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「損切丸」の原点に立ち返って見る。ー "漂流" するマーケット。

 「何でこんなもの、買うかなぁ...」

 「損切丸」を始めたのが2019年4月13日 「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ1  筆者の自己紹介|損切丸 (note.com) ある記者さんのアドバイスで1記事2,000字ぐらいを目処に1,000本ぐらい書いてきたが、正直随分書き尽くした感もある。この4年間、様々な事が起きた。

 元々邦銀からイギリスの投資銀行に転職した金利トレーダーとしての経験を基に世の中で見えていない側面を書いてきたつもりだ。*外資に行ってはっきり認識したのは「日本人」が随分 "餌食" になっている事にしろ仕組債にしろ、証券会社等が売りつける怪しげな投資商品を買っては「損」する個人、地銀などを随分見てきた。だが最近は「お金」「投資」に関する書物等も増え、日本人の金融リテラシーの向上を実感する。

 筆者が英銀に勤めてて「ドル箱」だったのが為替直先(FX Foward)を利用したアービトラージ(金利裁定取引)。低金利に苦しむ邦銀や生保が「高金利」を求めて米国債を主とした「外債投資」を増やしたのが儲けの元「円高」リスクを避けたい本邦金融期間が為替直先を使って手持ちの円をドルに換える(=円投)そもそも「ドル」を持たない邦銀が巨額のファンディングを行う事で「ドルプレミアム」(上乗せ金利)が出現。その極み
「ジャパンプレミアム」「上乗せ金利」のピークは+200BP(+2%)近くに達した。その反対側で「ドル」を持つ外銀が「円転」してその分を収益化全部合わせれば年間+1,000億円は下らない本邦勢による無理な「外債投資」が原因である。

 とにかく日本人は「お金」、特にマーケットを知らなさすぎるなまじ「お金」を持っているだけに恰好の "餌食" だったわけだが、2008年「リーマンショック」直前に株を買った筆者の母といい(強制売却。苦笑)、10%以上の「高金利」のトルコリラ建「仕組み債」トルコリラの暴落で大損)といい、「お金」を減らした日本人の何と多いことか”知らない” というのは本当に怖い「儲からない」と嘆く邦銀勢「外債投資」の反対側でせっせと外銀に年間▼1,000億円以上も貢いでいた事になる。

 幸か不幸か、「損切丸」を起ち上げた途端「トランプ現象」、そして世紀の「パンデミック」に続き、記録破りの「財政出動」「信用緩和」。その急反動として経済史に残るFRBによる ”2年間で+5%” という強烈な「利上げ」に立ち会う事になった。「金利は死んだ」と言われた「グローバリゼーション」時代と様変わりだが、コアの「予測」は外さなかった自負もある。

 "漂流" するマーケットで投資銀行業界が弱っている今、新たに "餌食" を求めているのは「国」だ

 「預金大国」日本がその典型例だが、動かない金利資産に容赦なく「インフレ税」を掛けているのが財務省だ。欧米はこういう仕組みを過去の経験から熟知しており、「借金」や「不動産・株」で凌ごうと "闘っている" 。だから結果的に「国」は「利上げ」を選択せざるを得ない

 「日本人は将来に不安があって預金を貯め込んでいる」

 なるほど、そういう解釈も成り立つ。確かに日本には「上意下達」の社会主義的風土が江戸時代から根付いている。その昔は「五公五民」どころか「七公三民」だったというから "お上頼み" は1つの文化なのだろう。何でもかんでも欧米に右へ倣えがいいとも思わないが、さすがの日本人もここは "闘う場面" 相手はウォール街ではなく「国」だ。 "お上頼み" で「預金」を溜め込んだままなら取られる一方。年金の支給額も減らされ、税金、社会保障費は上げ邦題になる。

  "お上頼み" も裏を返せば「国」は国民の豹変を怖れている「団塊」から「Z世代」へのバトンタッチは1つの契機であり、金融リテラシーの向上はそのサイン。相場が上がるとか下がるとか「投資」「リスク」とか言う以前に、自分の「家計」と「国家財政」を対峙させる発想が必要だ。つまり「国」とその下にぶら下がる銀行や生保などの金融機関に儲けさせない事。その行動が「家計の利益」に直結する。

  "努力" しないと友達はできない」

 英銀の元・同僚に掛けられた言葉だが、引退して社会から離れると重い同級生も職場の同僚もこちらから声をかけるなどしなければ関係性はどんどん薄れる。確かに "努力" が必要だ。

 考えて見れば一般社会もマーケットもSNSやAIの発達で一見 ”孤立” からは開放されたかに見える。だが人間は元々怠惰な生き物。 "便利" になればなるほど "努力" をしなくなる"便利" と反比例するように皮肉にも ”孤立” は深まってしまった。これはHFT(高頻度取引)や「AI投資」が主流になる投資銀行業界も同じ。「人」はどんどん居場所を失っていく

 逆説的だが、だからこそ "アナログ" な「人」の行動が重要になる。日本なら「預金者」の反乱だ。日銀や邦銀を困らせる行動、e.g., 預金引出し、消費、が「利上げ」を促す「労働者」の反乱もそう。日本人はもっと「お金」に拘っていい。 ー 「清貧思想」の呪縛からの開放。|損切丸 (note.com) 選挙に行くのも有効かもしれない。

 もうこれ以上「日本人」に「損」をしてほしくない。それが「損切丸」の骨格でもある。さて、また "アナログ" なネタでも探ろうかな。

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