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「新NISA」は「投機」?

 3/25 神田財務官「(急速な円安について)明らかに投機が背景にある」
 3/26 鈴木財務相「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映して安定的に推移するのが望ましい」

 立場上色々言わなければいけない事情はわかる。だが年初からの「円安」を「投機」というなら、月間2,000億円近くもの「オルカン」(オールカントリ-)やS&Pなどの「新NISA」は「投機」なのか?

 どうも「投資」と「投機」の定義が曖昧

 良く出て来る ”ファンダメンタルズ” もそう。優秀な官僚がついているのだから、もっと*データに基づいて定量的分析など具体的な説明をすべき。一般庶民にはわからないとタカを括られているのだろうが、少なくとも良く勉強している「Z世代」は納得しない。今や「AI時代」。もう気分や雰囲気だけでマーケットを動かせる時代は終わった

 こんなちっぽけな「損切丸」でさえ、例えば 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸 (note.com) や 「貿易赤字」→「円安」→「貿易赤字」の "無限ループ" 。|損切丸 (note.com) で手元で得られる「貿易赤字」等限られたデータを使って「円安」との関係を導き出そうと努力している。もっと精緻なデータを持つ政府なら尚更。表に出したくない、あるいは出し惜しみしているのかもしれないが、それではマーケットを説得できない

 もっと突っ込んで言えば「バズーカ」「異次元緩和」「マイナス金利」で500兆円もの国内の「お金」を海外に押し出してきたのは政府・日銀自身。それを@150円を超えてきたからといって今更「お前らがおかしい」というのは筋が通らない「介入」「PKO」(Price Keeping Operation、バブル崩壊後、株価維持のために行われた買い支え策)でマーケットをコントロールしようとした "昭和癖” がまだ抜けていない

 「俺たち "投機筋" ってこと?地下室で頭巾を被って悪巧みしているショッカーみたい(苦笑)」

 為替直先JGB金利先物の売買をしていた筆者は "投機筋" という発言が出る度にこういう冗談を言っていた。だが真剣に経済指標の分析をしたり20年以上もFRBや日銀の金融政策の変遷を研究した上で売買いの決断をしている身としては何ともやりきれない気持ち

 これは今意を決して「新NISA」やFXでドルを買っている個人投資家も同じ思いだろう。金額の違いがあれヘッジファンド(HF)も理論派は多い。財務省が経常収支や「金利差」等のデータと為替相場の連関性を時系列で並べてマーケットを説得するのならまだしも「お前達が間違っていて俺様が正しい。だから円を売るな!」と頭ごなしに言われても、+5%ものドル円の金利差を取りに行く行為は止められない

 まあJGB(日本国債)を半分以上買占めて金利を制御している立場からすればそういう態度になるのかもしれないが、ドル円は別物。日本人以外も多数売買いするし、日本の個人でも邦銀のように "ヒラメ" (上ばかり見ている例え)ばかりではない。まして今は「インフレ税」との闘いの真っ最中。それが故の「新NISA」であり「円売り」「預貯金」では「インフレ」に追い付けない!|損切丸 (note.com) のだから

 「投機」を英訳すれば ”Speculation" (憶測、推測)になるが、どうも政府は ”Gamble" (博打)≓ 短期的な賭けの意味で使っているように見える。長期なら「投資」ということになりそうだが、短期・長期は人によって向き不向きがある。例え短期であっても、例えばポイント&フィギュアのチャートを徹底的に分析して取り組んでいるトレーダーもいるだろうし「投機」と決め付けるのは "いかがなものか" (官僚風)

 今MLBの大谷選手で注目が集まっているが、 ”依存症” になったりイカサマがあったりする ”Gamble" は問題。だが公開市場で何万人も売買いするドル円を ”悪” と決め付けるのは無理がある「投機」「投資」を明確に分けるのは困難で、等しくリスクを取っている事に対する "RESPECT" (尊重)が必要。その欠如が「失われた30年」の根源といっても過言ではない

 敢えて言えば「円は売られ過ぎ」。だがそれには科学的根拠が要る。その辺り本当は記者さん達に突っ込んで欲しいのだが、この国のメディアと政治の関係は未だに ”忖度” まみれでイギリスのように成熟していない

 こんなに反論していて何だが、筆者も実は@150円超えは行き過ぎと感じている。日本に押し寄せる海外の観光客がその証拠1ドル=@90円台でハワイに行った時も1ユーロ=@98円でイタリアに旅行した時もあまりにも安くて随分「お金」を使ったが、今その真逆が日本に起きているその後の「円安」展開は今後の一つの "教訓" となり得る

 科学的でなくて申し訳ないがドル円の "適正値" はざっくり@130~135円と想定それ以上の「円高」にはGAFA並みのイノベーションが必要。ただ5%の金利差はいかんともし難く、@151円台の現状もある意味 ”リアル” 

 マーケットの動きを「投機」などと上から目線で蔑むのはもう止めにしたい「新NISA止めます」と言えば巨額の「損切り」で▼5円ぐらい「円高」に戻るだろうがさすがに無理筋。願わくは "適正値" への修正過程で「オルカン」などがダメージを受けない事を祈るのみ。結局「日銀」が鍵を握る

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