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悪い ”胸騒ぎ”

 日経平均は連日「バブル後最高値」S&Pも@5,000ドル台、何もかもが順調に進んでいるように見えるが、筆者には漠然と悪い ”胸騒ぎ” が押し寄せている。今回はこれといって具体的なデータの裏付けはないが、まあ ”天邪鬼” な元・金利トレーダーの習性かもしれない

 やはり主因はモゾモゾと上がっている「金利」米雇用統計ISM指数など「インフレ」復活を想定させる指標が相次ぎ、一時傾斜のきつい「逆イールド」が続いていた米国債も、気が付けば流れは反転。まるで ”鎌首をもたげるカマキリ” のよう。年内▼1%「利下げ」も「ターミナルレート」(政策金利の到達点) "@4%割れ" も様子がおかしくなってきた

 「マイナス金利解除後も緩和的な金融政策は続く」

 日銀総裁、副総裁がまるでタイミングを合わせたように口を揃えて言った言葉も筆者を不安にさせている。まるで "何か" に脅えているよう。 "何か" はおそらく "JGBの暴落(金利急上昇)” 。政府、特に財務省に対して「利上げ」しても国債市場はコントロールする、と説明しているはずだが、何しろ30年振りの金融引き締めいざやってみようとすると市場の反応は未知数もう「失敗」できない日銀。|損切丸 (note.com) としては背水の陣だ

 だがそんな隙をマーケットは逃さない。こういうビビった発言は 「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。|損切丸 (note.com) と受け取られかねず、ここまで「金利」を高めに誘導して抑えてきた「円売り」も元の木阿弥@149円台まで走ったドル円はそういう市場からのメッセージ

 「何だか随分高くなったなぁ...」

 最近スーパーの買い物で感じた正直な感想。「値上げ」ラッシュは認識していても、いざお会計で「お金」を払うと実感する。 "そういう事"日経平均の「バブル後最高値」と連動する。これが今後@4万円@5万円まで上がるというのは "そういう事"

 「インフレで苦しむ庶民と違って政治家さんのお金は桁違い」

 これは最近の街頭インタビューではない。NHKで「T中K栄」氏の特集番組を放送していたが「金権政治」に対してある女性が語っていたことこの国は政治も経済も何も変わっていない。まさに「失われた30年」

 ”バブルなんて全然いいことがなかった”

 何度かそういう事を書いてきたが、実体験した身としての正直な感想だ。はっきりしているのは「お給料」は「物価」に追い付かない。生活実感が苦しいのは「デフレ」と同じだが、 "我慢" すれば凌げた分「デフレ」の方がまし「インフレ」は逃げ場がなく、だから凶悪事件が多発する

 だが「高度成長期」に日本人を救ったのが「不動産神話」だ。 ”住宅ローン+自宅購入” の鉄板スキームでこぞって「インフレ」リスクを取った。これが大衆の不満を収め「良い時代」を演出してきた

 「XXノミクス」はこの「昭和の夢をもう一度」だったわけだが、工場が海外に出て経済が弱った日本を襲ったのが「円安」不満を収めるどころか生活苦を助長してしまった。これを「賃上げ」だけで賄うのは無理があり、だからこその「新NISA」なのかもしれない

 フランス連銀総裁「ECBは年内に利下げするだろう」

 ちなみにラガルドECB総裁もフランス人ECB「利上げから一抜けた!」- 「インフレ」抑制の役割は日銀に交代?|損切丸 (note.com) でも書いたが、とかくラテン国家は「インフレ」に甘く、生活が苦しくなると「利下げ」。その点は「インフレには利下げ」理論で失敗したエルドアン大統領と似ており「デフォルト」が多いのも頷けよう。ECB内でもタカ派の「ドイツ閥」と揉めており、こういう不協和音も悪い ”胸騒ぎ” を助長する

 もう1つ。「半減期」などの騒ぎで再び暴騰しているビットコイン(BTC)だが「中国」が一枚噛んでいるのではないかと疑っている。そういえばBTCが脚光を浴びるきっっけになったのが「キプロス危機」銀行からあっという間に「お金」が逃げ出した「危機」から逃げ出そうとした「お金持ち」は日米株のETFに殺到したが当局に「買い」を封じられ「暗号資産」に流れたのではないか…。そんな事を想起させるほど今回の動きも急だ

 ドル円も日経平均もS&PもWTIもBTCも…何でもかんでも「上がる」相場が筆者の頭の中で「アラーム」を鳴らす。経験から来る一種の ”デジャブ” なのかもしれないが、とにかく ”嫌な感じ”「本物の危機」の時、金利は上昇する。|損切丸 (note.com) となれば杞憂は現実となる

 本タイトルは筆者が生まれて初めて買ったレコード「熱い胸騒ぎ」(サザンオールスターズ、ファンの方は気付いた?)をもじったものだが、相場が長い投資家やトレーダーの中にも ”嫌な感じ” を持つ人もいよう。「相場観」ではなくいわゆる「相場 "勘" 」の方だが、これが意外と当ったりする

 特にビビった日銀が一番気掛かり。だがそれに最も影響力があるのが我々日本人だ。勇気を持ってチャレンジした人の「失敗」を後からあげつらうのが日本人の悪癖「投資」もそうだし政権交代の失敗を「悪魔のXX党政権」などと揶揄したのもそう。これでは前へ進めない。チャレンジしない「機会損失」を重視するアメリカとの差は究極その点で、政府・日銀を変えたければ我々自身が変わる必要がある。それで初めて「新時代」が訪れる

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