Customer Success Cafe ~イケてるスタートアップのCEOから学ぶ、事業経営視点のカスタマーサクセス~に参加してきた
こんにちは!岡上 浩基(@okaue516)です!
今回は2019/04/11(木)に開催されたCustomer Success Cafe ~イケてるスタートアップのCEOから学ぶ、事業経営視点のカスタマーサクセス~のイベントレポートを書かせていただきます。
前回のイベントレポは下記です。
■Customer Success Cafe(カスタマーサクセスカフェ)とは?
カスタマーサクセスに関わったり、興味がある人たちのオフラインでの交流の「場」をつくるべく、勉強会やイベントを不定期で開催しています。
主催者の高橋歩さんはHiCustomerという、カスタマーサクセスのためのプラットフォームの国内産唯一のツールのカスタマーサクセスで、日本のカスタマーサクセスを牽引しているお方です。
■今回のイベントの趣旨
事業や経営の重点目標としてカスタマーサクセスに取り組むことを指標としているスタートアップの事業責任者の方々をお呼びし「なぜカスタマーサクセスが大事なのか」「どのようにカスタマーサクセスを事業に活かしているか」「何をカスタマーサクセスに望んでいるのか」と言った、事業経営視点のお話をいただきます。
後半では、登壇いただく事業責任者と一緒に奔走しているカスタマーサクセス部門責任者の方々に、パネルディスカッション形式で各社の取り組みについてお話をいただけました。ただ、今回もパネルディスカッションはボリュームがかなり多かったので、省略させていただきます。。。すみません。
■登壇者
株式会社MyRefer
・代表取締役社長 CEO 鈴木 貴史さん @takafumi_szk
・Customer Success Group マネジャー 三加 裕記さん
弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン事業部長
・執行役員 橘 大地さん @d_ta2bana
・Head of Customer Success 岩熊 勇斗さん @yut0_kumoin
株式会社空
・CEO 松村 大貴さん @dmattsun
・カスタマーサクセスチーム マネージャー 村田 憲亮さん
CEOセッション(1)
経営視点とビジネスモデルから考えるカスタマーサクセス
株式会社MyRefer 代表取締役社長 CEO 鈴木貴史さん
PERSOL(パーソル)からスピンアウトした、株式会社MyReferさんはリファラル採用に特化したクラウドサービス「MyRefer」のサービスを提供しております。そして、CEOの鈴木さんから、経営者視点からのカスタマーサクセスの概念や大枠をお話していただきました。
■MyReferの特徴と歴史
MyReferの特徴としてエンタープライズの企業様がメインとなっていますが、30名〜100名のベンチャーの企業様にも多くご利用いただいています。また、業界に偏りがなく、ステークホルダーが多く発生するビジネスとなっています。
もともとMyReferはリファラル採用を活性化させるというBtoBのSaaSではなく、プラットフォームを作りたかったため、フリーミアムでβ版を2015年にリリースしました。
その中で、社内ベンチャーの壁があり、短期で黒字を出す必要があり、リファラルの認知度も低かったため、業績が伸びず、β版以降はBtoBSaaSでハイタッチモデルにシフトチェンジしました。
そのため、最初はCSというより、だれも使ってくれない状態から始まっていました。
■MyReferはリクルーティングサービスとSaaSとの中間のサービス
通常サブスクリプション型であれば、ニーズが恒常的にあるものとなります。ただ、MyReferはリクルーティングサービスのようなニーズのボラティリティがあり、売り切り型として捉えられることもあります。この中間にあたる領域のMyReferはインサイト(人を動かす隠れた心理)が大変複雑となっています。
リクルテーィングサービスの場合、スカウトメールをKPIに設定すればいよく、SaaSの場合は管理者が使用者を管理するものとなります。ただ、MyReferの場合、人事がリファラルを依頼し、社員が友人にリファラルするものとなり、間接が多いものとなります。
■MyReferにおけるカスタマーサクセスとは…
本質的にビジネスが成長しなければ意味がないと考えているためMyReferでは「※Business Development」(ビジネスをグロースハックするための請負人)こそがカスタマーサクセスのあり方を定義しています。
※以下:ビジデブ
①インサイトの収集
・顧客のVOC(顧客の声)の収集&インサイトの深掘り
・VOCからのざっくりとした機能要件定義
②事例創出(リファラルの活性化)
・顧客体験をデザインする(コンサルティング)
・コミュニティマネジメント
③ファン創造
・コンテンツマーケティング
・顧客リファラル
④売る
・顧客の期待値コントロール
・顧客課題にあった本質的提案
⑤生み出す(プロヂューサー)
・より合理的な、仕組み、機能を生み出す
また、MyReferが戦っている市場はニーズが幅広く、インサイトも複雑でチャーン理由様々です。そのため、カスタマーサクセスではビジデブの視点が必要なってきました。
■カスタマーサクセスがビジデブだからこその組織構造とKPI
初期からカスタマーサクセスの組織構造でKPIを定めてではなく、前提は全員がカスタマーサクセスとなっており、流行りに惑わされていはいけないと思っています。
そして、カスタマーサクセスにおいて事業のフェーズによって、KPiが変遷してくるため、KPIを高めるのではなく、CSとはビジネスを加速させるKPIを創るのがカスタマーサクセスの役割と考えています。
KPIを定めたり、顧客のインサイトを特定したり、ニーズを拾うことをカスタマーサクセスと位置づけとしております。その結果、多くの機能を生み出したり、ビジネスに活かすことに成功してきたそうです。もちろん、プロダクトの特性や事業フェーズによって、カスタマーサクセスの役割を定義したり変更する必要だと考えられているとのことでした。
■まとめ
①プロダクト特性を踏まえた上CSの役割を定義する
②基本的にCSとはビジデブである
③組織フェーズごとに役割を変えて乗り越える
CEOセッション(2)
顧客に向き合う、カスタマーサクセス
弁護士ドットコム株式会社 執行役員 クラウドサイン事業部長 橘大地さん
弁護士ドットコム株式会社で提供している「クラウドサイン」はクラウド上で契約を締結することができる電子契約サービスとなっております。橘さんは執行役員クラウドサインの事業部長であり、ご自身の弁護士経験があったため、最近スタートアップのためのリーガルガイドの本を出されてたとことです。
そんな橘さんからは顧客に向き合うための、カスタマーサクセスに必要なことをメインにお話いただけました。
■カスタマーサクセスが重要なのではなく、顧客の課題が重要
クラウドサインの特性として、エンタープライズ向けのBtoB SaaSがメインで、明日からすぐに使えるサービスではなく、法務などの説得や取引先の説得があり、浸透や心理的壁ハードルが高いものとなるものとのことです。
そのため、オンボーディングが大事大事と言われていて、操作説明だけで終わるのではなく、わかりやすいUI/UXのどこに困っているかを深ぼることが重要と考えるべきとのことです。クラウドサインの場合、顧客が困っているのは…法務や取引先の説得や業務フローの改善などのオフラインで困っていることなので、そこを解決するのがカスタマーサクセスの仕事です。
カスタマーサクセスで重要だから実行するのではなく、顧客課題を特定して、課題解決を実施する発想でスタートする方が重要です。
そのため、カスタマーサクセスだけで施策を実施するのではなく、セールスやマーケなどのもっと前段階での課題などのヒアリングが重要となってくるとのことでした。
■クラウドサインの顧客が困っている例
操作は理解したが、社内決裁フローの構築や印象規定の取締役会で変更する必要があったりします。
自分の顧客が使ってくれるかが不安とのことで、取引先の説明方法や説明資料の作成が重要となってきたそうです。ただ、こちらの本当の解決方法は線取引先の顧客が認知していれば解決できる問題とのことです。そのため、マーケティング活動に力を入れているのことです。
契約書は稟議を上げる側や稟議を決裁する側などのプレイヤーが多いものになります。そして、現場は使いたいが、硬いところの認知度が低く弊害となります。それらを解決カスタマーサクセス施策として、大手町駅などの硬いところや金融の方々の認知度をあげる広告を出しているとのことでした。
下記がその広告です。
■カスタマーサクセスでの重要なポイント2つ
1.Net Revenue Retentionが高いプロダクト
Net Revenue Retentionが高いプロダクト=カスタマーサクセスを経営に活かしやすいプロダクトとなります。Net Revenue Retentionについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
Net Revenue Retentionが売上に対してコミットできるということで重要ということもあるが、カスタマーサクセスが顧客の成功を追いやすいことが大きく、自分たちの優先順位と顧客の成功が比例するため重要となります。
2.顧客の成功とプライシング
多くのSaaSはIDライセンスモデルを推奨しているが、クラウドサインの場合はIDライセンスと顧客の成功に相関性はないため、1件毎の課金モデルとしている。
クラウドサインの顧客は法務の人が押印が結んでいます。そのため、顧客の成功は「何人にサイン権限があるのか」ではなく、「何件締結したか」になるため、課金モデルとしています。そのため、カスタマーサクセスは全力で契約を締結できるような環境を顧客に用意しています。そうすることで顧客の成功が売上高と比例するものとなります。
本当の顧客の成功を求めたときに、プライシングを変えさせること、追うべきKPIを変えさせることなどが、上位概念でカスタマーサクセスの最高の仕事と考えているとのことでした。
■まとめ
・顧客の本質的な課題を特定し、課題解決を実施する発想が必要
・Net Revenue Retentionが高いプロダクトを目指し、顧客の成功とプライシングを一致させる
CEOセッション(3)
カスタマーサクセスチームの役割は顧客の成功だと思っていました
株式会社空 CEO 松村大貴さん
株式会社空さんでは会社のミッションとして「Happy Growth」を掲げております。「価格の最適化」が事業領域となり、今は「MagicPrice」というホテル向けのサービスを提供しております。
また、組織としてはwevoxというサーベイのツールで高得点となっており、ビジョンフィットしている組織となっているそうです。
そんな空のCEOの松村さんからカスタマーサクセスチームの役割について、問いかけ形式でお話いただけました。
また、当日の資料をWEBに公開いただけておりますので、下記よりご確認いただけます。
■カスタマーサクセス≠顧客の成功
顧客の成功は「プロダクト」が担うべきと考えています。最初はカスタマーサクセスが顧客の成功のために、オンボーディングやフォローアップして貢献します。ただ本来はプロダクトだけでサクセスすべきだと思います。
縦軸がカスタマーサクセスが関与している部分、横軸が時間
ではカスタマーサクセスチームの役割とは?
1.ネットレベニューチャーンレートをマイナスにすること
2.ファンベーズを築くこと
今回はネットレベニューチャーンレートをマイナスにすることについてお話いただけました。
ネットレベニューチャーンレートについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
もちろん、カスタマーサクセスではいろいろなKPIやミッションがありますが、あくまで、ビジネス上、経営上で大事な役割となってくるのはネットレベニューチャーンレートだと考えております。
カスタマーサクセスチームが介在することでネットレベニューチャーンレートを下げることになるのであれば、MRRが伸び、投資になるので、カスタマーサクセスに投資できることになります。
■ネットレベニューチャーンレートを減らすために、カスタマーサクセスチームができること
・上位の課題を発掘する
→まだ解決できていない課題、顕在されていない課題などをヒアリングする
・プロダクト、事業モデルを改善する
→顧客の声を一番聞いている、カスタマーサクセスが主体となってどうしたら、改善できるのかを考え、取り組む
・アップセル機会のある顧客を見つけ、提供する
→顧客がより成功できるための、アップセルを提案する
また、チャーンする顧客を減らすことが必ずしも正しいとは限らないと考えています。KPIをネットレベニューチャーンレートに置くのであれば、すべての顧客にリテンションするのではなく、長期継続してくれそうな顧客や拡大してくれそうな顧客を理解し、絞ることも大事となる可能性もあります。そうすることでもしかしたら顧客数が減っても、アップセルが実現できているので、1社あたりの顧客あたりの売上が高まっているので、少ないコストで高いMRRが実現できる可能性になったりします。
ネットレベニューチャーンレートを下げるためになにがベストなのかを考えることで、打ち手や使える時間、顧客とのコニュニケーションなども変わってくる可能性があるかと考えています。
これまでドライに経営視点で、数字で語ってきましたが、ネットレベニューチャーンレートマイナスにしようと努力することお客様にとって良いことです。
顧客にとって良いこと3つ
・顧客の本質的な課題を理解する必要がある
・プロダクトの提供価値を高めるために考え、プロダクト改善をする
・事業の存続が可能性が高まります
空におけるカスタマーサクセスの位置は、上記画像の緑の濃い点線の部分です。顧客の成功は顧客の成功です。どれだけプロダクトから顧客の成功を作っていけたか、本日のお話ですと顧客からのフィードバックを得て、プロダクトや事業の改善にコミットできるかが一番の役割です。
本質的にはプロダクトによる顧客の成功度合いを高めていくことので、どうプロダクトや事業に還元しているか考えているとのことでした。
■まとめ
・カスタマーサクセスチームの役割はネットレベニューチャーンレートをマイナスにすること
・上位課題を発送し、プロダクトや事業モデルの進化にコミットしよう
・それは最終的に顧客の成功につながる
所感
今回のCustomer Success Cafeでは、「カスタマーサクセスが事業にどれだけ影響しているのか?」ということを事業責任者から語っていただけました。
それぞれに共通しているのは、「いかにBusiness Developmenであるか」ということです。そのために、Net Revenue RetentionであったりNegative Churnであったり、いかに数字に貢献できているのか、本質的な顧客課題解決のための機能改善できたのかなどを示せる必要がありました。
これまでの全3回の、「顧客視点」「海外視点」「経営者視点」とありましたが、どれも多くの学びがあり、すべて記事をまとめさせていただき、自分にとって良い経験となりました。
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