "その場凌ぎ" を繰り返せば、最悪@150円を超えるような暴力的な「円安」、JGB暴落(金利急騰)、日経平均急落に見舞われるだろう。「GOTO」などのバラマキ政策が最たる例だ。

 2022年のような「不幸な相場」では鵜の目鷹の目で「弱った奴」を探す「インフレ」による生活苦などの困難が想定されるが、日本は「真っ白な腹」を晒さずに正面から立ち向かっていけるか。まさに正念場である。

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