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「欲望」と「客観性」のバランス

 "The point is, ladies and gentlemen, that greed -- for lack of a better word -- is good.” "Greed is right. Greed works."  
(紳士淑女の皆さん、重要な事は「貪欲さ」というのは・・他にいい表現がないのですが・・「善」である。「貪欲さ」は正しく社会を機能させます)

 これは1987年のヒット映画「ウォール街」で主演のマイケル・ダグラスが演じていた有名なスピーチだが、いかにも ”アメリカらしい”

 一方日本には:

 「 勝つと思うな、思えば負けよ

 なんて歌もある。日本的思想では「欲望」は抑制した方がいい

 どちらが "正しい" のだろうか?

 20年以上マーケットで仕事をした感覚で言えば、「リスク」「投資」に関しては「欲望」もその抑制も両方必要。トレーダーの仕事なんてその間のせめぎ合いがほとんどと言っていい

 「投機」と言われようが「儲けたい!」という「欲望」は人間の持つ根源的欲求「ドル」と「円」で足元の金利差= "キャリープロフィット" が+5%もあれば誰だって「円」で借りて「ドル」で運用したくなる

 ただ相場というのは面白いもので「欲望」≓「主観」が突出し過ぎると足元をすくわれる。常に「その値段で合っているのか」という「客観性」が肝要「儲けたい!」だけでは「儲からない」

 横並び意識が強く嫉妬心の深い日本人。筆者の知り合いにも 「あの時買っておけば良かった...」 ー その後。|損切丸 (note.com) なんて事もあったが、日本的事例として最近だと東京オリンピックを挟んだタワマンの価格動向がとても参考になる

 「ああ、あの時買っておけば儲かったのに...」

 これは ”億り人” なんて言葉が流行ったビットコイン然り、「タワマン」と「日経平均」の共通点 - ”ヒット率” 重視のメデイアの特性|損切丸 (note.com)  もそう。古くは100円割れのドル円もそうだが、過ぎてしまってから色々言っても後の祭り足りなかったのは「欲望」か、はたまたデータに基づいた「客観性」か…いずれにしろ必要なのは「将来価値」の算定株もFXも6ヶ月先、あるいは3年、5年先の「変化」を見据えている

 「清貧思想」”清く貧しく美しく” 「お金」≓「欲望」≓「汚い」

 「7億円も盗まれて気が付かないなんてあり得ない」(≓嘘をついている)
大谷選手のギャンブル賭博問題後の記者会見に対する一部アメリカメディアの反応だが、これは日本人の「清貧思想」↑ を理解していない。まあ「お金」≓ Everything(全て)のアメリカ人らしい思い込みだが、「投資」になると "強味" になる。 そう言う意味では確かに "Greed is right."  

 特に「インフレ時代」が再来している今「何もしない」≓「大きなリスク」になっている。そう言う観点から日本人にも「嫉妬」ではなく「欲望」は必要。言うまでもないが「お金」は大事。物価が上がってきた今その事を実感している日本人は多いのではないか。「汚い」なんて事はない

 残るは「どうやって客観性を保つか」

 常にバイアスが掛かっているメディア頼みではなく、まず自分で調べてみること。これは営業優先の銀行・証券・保険会社も一緒最後に頼りになるのは「自分」だけ。結構 "孤独" なのである(苦笑)

 それから大事なのは ”心の安寧を保つ工夫” ドルを買う時将来使う額に留めておくとか、住宅ローンを半分固定にするとか、不確実姓の高い「金利」「FX」については相場が逆に動いた時の "逃げ道" を作っておく。そうすればどちらに行っても「やっておいて良かった」

 家を買うのは大きな決断だが、自宅なら今高いか安いかは大きな問題ではない値段が上がって売っても買い直す物件価格も上がっているし、下がっていても同様。だから「住みたい時が買い時」

 問題は「余ったお金」をどうするかデフレでは「預金」しておけば良かったが「インフレ」ではそうはいかない。 なぜアメリカ人は@7%の住宅ローンを借りるのか?|損切丸 (note.com) は「お金」が「金利」以上に目減りしているからで、バブル期の日本でも@7~8%台なんて時代もあった

 本来「金利」は非常に大事

 それが政治利用のために滅茶苦茶に壊されてきたのがそっくりそのまま「失われた30年」になっている。100兆円単位の巨額の "無駄使い" を「国債」という借金で賄ってきたのだから、そんな国は衰退して当然。おまけに「金利」負担はゼロ。こんな財務ならどんな企業も経営が緩んで駄目になる

 だから今回日銀がYCCとか「マイナス金利」とか一気に取っ払った決断は大いに評価に値する。だが真価が問われるのはこれから。「まず塊より始めよ」。政府が率先してリスクを取ることで始めて国民がついていく。横並び意識の強い日本人なら尚更だ。「投機」なんて曖昧な言葉で誰かを「悪」にするのではなく「客観性」を持った政策を断行していけばいい

 Z世代を中心に「変化」が目覚ましいが、日本人はもっと「欲」を持っていい日本人はもっと「お金」に拘っていい。 ー 「清貧思想」の呪縛からの開放。|損切丸 (note.com) 「投資」然り、きちんと「お金」の "FACT" に向き合っていくべき。大事なのは「欲望」を持ちつつも「主観」「感情」に流されず「客観」していくこと。まあそれが難しいわけだが「自分」としっかり対話していくことに尽きる。人生も同様だろう


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